元宝塚女優・礼真琴、「24時間スターでいようと思った」トップ時代 感じる人生第2章の幸せ「今がまさに平凡な日々」

元宝塚歌劇団星組トップスターで俳優の礼真琴が、5月27日に東京・東急シアターオーブで開幕する『BOOP! The Musical』(6月21日まで。その後は大阪・福岡公演を開催)で退団後初のミュージカル主演を果たす。演じるのは、日本で“ベティーちゃん”として知られ、世界中で愛されるアニメーションキャラクター「ベティーブープ」。在団中、歌・ダンス・芝居と三拍子そろった実力派として絶大な人気を誇った礼が、新たに“人生の第2章”に臨む思いを述べ、所属事務所の先輩・新しい地図のメンバーとの“感激対面”も明かした。

『BOOP! The Musical』への期待を語った礼真琴【写真:増田美咲】
『BOOP! The Musical』への期待を語った礼真琴【写真:増田美咲】

『BOOP! The Musical』で現代にやってきたベティーブープ役

 元宝塚歌劇団星組トップスターで俳優の礼真琴が、5月27日に東京・東急シアターオーブで開幕する『BOOP! The Musical』(6月21日まで。その後は大阪・福岡公演を開催)で退団後初のミュージカル主演を果たす。演じるのは、日本で“ベティーちゃん”として知られ、世界中で愛されるアニメーションキャラクター「ベティーブープ」。在団中、歌・ダンス・芝居と三拍子そろった実力派として絶大な人気を誇った礼が、新たに“人生の第2章”に臨む思いを述べ、所属事務所の先輩・新しい地図のメンバーとの“感激対面”も明かした。(取材・文=大宮高史)

 華麗なパフォーマンスで魅了した男役から一転、人気スターがキュートな“ベティーちゃん”で新境地を披露する。

『BOOP! The Musical』は、1930年代にアメリカで誕生したアニメーションキャラクターのベティーブープが主人公。白黒アニメの世界から突如、現代の米ニューヨーク(NY)にやってきたベティーが新しい仲間と出会い、本当の自分や願いを見つけていく物語だ。2023年のプレビュー公演を経て、25年にブロードウェー公演が開幕した。今回、米国初演で演出・振付を手掛けたジェリー・ミッチェル氏が日本版も担当する。

 そのベティーに挑む礼は、2009年に宝塚歌劇団へ入団し、19年に星組トップスターに就任。圧倒的な歌唱力やキレのあるダンス、確かな演技で6年にわたってトップを務め、昨年8月に退団した。その後、稲垣吾郎・草彅剛・香取慎吾が在籍するCULENに所属し、同社初の女性アーティストに。そんな彼女が、100年近くにわたって愛されてきたチャーミングなキャラクターをどう演じるか注目される。

――まずは、『BOOP! The Musical』の魅力についてお聞きします。

「想像していたアニメの中の世界のベティーちゃんとも、一味違います。最初はアニメの中の存在なんですが、現実世界に飛び込んでいろんなことを経験していくうちに、リアルな女性に近づいていく過程がステキです。お芝居で自然で生まれてくる心の動きや、劇中での出会いで生まれるベティーちゃんの心の機敏が大切になるな、と思っています」

――ブロードウェー公演の資料を見てどう思われましたか。

「モノクロとカラーが混ざり合う演出がかわいくて、おしゃれだなと感じました。音楽やダンスも『楽しそうだな』と思って気楽に観ていたのですが、いざ歌ってみると、手ごわい曲ばかりでした」

――挑戦づくしの舞台になりそうですね。

「女性の高いキーで、一つの作品を通して歌うのは初めてで、ハイレベルであることを実感しています。それに劇中でタップダンスがありますが、昨年の退団公演のショーでタップダンスを踊ったばかりなので、まさかこんな早くまた踊るとは思ってもいませんでした。神様からの『これからも縁があるぞ』という予言かなと思って、タップも磨いていきます」

――宝塚では、『RRR × TAKA”R”AZUKA ~√Bheem~』(23年)、『阿修羅城の瞳』(25年)など人気映画や外部舞台の宝塚初上演を成功に導いたほか、『ガイズ&ドールズ』(15年)のアデレイドや『風と共に去りぬ』(14年)でのスカーレット・オハラなど、娘役も経験されました。

「宝塚での娘役は『ガイズ&ドールズ』が最後でしたが、あれから11年が経っていますから、その間にさらに男を極めてしまっていまして(笑)。ちょっとずつ当時の感覚も引っ張り出しながら、ベティーちゃんになっていこうと思います」

――物語は「ベティーが本当の自分を探す」「望みは何か」という展開も見どころですが、礼さんもご自身の願望を考えてみたことはありますか。

「私はトップ時代、ふと『誰も自分のことを知らない土地に行ってみたい』と思った時がありました。スターなベティーちゃんにも、スポットライトから離れて1人の女の子として生きてみたいという、自由を求める気持ちがあったんだろうなと想像してしまいます。誰にでもそういう思いはあるのかなと思いますが、お客様に身近に感じていただけるように表現していきたいです」

――「スターが憧れる平凡な一日」もテーマですが、もし礼さんが、平凡な一日を過ごせるとしたら、どう過ごしたいですか。

「全然考えたことがなかったです(笑)。でも、今がまさにその平凡な日々なのかなと思います。普通に地下鉄に乗って、街行く人たちと一緒に街を歩いて、ちょっとしたショッピングをして電車で帰る日もあります。普通ですよね?(笑)。トップ時代は無意識に『24時間スターでいよう』と思っていました」

――では、プライベートで何か新しく始められたことはありますか?

「料理を始めました。まだ作れるのはお味噌汁くらいで、超・初心者レベルなんですけど(笑)。でも自分で作るのがまずは大事かなと思って、その分美味しさも増すような気がします。ちょっとずつレパートリーを増やしていきたいですね」

柚希礼音との関係性も語った【写真:増田美咲】
柚希礼音との関係性も語った【写真:増田美咲】

宝塚の大先輩と11年ぶりの共演

 ベティーと同じく新しい世界に踏み出した礼のまわりには、頼もしい先輩や仲間がいる。本作では星組時代の先輩トップスター・柚希礼音が現代に生きる宇宙物理学者のヴァレンティーナ役で出演する。そして、所属事務所の新しい地図の先輩たち……。再会や新たや出会いの思いも率直に語った。

――柚希さんのことはこれまでも憧れの存在に挙げていらっしゃいました。柚希さんの卒業以来、11年ぶりの共演となりますが、今の気持ちを聞かせてください。

「もう大歓喜、というほかにないです。ちえさん(柚希)には宝塚在団中、たくさんお世話になりましたし、卒業されてからも支えてくださって、外に出て初めての舞台でもご一緒できるなんて、こんなに幸せなことはないです。(退団後に)お目にかかる機会は増え、この前も、偶然NYでお会いできて(笑)。“ちえさん”“まこっつぁん”と呼び合える関係は今でも変わらないです」

――柚希さんから受け継いだことで、大切にされていることは。

「『私達は毎日公演があるけど、お客様の中には一度きりの観劇の方もいらっしゃるかもしれない。その一回でどれだけの感動をお届けできるか、命をかけて全身全霊で務めるんだよ』ということを教えていただきました。私もトップになってからは、まずは健康を大事に、とにかく“よく食べてよく寝る!”をルーティーンにしてきました」

――稲垣吾郎さん、草彅剛さん、香取慎吾さんの皆さんとは、お会いになりましたか?

「はい。もう皆さん、大、大、大スターでした! テレビを通じてしか知らなかった方々が、目の前にいらっしゃって(笑)、とにかくオーラがすごかったです。皆さんの舞台を拝見しましたし、私のコンサートにも観に来てくださって。楽屋でもちょっとお話しさせていただいたんですが、優しいだけでなく包容力のようなオーラがありました。ずっと最前線で活躍されていて、本当に存在の大きさを感じました」

――感激された様子が伝わってきました。さて、昨年8月に宝塚歌劇団を卒業して環境が変わり、新しく気づいたことはありますか。

「私は元々ネガティブ思考で、弱気な性格だと思っています。涙もろいですし……ファンの方も“ガラスのハート”のようなイメージを持っていらっしゃるかもしれません。そういう本質的なところは変わっていないんですが、宝塚から離れて『意外と肝が据わったな』と思うことが増えました。男役の鎧を脱いで、自分の素顔に触れるようになっての発見ですね」

――卒業後初の活動は、昨年12月のコンサート『Flare』でしたが、当時の心境は。

「舞台に立つことも歌うことも大好きなので、そういう活動をこれからも続けられたら、という思いは一貫していて、最初に機会をいただけたのがコンサートでした。久しぶりにお客さまの反応を肌で感じられたのはうれしかったですね。このライブ感こそ、私が表現をしていける一番のやりがいだなと改めて実感できました」

――その後、ドラマも経験されました。今年3月には『3.11~東日本大震災15年 福島第一原発事故 命の戦い~』(フジテレビ系)で救急現場の看護師長を演じていましたが、映像のお芝居での手応えはいかがでしたか。

「舞台のお芝居とは全く違って、特に声量のギャップには驚きました。舞台と比べると2割くらいの声量で話しているのに、それでも周りより大きすぎて浮いてしまったんです。私だけがお腹から声が出ているような(笑)。もっと控え目でもいいんだ、と学びましたが、ドラマはまだまだ経験が必要ですね」

――最後に、『BOOP! The Musical』初日への抱負と、これからのビジョンを教えてください。

「幕が下りた時に皆さんが幸せな気持ちになって、大切な人に愛情を注げるような作品を目指して稽古をしています。私自身は、ずっと応援してくださる方も、これから“推し”になってくださる方にとっても、ワクワクさせ続けられる存在を目指したいですね。簡単なことではないですが、刺激を与え続けていけたらと思っています」

□礼真琴(れい・まこと)12月2日、東京都出身。2009年に95期生として宝塚歌劇団に入団。19年に星組トップスターに就任した。主な主演作に『ロックオペラ モーツァルト』『柳生忍法帖』『1789 -バスティーユの恋人たち-』などがある。25年1月に日本武道館でコンサート『ANTHEM-アンセム-』を開催し、同年8月に退団した。退団後初のコンサート『Flare』を同年12月に開催。26年はTBS系ドラマ『DREAM STAGE』、フジテレビ系ドキュメンタリードラマ『3.11~東日本大震災15年 福島第一原発事故 命の戦い~』ほか、NHK『うたコン』、NHK Eテレ『クラシックTV』、日本テレビ系『沸騰ワード10』などにも出演。ミュージカル『BOOP! The Musical』は、東京・東急シアターオーブで5月27日~6月21日、大阪・梅田芸術劇場メインホールで7月4日~22日、福岡・博多座で7月30日~8月16日まで、各都市で上演する。

【スタイリング】
ヘアメイク:板倉タクマ(ヌーデ)
スタイリスト:細見佳代
【衣装】
ジャケット:ADORE(アドーア)
オールインワン:uncrave
スカーフ:manipuri
アクセサリー各種:VENDOME AOYAMA(ヴァンドーム青山)
シューズ:NEBULONI.E

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