Mr.マリック、ハンドパワーの名付け親は観客 スプーン曲げを追い続けて8年「そのフレーズが答えだった」
華麗なイリュージョンで悪を暴く天才マジシャン集団・ホースメンの活躍を描く大ヒット映画『グランド・イリュージョン』シリーズの最新作『グランド・イリュージョン/ダイヤモンド・ミッション』が5月8日に全国で公開される。本作の最大の特徴は、世界的マジシャン集団の監修のもと、俳優陣が自らマジックを習得し実演した圧倒的なリアリティーだ。この“本物”を追求した大作を、日本を代表する超魔術師・Mr.マリックはどう見たのか。同業者としての驚き、自身の代名詞「ハンドパワー」誕生の知られざる裏側を語った。

映画『グランド・イリュージョン』最新作は「身近にあるマジックがたくさん」
華麗なイリュージョンで悪を暴く天才マジシャン集団・ホースメンの活躍を描く大ヒット映画『グランド・イリュージョン』シリーズの最新作『グランド・イリュージョン/ダイヤモンド・ミッション』が5月8日に全国で公開される。本作の最大の特徴は、世界的マジシャン集団の監修のもと、俳優陣が自らマジックを習得し実演した圧倒的なリアリティーだ。この“本物”を追求した大作を、日本を代表する超魔術師・Mr.マリックはどう見たのか。同業者としての驚き、自身の代名詞「ハンドパワー」誕生の知られざる裏側を語った。(取材・文=島田将斗)
これまでの第1弾、第2弾の映画を経て、今回の最新作に対しマリックは「よりマジシャンらしい、リアルなマジックが数多く出てきた」と太鼓判を押した。
「今までは映画用に不思議なことをタレントにやらせて、『そんなことできるはずないだろう』という映画用のマジックだったのが、よりリアルになりました。トランプを体の周りでギュッと飛ばしたりするような、我々が普段ショーで実際にやっているものを役者にやらせているところが、同じ同業者としてものすごくリアルだったわけです」
俳優陣が実際にマジックを習得して撮影した背景には、実際に超一流のサポートがあった。「アメリカの『マジックキャッスル』という、最先端の人たちが集まったサークルが全面協力しているんですよ。今、CGとかAIとか言われているものを払拭できるように、超一流が裏で協力していたことにびっくりしましたね」と舌を巻いた。
第1弾では世界的イリュージョニストのデビッド・カッパーフィールドが監修し、大掛かりなショーが展開されたが、今作では「身近にあるマジックがたくさん出てきた」という。「日常、普通にマジシャンができるものをやらせているからリアルですよね。マジックをやっている人はたまらないと思いますよ」と興奮気味に説明した。

ユリ・ゲラーの登場でスプーン曲げに陶酔
“CGに頼らずリアリティーを追求したい”という本作のテーマは、マリック自身が確立した「超魔術」にも通ずる部分がある。かつての魔法の杖のように「道具」に頼っていた“マジック”を振り返りつつ自身の原点を明かした。
「魔法の杖がなかったら不思議なことは起こせない。でもそこにユリ・ゲラーが現れて、スプーンを曲げたんです。科学が起こせないことをやるのに魔法の杖を見せても、タネがあることは分かってしまいます。ユリ・ゲラーを見て、私は『リアルで、どこにでもあるもので、何度見ても分からない。その人自身に不思議な力がある』と思わせることが大事だということに気が付いたんです」
そこからのマリックの行動は常軌を逸していた。自身が営んでいたマジックの専門店をすべて捨て、なんと8年間もスプーン曲げだけを追いかけたというのだ。
「スプーンのどこが曲がって、どこが弱点っていうのをずっと研究していくと『この範囲までのスプーンなら曲げられる』とだんだん見えてくるんです」
タネが分からない、道具に頼らない「超魔術」を確立していく中で、代名詞「ハンドパワー」は思いがけない形で誕生した。
「マジシャンに『なんでですか?』と聞けば『タネがあるからでしょう』で終わりますが、タネのない不思議なものを見せた時に聞かれても私は答えようがなかったんですよ。手などを触られて『なんか出てるんですか?』と言われて『出てるんでしょうね』と返していたら、お客さんが『ハンドパワーですか?』って言ったんです」
観客が発したその言葉に、「そうでしょうね」と答えた瞬間、マリックの中で腑に落ちるものがあったという。
「その『ハンドパワー』っていうフレーズが答えだったんです。日本人は疑い深いですから、いつまでも『なんで?』と続くんですけど、『いや、これがハンドパワーです』と言うと納得してくれる。おまじないや呪文を言うのではなく、『ハンドパワーで不思議なこと起こしてますよ』と言ったのが、すごくみんなに分かりやすかったんですね」
己の力だけで不思議を証明し続けたMr.マリックとCGをなるべく使わずに生身の俳優が実演した『グランド・イリュージョン』最新作。両者が行き着いた「リアルへの執念」には、AIの時代に大衆の心を惹きつける要素が詰まっている。
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