高速走っていたら愛車に飛び石 被害甚大、フロントガラスまるごと交換も…「請求は困難」知られざる実情
GWの大型連休を迎え、ドライブ旅行など観光シーズンの到来だ。高速道路を走る機会が多くなる中で、交通事故に気を付けたいところだが、意外な落とし穴もある。走行中に、飛んできた石がぶつかることで、フロントガラスにひびが入る破損や車体に傷が生じる「飛び石」被害だ。ネット上では「マジで最悪どうしよう」「高速道路の洗礼」など、深刻な被害報告が後を絶たない。突然の悲劇に見舞われた際はどう対応したらいいのか、少しでも回避する手段はあるのか。自動車ディーラーで、自動車関連の保険にも詳しい“専門企業”2社に解説してもらった。

被害ドライバーの多くは「気が付いたらガラスが傷付いていた」
GWの大型連休を迎え、ドライブ旅行など観光シーズンの到来だ。高速道路を走る機会が多くなる中で、交通事故に気を付けたいところだが、意外な落とし穴もある。走行中に、飛んできた石がぶつかることで、フロントガラスにひびが入る破損や車体に傷が生じる「飛び石」被害だ。ネット上では「マジで最悪どうしよう」「高速道路の洗礼」など、深刻な被害報告が後を絶たない。突然の悲劇に見舞われた際はどう対応したらいいのか、少しでも回避する手段はあるのか。自動車ディーラーで、自動車関連の保険にも詳しい“専門企業”2社に解説してもらった。
前方を走る車が巻き上げた石が、フロントガラス目がけて飛んでくる――。飛び石被害は、何の前触れもなく訪れる。
ホンダの正規ディーラーで、車検・保険なども手がける「ホンダカーズ市川」(千葉)の担当者は「飛び石の被害に遭った場合は、まず安全な場所へ移動し、傷の状況のチェックが必要です。傷の場所や大きさによって対応が変わってきます。最近の車のガラスは合わせガラスになっているので、破片がくっついたまま保持されるため、飛散を防ぎ安全性が高くなっています。ただ、視界が悪くなって走行に支障が出る場合は、JAF(日本自動車連盟)等のロードサービスを呼ぶことをお勧めします」と説明する。
石が当たった場所が、ガラスの外周に近いケースは「危険」だという。「環境の変化などによって、ひびが大きくなることがあります。早めに対処すればリペア(補修)で済むところが、交換になるケースもありますので迅速な対応をお願いします。なお、フロントガラスにひびが入っている車は、基本的に車検に通らない可能性が高いです。安全な視界の確保ができないからです。ひび割れの状態のまま走行することはお勧めしません」。
山形県内で幅広く事業を展開する「株式会社カーサービス山形」の担当者は「高速道路上であれば、すぐに最寄りのICで降りるか、サービスエリア(SA)やパーキングエリア(PA)に入って状態を確認してください。一般道を走行している場合は、落ち着いて走行速度を落とし、同様に安全な場所へ停車して傷の状態を確認してください。走行に不安を感じる場合は、レッカーを手配することをお勧めします。加入している保険会社のロードサービスやJAF、なじみの自動車販売店さんにご連絡ください」。傷の大きさが1センチ以上、またはひび割れの場合は、走行を続けると振動や風圧によってひびが広がってしまう可能性があるため、注意が必要だという。
これまでにさまざまな飛び石被害の顧客に対応してきたといい、「被害の多くのお客様は、『気が付いたら飛び石でガラスが傷付いていた』とお話しいただきます。知らず知らずのうちに、石が飛んできているケースが多いと感じています」。いつどこでというのが分かりにくく、やっかいだ。
修理などに保険は使えるのか。ホンダカーズ市川の担当者は「自動車保険の中で、自分の車の補償に関する車両保険を付けていれば、保険で対応できます。ただし次回の契約時に等級が下がる可能性があります。一般的には1等級ダウンになります。こうした点などから、保険料が高くなります。契約内容や条件などは人によって違うと思うので、保険の担当者とよくよく相談をして考えた方がいいと思います」と解説する。
それでは、保険を使わずに「自己負担」を選択した場合では、どれぐらいのお金がかかるのか。カーサービス山形の担当者は「飛び石による損傷がどのくらいかによって費用が変わってきます。また、最近の車にはたくさんの安全機能のセンサーが付いています。それはフロントガラスも然りです。そのため、ひと昔前に比べて修理費が全体的に上がってきているのが現状です。もし、損傷がわずかであり、リペア(補修)というスタイルで修理が可能だった場合は、修理金額は3万円~4万円くらいで済むでしょう。しかし、傷が大きい(ひびが1センチ以上、えぐれが深いなど)場合は、フロントガラスをまるごと交換する修理となります。軽自動車や小型車であれば10万円前後、大型ミニバンであれば20万円ほどかかることもあります」。
ホンダカーズ市川担当者は営業時代、飛び石被害によって同じ車のフロントガラスを2度も交換したドライバーの対応をした経験があるという。「2012年式のミニバンです。1回目は2017年のことで、(センサーと連動する)自動ブレーキなどもなかったので金額は今より安かったですが、14万5000円ほどでした。2回目は23年です。まったく同じ内容でガラス代の高騰で19万5000円でした。26年式の現行のミニバンの場合は26万円ほどかかるそうです。さらに、ガラスにドライブレコーダーなどが付いていると別途費用がかかります。いろいろなものが高騰している折なので、少し気を付けないといけないですね」。物価高の影響を打ち明ける。

「なるべく前の車両と車間距離を空けることに尽きます」
何も自分たちのせいでフロントガラスにひびが入ったわけではない。相手方の責任が問われるのではないか――。損害賠償の賠償請求という考え方もある。
これについて両社担当者は、相手方の特定や立証が難しいとして厳しい見方を示す。「相手方へ賠償請求をしたらいいのでは? と考える人もいらっしゃいますが、飛び石については相手方の『過失』を証明することが難しく、『不可抗力』とみなされてしまうケースがほとんどです」(カーサービス山形担当者)、「請求することは困難です」(ホンダカーズ市川担当者)とのことだ。
最後に、飛び石を回避するアドバイス、運転時の注意点を教えてもらった。
ホンダカーズ市川担当者は、「スピードを出さないこと」と「車間距離」を重要なポイントに挙げ、「飛び石は前を走っている車のタイヤが小石などを拾って飛んできます。当然、放物線を描いて飛んでくるので、距離が離れているとリスクを大きく下げられます。一番可能性が高いと言えるのが、トラックを追い越す時です。速度が出ますし、距離も近くなるので、気を付けましょう」と呼びかけた。
株式会社カーサービス山形の担当者も「なるべく前の車両と車間距離を空けることに尽きます」と強調。そのうえで、「スピードが出やすい高速道路などでは、飛び石が起こる可能性が高いです。トラックなど大型の車両の後ろを走る際は、なおのこと注意が必要です。また、自分が被害を受けること以外にも、自分が飛び石を発生させる可能性があることも念頭に置いて運転してください。道路状況がよくない場所や、砂利道などではスピードを出しすぎない運転を心がけましょう。被害者だけでなく、加害者になる可能性は誰にでもあり得るのです」とメッセージを寄せた。
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