“ハッスル”の熱狂をもう一度…榊原CEOが小川直也に明かした苦悩 人気格闘家誕生の条件

“暴走王”小川直也が12日、自身のYouTubeチャンネル「暴走王ch」に公開した、RIZIN榊原信行CEOとの再会動画は、注目の発言が目白押しだった。両者は3年2か月ぶりの再会を果たしたが、動画内で榊原CEOは現在のRIZINに足りないものにも言及している。

終始笑顔が途切れなかった小川直也(左)と榊原CEOの再会
終始笑顔が途切れなかった小川直也(左)と榊原CEOの再会

「時代を変えられるのはヘビー級の選手」

“暴走王”小川直也が12日、自身のYouTubeチャンネル「暴走王ch」に公開した、RIZIN榊原信行CEOとの再会動画は、注目の発言が目白押しだった。両者は3年2か月ぶりの再会を果たしたが、動画内で榊原CEOは現在のRIZINに足りないものにも言及している。(取材・文=“Show”大谷泰顕)

 小川が榊原CEOと濃密な時間を過ごしていたのは、2000年代のPRIDEやファイティングオペラ「ハッスル」を通じてのものだった。

 とくに2004年に開催されたPRIDEヘビー級グランプリでは、小川がPRIDEで勝利した際にリング上から腰を振ってのハッスルポーズを実施。社会現象になるほどの大盛り上がりを見せた。

 その経験を元にしつつ、榊原CEOは昨年のRIZINでも重量級に着目し、満を辞してヘビー級トーナメントを開催したが、「去年、大不発に終わっちゃっている」と話し、思ったほどの成果が見込めなかったとの見解を示した。

 榊原CEOいわく、「あんなにあのPRIDEの時代、燃え上がったヘビー級GPっていう禁断の手を僕らはやってみたんですけど……不発に終わりました」とのこと。

 それでもめげずに「ヘビー級の選手、素材はたくさんあるので、もう1回リブランディングするべく、やってみたいと思います」「格闘技は神に選ばれし肉体を持つ男たちに勝るものはないじゃないですか。世界的にヘビー級は沈んでいるんです」と話す。

 現状では海の向こうのUFCでさえもヘビー級は盛り上がっていないという。

 とはいえ、榊原CEOは「時代を変えられるのはヘビー級の選手なんだよなあ」としみじみ語ったが、その際の必須条件として、「中心になる選手が一人いたらドラマチックに変えられるんだけどね。今の日本のヘビー級の選手たちにも、小川直也的存在がいないんですよ。だからそこが待望論です」と本音を漏らす。

小川「今そんなヤツはいないんですか?」

榊原「どのリングもヒールが引っ張るじゃないですか。そこまでの強烈なヒールっていないですね」

小川「みんなベビー(善玉)をやりたがる。もったいねえなと思って」

榊原「もったいないですよね」

 榊原CEOが口にするように、「どのリングもヒールが引っ張る」はその通りで、反体制側の思想があってこそ、そのリングが輝きを増すことは、これまでのマット界では何度も証明されてきた。

4月12日には福岡で「大和開発presents RIZIN LANDMARK13」が開催される
4月12日には福岡で「大和開発presents RIZIN LANDMARK13」が開催される

かっこいい現代の格闘家…欲しいのは「三枚目」

 ただしPRIDEを振り返ると、開催国の日本人選手が強豪外国人に立ち向かっていく姿にナショナリズムを感じてしまうため、グレイシー一族やミルコ・クロコップという外敵に日本人選手が挑む構造になっていた。

 実際、ヒール(悪役)的扱いで新日本プロレスを暴れ回っていた小川が、そのイメージのままPRIDEに参戦したものの、小川いわく、「自分は一生懸命ヒールになろうとしているんだけど、ヒールになれない」状態だったという。

 とはいえ、榊原CEOは小川がPRIDEや「ハッスル」のリングでは腰を振ってハッスルポーズを披露し、日本全土に社会現象を巻き起こしていた当時を振り返り、「ギャップ萌えしてたんですよ、当時から」と話した。

 要は、柔道の元世界王者であり、PRIDEでも世界の強豪相手に勝利する小川がコミカルな姿をリング上から披露する姿はあり得ない光景だった。榊原CEOの口にした、「ギャップ萌え」は言い得て妙な物言いだと思う。

 そういったことを踏まえながら、改めて榊原CEOは「今もはやりすたりはあるけど、原点は一緒なんじゃないですか」と語り、「オーちゃん(小川)がやっていたことをやれるプロの格闘家が出てきたら、大人気になるのにね」と続けた。

 興味を引いたのは、その後の両者のやりとりだった。

 小川が「そうなんですよ。いいんだけど、みんなカッコいいんだよね。みんな二枚目になっちゃってさ。三枚目がちょっと欲しいんだよな」と持論を述べると、思わず榊原CEOが「そう。絶対にそうなんですよ」と同意してみせたのだ。

 ではなぜ小川が三枚目のようなおどけた言動やこっけいな役どころができたのかと言えば、それに勝る軸がしっかりしていたからではないかと思う。

「ヘビー級の救世主」「強烈なヒール」「ギャップ萌え」「二枚目より三枚目」

 これらはすべて「圧倒的な強さを持ったファイターの出現を待ち望んでいる」と捉えるのが妥当な気がするが、それが開催国である日本人側にいれば、もっとも理想的なカタチになる。

 それにしても小川と榊原CEOの再会は3年2か月ぶりになるらしいが、空白の時間を補って余りある小気味よいやりとりが展開されていると感じるのは、両者が一時期ではあっても、それだけ濃密な時間を過ごしてきたからだと思えてならない。

 まさに共通言語を持つ者同士の強みを感じた再会だった。

(一部敬称略)

※榊原CEOの「榊」の正式表記は木へんに神

次のページへ (2/2) 【動画】小川直也がRIZIN榊原CEOと“電撃再会”を果たした際の実際の映像
1 2
あなたの“気になる”を教えてください