「明らかな不法侵入」伝統のロードスターミーティングが18年の歴史に幕 エンジン空ぶかし、喫煙…マナー違反で苦渋決断
自動車愛好家たちが集うカーミーティングは、オーナー同士の交流が魅力の一つだ。埼玉県では、マツダ・ロードスターのオーナーによる「ミーティングOHT(仮)」が18年にわたり開催されていたが、4月12日をもって終了となった。原因は一部の飛び入り参加者らによるマナー違反。度重なる注意喚起を行っていた運営側は、苦渋の胸中を明かした。

18年の歴史に終止符 再三の注意喚起も「マナー違反が重なった」
自動車愛好家たちが集うカーミーティングは、オーナー同士の交流が魅力の一つだ。埼玉県では、マツダ・ロードスターのオーナーによる「ミーティングOHT(仮)」が18年にわたり開催されていたが、4月12日をもって終了となった。原因は一部の飛び入り参加者らによるマナー違反。度重なる注意喚起を行っていた運営側は、苦渋の胸中を明かした。
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「4/12に18年の歴史あるロードスター地域ミーティングが終了しました。原因はマナー違反が重なったことによる会場施設からの通達で、唐突な終焉ではありません。マナーや常識は杓子定規にはできませんが、ロードスター乗りの皆様はこの出来事を次に活かしてください」
20日、Xにこう投稿したのはAZ1MSV(@AZ1MSV)さんだ。ロードスターの著名な愛好家で、“世界に1台”というガーネットレッドのNR-Aを所有している。
“OHT”は、公園など県内の公共施設の許可を得て、毎月継続して開催していたミーティングだといい、「歴代の有志によって引き継がれ、実に18年の歴史がありました」と説明。
「私自身も初回からというわけではありませんが、14年以上前から参加し、その変遷を見てきました」と、主催者を支える裏方の一人として運営に関わっていた。
立ち上げ当初は、参加台数も少なく、次第に規模が大きくなっていたという。
「閑散期は10台に満たないこともありましたが、通常は40台前後が集まる牧歌的な空間でした。しかし、ND型ロードスターの登場や、アフターコロナでリアルなイベントが解禁されたこと、さらにSNSやYouTubeの普及もあり、最終的には80台以上が集まる巨大なコミュニティーへと膨れ上がっていました」
台数が増えれば、全体に目を配るのも大変な作業だ。
そこで、ミーティングへの参加には、ある“条件”を設けていた。
「参加条件は『(SNSの)みんカラ』のイベントコミュニティーで申請をいただき、受理された方のみとしていました。実はこの申請において、概要欄に『リーダーへ直接メッセージを送ること』という“裏条件”を紛れ込ませていました。この程度のルールすら読めない、あるいは理解できない方は、現場でのマナーも守れないだろうという認識から、参加のフィルター(リテラシーの担保)として機能させていたのです」
ところが、ミーティングの会場は、貸し切りというわけではない。
「会場はゲートのない公共の公園ですので、申請なしでしれっと参加してしまう層が一定数いたことも、統制が難しくなった要因の一つです」

『空ぶかし禁止』『急加速発進禁止』…運営が定めていたルール
伝統あるコミュニティーだけに、イベントは平穏に終わることが多かった。周りに迷惑をかけないために、細かいルールも定めていた。
「大半のオーナーは非常に紳士的で、基本的には平和に開催されていました。私たち運営が設けていたルールは、『空ぶかし禁止』『余計なアイドリング禁止』『駐車場所の遵守』『イキリダッシュ(急加速発進)禁止』『一般のお客様に迷惑をかけない』といった、ごく当たり前の【一般常識】です」
しかし、飛び入り参加の車両や一部のオーナーがこれを逸脱。
「自分のマフラーサウンドを自慢したいがために公園内でエンジンを空ぶかしする、ミーティング帰りの公道で急加速して轟音を響かせる、駐車禁止のエリアに車を停める、喫煙所以外でタバコを吸う……といった、常識ではありえない行動をとる『一部の心ない参加者(あるいは無断参加者)』が定期的に現れました。
そして決定打となったのが、3月の開催日に、一部のロードスターが営業時間前に関係者通用口から進入した事案です。これは明らかな不法侵入であり、管理事務所からは温情をいただきましたが、施設側との間に深い溝ができたことは確かです」
ミーティング終了の直接のきっかけは、これらの行為も含めて蓄積された不満要素から「今まで見過ごされてきた状況に関する意外な指摘でした」。
その詳細については、「今まで会場をお借りした公園との関係性もあるので、内容は控えさせていただきます。ごめんなさい」としたが、運営側としては、決断せざるを得ない状況だった。
「正式に許可を取っていたとはいえ、公園側からすれば一般のお客様を守るのが当然の責務です。『これ以上、私たちの趣味で施設に迷惑をかけるわけにはいかない』。それが、リーダーが解散を決意した最大の理由です」と、AZ1MSVさんは主催者の思いを代弁した。

ミーティングで出会い結婚した人も…忘れられない思い出
18年に及ぶ歴史がある。思い出は数えきれない。
「初代ロードスター(NA型)の開発コンセプトのひとつに『だれもが、しあわせになる。』という言葉があります。このミーティングは、まさにその言葉を体現する場所でした。
基本的なルールさえ守れば、ノーマル車でもハードなカスタムカーでも拒絶されることなく、のんびりと情報交換ができる。このミーティングがきっかけで結婚した人もいれば、ロードスターを降りたのに顔を出してくれる人もいる。私が子どもを連れて参加したように、お孫さんを連れてくるベテランもいました。老若男女問わず、クルマを通じて純粋な友人が作れる。そんな温かいコミュニティーだったからこそ、18年も続いたのだと思います」
可能であれば、今後も継続したかった。
「だからこそ、一部の身勝手な行動や、ボランティアで頭を下げ続けるリーダーへのリスペクトを欠いた『お客様気分』のまん延によって、この美しいオアシスを自らの手で閉ざさなければならなかったことは、無念でなりません」と、複雑な思いを明かした。
ロードスターに乗りつつ、その豊富な知見で、専門ブログ「NBロードスターアーカイブ」を運営している。ミーティングはオーナー同士が、愛する車について語り合える貴重な場の一つだった。
「ロードスターの魅力は、単なる『速さ』ではなく、日常の交差点を曲がるだけでも頬が緩むような『人馬一体』の感覚にあります。そして、ひとたび幌を開ければ、四季の匂いを感じながら、年齢や職業といった社会的な肩書きをすべて風に飛ばしてくれる不思議な力を持っています」
国産オープンカーの代表格だ。
「雨の日に数台しか集まらず、傘を差しながら『雨漏り対策どうしてる?』なんて他愛のない会話で笑い合った時間は、今でも私の宝物です。また、愛娘も昔は参加していたので、彼女の成長を皆が見守ってくれたほほえましい記憶もあります。別途、○歳記念ツーリング、なんてのも行っていました」と振り返った。

「私たちの抱えている悩みと全く同じだ」全国から共感の声
投稿は、大きな反響を呼び、ミーティングへの在り方についてさまざまな意見が寄せられた。
「正直なところ、これほどまでに大きな反響(Xでのトレンド入りなど)があるとは想像していませんでした。しかし、他車種や他ジャンルのコミュニティー運営者の方々から『私たちの抱えている悩みと全く同じだ』『自分のコミュニティーの規約でこの記事を紹介させてほしい』というご連絡を多数いただき、深く納得しました」
イベントが抱える課題の背景として、次のような認識を示す。
「ここ数年、自動車趣味かいわいにおいて『羽目を外す人』が可視化されやすくなっています。こうしたイベントが『自然発生的に存在している』と錯覚し、見えないところで汗を流している裏方への想像力や感謝が欠如している現状が、全国のあらゆるかいわいで限界に達しているのだと感じます。
洗車をしている時も、ステアリングを握っている時も、ミーティング会場にいる時も、私たちは例外なく『スポーツカー文化』の看板を背負っています。人目を引くクルマだからこそ、私たちの振る舞い一つ一つが世間の評価に直結します。
私たちはミーティングを存続させるために、『事前抽選制』などの強権的なルールを課すこともできました。しかし、それでは『だれもが、しあわせになる。』というロードスターの理念から外れてしまいます。だからこそ、きれいなまま幕を引くという選択をしました」
ロードスターを代表するミーティングだったからこそ、教訓は生かさなければならない。
「この反響をきっかけに、『ミーティングという文化が正しく継続できる道』について、全国のクルマ好きの皆様と一緒に模索していけたらと、心から願っております」と締めくくった。
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