鈴鹿央士が語る“恩師”の存在 演技に悩みも…救いになった一言「映画作りの楽しさ教わった」
鈴鹿央士にとって、デビュー作『蜜蜂と遠雷』(2019年)の現場は、俳優としての原点であり、特別な場所だ。Audibleでスピンオフ小説集『祝祭と予感』(幻冬舎)の朗読に挑んだ鈴鹿は、作中で最も心をつかまれたエピソードとして、「風間塵とホフマン先生の出会い」を挙げる。そこには、鈴鹿自身と、彼を見いだした恩人・石川慶監督との深い絆が重なっていた。

映画『蜜蜂と遠雷』で生まれた絆
鈴鹿央士にとって、デビュー作『蜜蜂と遠雷』(2019年)の現場は、俳優としての原点であり、特別な場所だ。Audibleでスピンオフ小説集『祝祭と予感』(幻冬舎)の朗読に挑んだ鈴鹿は、作中で最も心をつかまれたエピソードとして、「風間塵とホフマン先生の出会い」を挙げる。そこには、鈴鹿自身と、彼を見いだした恩人・石川慶監督との深い絆が重なっていた。(取材・文=平辻哲也)
石川監督は、ポーランド国立映画大で演出を学び、海外の映画術を吸収した特異な経歴を持つ。長編デビュー作『愚行録』(17年)や、日本アカデミー賞で最優秀作品賞を含む8冠に輝いた『ある男』(22年)、カズオ・イシグロ氏原作の最新作『遠い山なみの光』などで知られる気鋭の監督だ。
映画では直接姿を現さないものの、風間塵の才能を見いだし、多大な影響を与えた亡き恩師・ホフマン先生。鈴鹿は「映画の中でホフマン先生は映像として出てこなくて、遺産というか『残したもの』として描かれていました。でも、風間塵としてはホフマン先生はすごく偉大で大切な存在で、その出会いが描かれているのが良かったです」と語る。
そして、こう言葉を継ぐ。「自分が演じた役の別の物語があるというのが良くて、不思議な感覚もありました。映画のお芝居をしている時、監督から『ここら辺にホフマン先生がいると思って弾いてみてください』と言われた時、僕は石川監督のことを思い浮かべながら弾いていたんです。僕からしたら、風間塵とホフマン先生の出会いは、僕と石川監督との出会いみたいな感じだったので、そこが描かれているのは感慨深かったです」。
鈴鹿にとって、石川監督はどのような存在なのか。「毎回、作品で出会う監督とは特別な絆ができるけれど、その中でも石川監督はそこだけじゃないものがあります。お芝居をいろいろ試させてくださったのもありますし、何より、現場で映画作りの楽しさを教わりました。一番最初がすてきな現場じゃなかったら、次の作品で『楽しくないな』と向き合っていたかもしれないものを、一番最初に教えてくれた方というのはだいぶ大きいです」と感謝を口にする。
俳優として活動を始めた当初、共演者との経験値の差に圧倒されたこともあった鈴鹿だが、芝居のメソッドについて悩んでいた時期、石川監督の言葉に救われたという。
「日本だと海外のように演劇学などを学んでいる人が少ないから、お芝居の勉強をしてみるのもありなのかなと思っていた時期がありました。たまたま石川監督とお会いした時にそう伝えたら、『いらないんじゃない? 感覚でいけると思うよ』と言われたんです。メソッドを組み込んだお芝居もすてきだけど、日本の良さである『感覚』や『その人が持っているもの』を現場で大切にするのもいいんだなと思えて。これからバランスを見ながらやっていこうと思えた大きな一言でした」
現場を楽しむこと、作り手が愛情を持つことの大切さも学んだ。
「現場のスタッフさんが『作り手側がこの作品に愛情を持っていると、スクリーンから伝わるんだよ』と教えてくれました。いくらお芝居の技術があっても、自分たちの心が躍っているものじゃないとだめなんだと再確認できました」と、俳優としての確固たる「核」を胸に刻んでいる。
□鈴鹿央士(すずか・おうじ) 2000年1月11日、岡山県生まれ。高校在学中の16年、映画のロケにエキストラとして参加した際、広瀬すずの目に留まりスカウトされる。18年、『MEN’S NON-NO』専属モデルオーディションでグランプリを獲得しデビュー。19年、映画『蜜蜂と遠雷』の天才ピアニスト役で俳優デビューを果たし、第43回日本アカデミー賞など数々の新人賞を総なめにする。以降、ドラマ『ドラゴン桜』『六本木クラス』、社会現象となった『silent』、『嘘解きレトリック』など話題作に多数出演。テレビ朝日系連続ドラマ『リボーン ~最後のヒーロー~』(火曜午後9時)に出演中。6月11日よりNetflixで配信開始となる『喧嘩独学』では主演を務める。趣味は音楽・映画鑑賞、ピアノ。特技はどこでも寝られること。身長178センチ、血液型O型。
ヘアメイク:宮本愛(yosine.)
スタイリスト:朝倉豊
衣装クレジット
・レザーシャツ
ARMA(アルマ):14万8500円
インスタグラム:@arma_label
NOUN(ノウン):03-5797-8950
・チェックシャツ
URU(ウル):3万5200円
インスタグラム:@urutokyo @enkel_tokyo
ENKEL(エンケル):03-6812-9897
・スニーカー
ZDA:3万800円
EYEFOUND(アイファウンド):03-6434-7418
他、スタイリスト私物
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