“伊澤星花チャレンジ”で変化「自分からタックル行くなんて」 愛弟子・竹林エルが明かす4か月での成長
RIZINスーパーアトム級王者・伊澤星花とCOROが直接指導を行うプロジェクト「伊澤星花チャレンジ」。その一期生として、驚異的なスピードで進化を遂げているのが竹林エル(22)だ。現在は地方から上京し4か月、格闘技漬けの日々を送っている。師匠の教えをまっすぐに受け取る若き格闘家の現在地に迫った。

「伊澤星花チャレンジ」生になって4か月
RIZINスーパーアトム級王者・伊澤星花とCOROが直接指導を行うプロジェクト「伊澤星花チャレンジ」。その一期生として、驚異的なスピードで進化を遂げているのが竹林エル(22)だ。現在は地方から上京し4か月、格闘技漬けの日々を送っている。師匠の教えをまっすぐに受け取る若き格闘家の現在地に迫った。(取材・文=島田将斗)
「以前と比べて、打撃も寝技も精度が上がったと感じています。パワーで押し切るのではなく、色々な角度やポジションから自分がやりたい技に入れるようになった。打撃に関しても、相手がよく見えるようになって、被弾が減った気がします」
かつて地元のジムにいた頃は、細かい技術を論理的に教わるというよりは、実戦のスパーリング中心の練習をしていた。「分からないことが分からない」。そんな状態だったというが、今は違う。
「東京に来て初めて習うような細かい技術がたくさんありました。だから成長が『ボーン!』と一気に伸びたかなと思います」
MMAファイターだが、以前のファイトスタイルは打撃一辺倒。ここにきて意識は大きく変わった。
「これまでだと自分からタックルに行くなんて考えられなかった。前回の試合(昨年11月)で自分からテイクダウンして寝技に持ち込めた。それがすごくうれしかったですね」
昨年11月の試合では、出場者のなかで、ただひとりだけローキックの鈍い音を会場に響かせていた。
「自分は空手ベースでもローキックはあまり使ってこなかった。こっち(伊澤星花チャレンジ)に来て『蹴ったほうがいいよ』と言われて武器になりました。今はパンチから蹴り、蹴りからパンチへとつながるようになっています」

急成長の背景に伊澤とCOROの緻密な指導
急成長の背景には、まるで授業のような伊澤とCOROによるち密な指導がある。
「1週間ごとに『今日は距離感』『今日は角度』とテーマを区切って、自分に合ったメニューを組んでくれます。まず午前に星花さんとスパーリングを3本やって、その後に良かった点と悪かった点を言ってもらいます。そこを詰めて、夜の一般会員さんとの練習でアウトプットする。そうやって自分の中に落とし込んでいます」
他にもフィジカルトレーニングとして都内の「HALEO」にも通っている。ほとんど女子選手はいないため、男子選手にまじって参加しているそうだ。
「ついていくのが大変です。吊り革のようなリングにぶら下がって耐えるメニューがあるんですが、腕力だけでは耐えられないので体を小さく丸めて耐えるしかない。そうすると腹筋を使うので呼吸ができなくなって……本当に地獄です(笑)」
竹林は毎日「反省ノート」をつけている。その日できたこと、できなかったこと、明日の課題。練習前に読み返し、夜、寝られないときに見返しているそうだ。「星花さんに『書いたほうがいいよ』と言われて始めた」というこの習慣が、技術の定着を早めていると言っても過言ではない。
伊澤とCOROの指導は格闘技だけにとどまらない。
「あいさつの方法や礼儀作法など、格闘家としてだけでなく人間性の部分も指導してもらっています。私は高校卒業後、すぐに実家の現場仕事を手伝っていたので、周りはお父さんの知り合いばかりでかわいがってもらっていました。だからなんとなくで乗り越えてこられたんです。覚えることが多いですが、勉強になります」
“師匠”伊澤は練習を教えてくれる身近な存在の一方で、DEEP、RIZIN王者という格闘技界を引っ張っている存在でもある。その実力を身に染みて感じているという。
「レベルが全然違います。他の人にならフロントチョークをかけられても逃げられるし、苦しくない。でも星花さんやCOROさんは、気づいた時にはもう入っているんです。『ヤバい』と思った時には手遅れで少しでも動くと極まる。逃げるすきがないし、セットまでのスピードがとにかく速い。私より体重は軽いはずなのに、全く動けなくなるんです」
メンタルコントロールも学んでいる。試合3週間前までは厳しく追い込み、直前の1週間は褒めて自信を持たせるのが伊澤流。そして何より感銘を受けたのは、昨年大みそかのRIZINで見せた“師匠”の強靭なメンタリティだった。
「星花さんは『アンチがいたほうが盛り上がるから、どんどん来い』って言ってるんです。言われても気にしないメンタルが凄い。大みそかのRENA戦も、ダウンを奪われた時は家で見ていて叫んじゃいました。でも、星花さんはすぐに冷静に戻ってリカバリーした。私だったら焦り散らかしてしまう。やっぱり師匠だなと」

「フィニッシュできる選手が少ないから…」ジョシカクに複雑な思いも
ネット上には時折、「女子格闘技はいらない」「塩試合が多い」という心ない言葉が並ぶことがある。この現状を、若手としてどう受け止めているのか。
「正直、『言わんでよくない?』って思います(笑)。なんでわざわざ書くんだろうって。確かに判定決着が多くて、フィニッシュできる選手が少ないから『トイレ休憩』なんて言われちゃうのかなとは理解しています」
悔しさをにじませつつも、竹林は前を向く。批判を黙らせるには、試合内容で示すしかない。
「私は、自分の試合動画を『スキップ』されないような試合がしたい。動画を見ている人に、スキップボタンを押させないような、常に動きがある試合。相手を見るんじゃなくて、しっかり自分発で動けるようなファイトスタイルを見せていきたいです」
動画をスキップされたくない。タイパを重視するデジタルネイティブ世代ならではの表現に、強い闘志が込められていた。
竹林は格闘技イベント「DEEP JEWELS 52」(2月23日、東京・ニューピアホール)で海咲イルカ(リバーサルジム立川ALPHA)と対戦する。この4か月で叩き込んだ“伊澤イズム”をリングで体現できるか。一瞬も目が離せない戦いに期待したい。
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