『GIFT』で「美人」と話題のメガネ女性は宝塚OG…ゆいかれん「トップではなかったけど、映像界で成功したい」

映像作品で存在感を見せる宝塚歌劇団のOG。思い浮かべるのは大地真央、黒木瞳、天海祐希、真矢ミキ、檀れい、明日海りおらだ。いずれも男役、娘役で「トップ」になったスターたち。人気と実力を兼ね備えているからこそだが、「宝塚OGはトップにならなければ、映像の世界でも大成できない」の声に挑む俳優がいる。元月組娘役のゆいかれん(28)。入団3年目で新人公演ヒロインに抜てきされた逸材は、トップを待たずに25歳で退団。映像の世界で勝負し、悔しい思いもしながら、着実に階段を上がっている。現在はTBS系連続ドラマ『GIFT』(日曜午後9時)に出演中。その素顔に迫った。

映像の世界で飛躍を目指す元タカラジェンヌのゆいかれん【写真:藤岡雅樹】
映像の世界で飛躍を目指す元タカラジェンヌのゆいかれん【写真:藤岡雅樹】

娘役で嘱望も25歳で退団「新人として扱って」

 映像作品で存在感を見せる宝塚歌劇団のOG。思い浮かべるのは大地真央、黒木瞳、天海祐希、真矢ミキ、檀れい、明日海りおらだ。いずれも男役、娘役で「トップ」になったスターたち。人気と実力を兼ね備えているからこそだが、「宝塚OGはトップにならなければ、映像の世界でも大成できない」の声に挑む俳優がいる。元月組娘役のゆいかれん(28)。入団3年目で新人公演ヒロインに抜てきされた逸材は、トップを待たずに25歳で退団。映像の世界で勝負し、悔しい思いもしながら、着実に階段を上がっている。現在はTBS系連続ドラマ『GIFT』(日曜午後9時)に出演中。その素顔に迫った。(取材・文=柳田通斉)

 俳優の堤真一が主演を務める『GIFT』は、宇宙物理学者の伍鉄(堤)が弱体化した車いすラグビーの元強豪・ブレイズブルズを再び勝たせるために試行錯誤する物語。同局系の日曜劇場枠で、山田裕貴、有村架純、本田響矢、細田善彦、細田佳央太、吉瀬美智子ら豪華キャストの中、ゆいはブレイズブルズのサポートスタッフ・浪江浩美(なみえ・ひろみ)役としてレギュラー出演している。

 メガネ姿で登場する度にネット上では「あの美形の方は誰」「すんげぇ可愛い」「スーパー美人」「ゆいかれんさん、素敵過ぎ」などの反応が出ている。文字通り、気になる存在だ。早速、取材を申し込み、所属事務所のアービングで対面した印象は「背筋が伸びて姿勢がいい華やかな女性」。それだけでも、元タカラジェンヌを感じさせた。ただ、本人は「退団した後は自分のキャリアも伏せるつもりでした」と言った。

「今の事務所(アービング)にお世話になると決まった時にも『元タカラジェンヌではなく、新人として扱ってください』とお願いしました」

 宝塚時代は娘役として将来を嘱望された存在だった。「結愛かれん」の芸名で、多くのファンもついていた。だからこそ、事務所との協議の結果、キャリアは伏せず、「ゆいかれん」に改名。本人の希望通り、映像作品の出演を目指す方針も決まった。

「舞台出演のオファーは今もいただいているのですが、私は映像にこだわらせていただきました。役のオーディションには何度も落ちています。ただ、『数を踏めば、どっかで当たる』の思いで続け、できたご縁で『では、次の作品でも』という流れでお仕事をいただき、ここまで来ています」

 名古屋市生まれで、3歳からクラシックバレエを習い、水泳、習字、生け花、ピアノと「習いごと漬け」の毎日を送っていた。一方で、幼稚園児ながら「将来の夢がない」と焦っていた少女は、1本のDVDを見て直感したという。

「小学3年の時、母の友人に勧められた宝塚歌劇ミュージカル『エリザベート』のDVDを見て、『あっ、私はこの世界に入る。舞台に立っている自分が見える』と思ったんです」

 以降は「高校受験をしている時間がもったいない」と、あえて中学受験をして中高一貫の学校に進学。宝塚音楽学校受験のために、ダンスに専念できる環境を整えた。中学3年時から4回までという受験回数制限の中、ゆいは約22倍の難関を突破して一発合格を果たした。

 同校での2年の学びを経て、2015年に101期生として入団。親会社である阪急電鉄の電車が通れば「先輩や社員の方が乗っているかもしれない」と一礼する独特の不文律(20年に廃止)など、厳しい縦社会の中で揉まれながら、常識や舞台度胸を身につけた。入団3年目の17年には新人公演でヒロインに抜てき。娘役として順調なキャリアを歩んでいた。

『GIFT』の現場での学びを語ったゆいかれん【写真:藤岡雅樹】
『GIFT』の現場での学びを語ったゆいかれん【写真:藤岡雅樹】

第2の人生を考え…25歳の春に退団

 だが、次第に自身の思い描く表現と求められる役割に「ズレ」を感じるようになっていた。

「宝塚の娘役は『男性の3歩後ろを歩くおしとやかさ』が求められます。でも、私は海外ミュージカルに出てくるような1人でも生きていける強い女性や、艶やかな大人の女性を表現したかったんです。そして、第2の人生を考えた時、私はどうしたいかを考えました」

 自問自答の末にゆいは「理想のキャラクターを確立できた」と納得したタイミングで、退団した。23年4月、25歳の春だった。

「最初はドラマが大好きなので作り手になることを考えたのですが、テレビ局の方から『自分が出る立場をやってみてから、それを第3の人生で考えれば』と言っていただき、ご縁のあった今の事務所と契約するに至りました」

 現場に入ると、舞台との大きな違いを実感したという。

「全く別物です。舞台は毎日の稽古や本番で磨き上げていきますが、映像は瞬発力だと感じています。相手の芝居を初めて現場で受け取って、それをどうリアルに返すか。ワンカットに懸け、カメラが回っていないところでも全身全霊。本当に勉強になります」

 そうそうたる先輩俳優たちの芝居を間近で見つめ、ゆいはさまざまなことを吸収している。

「『GIFT』の現場では、先輩方と『涙を流すことを優先した芝居をすると冷める人もいる。涙をこらえている姿を見て、泣く人もいる』などと話しました。私は無の表情で涙が流れてるのも美しいと思いますし、いろんな考え方、芝居へのアプローチを聞いて学んでいます」

 役への取り組み方を聞くと、「同じ役をやってる時は、そういう人間になる気がします」と表現した。つまり、憑依(ひょうい)型のようだ。

「実生活でも役を引きずるタイプです。宝塚時代からそうですが、暗い役だったら普段も暗くなるんです。役をもらった瞬間に自分の性格がなくなる感じもあります」

 その後、話題は「俳優としての現在地と未来」に及んだ。そして、記者が映像の世界で成功している宝塚OGはいずれも元トップスターである現状を口にすると、ゆいの言葉が一段と熱が帯びた。

「それが『何でだろう?』と思っています。タカラジェンヌって、あんなに若い時から鍛錬を積んで、精神力も強くして頑張ってきているのにです。だから、私がその状況を覆したいという思いはあります」

撮影でお茶目の一面を見せたゆいかれん【写真:藤岡雅樹】
撮影でお茶目の一面を見せたゆいかれん【写真:藤岡雅樹】

残してあるファンレター「お顔を覚えています」

 今はとにかく、一つひとつの縁を大切にしている。時間があれば、神社へ足を運んでは役を得るための「神頼み」もしているという。

「強みは実年齢よりも上にも下にも見られることです。なので、20代前半から30代後半までを演じてきました。今後は『黒革の手帖』の主人公・原口元子のように信念を持って突き進んでいく女性も演じてみたいです」

 宝塚時代のキャリアには捉われない歩み。だが、あの頃から推してくれるファンのことは強く思い続けている。

「宝塚時代はファンの方とお茶会があったので、その方々のお顔はずっと覚えています。なので、インスタのDMが届いて『何々の時、お茶会に行きました』というメッセージがあれば、顔も思い浮かべられます。ファンレターも残してありますし、また、皆さんにお会いする機会を設けたいと思っています」

 退団後に開催したファンミーティングでは、得意のダンスを披露している。その機会はまたありそうだが、当面は、映像作品で勝負する俳優としての成長を期している。元トップスターの称号がなくても、縁を大事にしながら、実力で道を切り開く覚悟だ。

□ゆい・かれん 1997年9月6日、愛知・名古屋市生まれ。2013年、宝塚音楽学校に15歳で入学(101期生)。15年に宝塚歌劇団に入団し、月組に配属。17年の『All for One』で新人公演初ヒロインを務める。卓越したダンススキルと華やかな容姿で人気を博すも、23年4月に退団。同7月から芸能事務所・アービングに所属し、映像作品を中心に俳優活動を開始。以降、テレビ朝日系『リベンジ・スパイ』、『恋する警護24時season2』、TBS系『フェイクマミー』など連続ドラマに多数出演。特技はクラシックバレエ、ジャズダンス。163センチ。血液型AB。

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