28歳女性が乗り続ける78年式クラウン 集める視線…一体なぜ? 父は大賛成、「車のために」が原動力
28歳の女性会社員が乗り続けているのは、1978年式のトヨタ・クラウン。50年近く前に製造された名モデルを、大学生の時に、初めてのマイカーとして手に入れた。買い物やドライブに出かけると、“視線”を集めることは日常茶飯事。クルマには「興味がなかった」というが、なぜ? 気になる愛車物語を聞いた。

【愛車拝見#355】「時代の中で大事にされてきた車」 5代目クラウンにぞっこん
28歳の女性会社員が乗り続けているのは、1978年式のトヨタ・クラウン。50年近く前に製造された名モデルを、大学生の時に、初めてのマイカーとして手に入れた。買い物やドライブに出かけると、“視線”を集めることは日常茶飯事。クルマには「興味がなかった」というが、なぜ? 気になる愛車物語を聞いた。(取材・文=吉原知也)
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高貴な存在感を放つクラウン。オーナーのやまださんにとって、最初のマイカーであり、ずっと乗り続けている愛車だ。「この5代目クラウンは、いつ乗っても楽しいクルマです」と声を弾ませる。
不思議に引き寄せられていった。もともとバイクが好きで、「四輪は後でもいいかな」。自動車にはそこまで関心がなかった。周りの友達がマイカーを持ち始めたことで、「自分も免許取ってお金貯めて車買おうかな」。20歳過ぎで免許を取得して、21歳で運命の愛車と出会うことになる。
特に旧車を意識していたわけではなく、「角張ったデザインがいいな」という感覚で車探しを始めた。ネットの中古車検索で、見た目がカッコいいと思った車を次々とお気に入り登録していった。
「最終的に、お気に入り一覧が全部クラウンだったんです(笑)。じゃあ私はクラウンを買った方がいいのかな? って。ここまで来たら運命だって」。何も知らずに自分のセンスだけで選んだ車が、すべてクラウンだった。旧車を専門的に扱う店を訪ね、「見た目がすごく好き」。“ひと目ぼれ”だった。
50年の節目が近い旧車だが、「そもそも古い車だと思って買ってないんです。パワステもパワーウインドウも、エアコンも付いているので、新しい車だと思って買いました!」と笑う。
装備・機能を引き合いに出して、そう語る理由。それは、実家の車にあった。父親が乗っていたのは、フランスの自動車メーカー、シトロエンの2CV。「エアコンもなく、何も付いていないような車に小さい頃から乗っていたので、それが自分の中の車のベースになっていたんです。だから、クラウンはトラブルも少ないし、いろいろ装備も付いているし、全然快適だと思いました」と実感を語る。
父も愛車選びを理解してくれた。「母は『大変だから、社会人になってからでも』という感じだったんですけど、父は大賛成でした。車の販売店さんに連れて行ってくれました。父はシャイな性格でべた褒めするみたいな感じではないのですが、『いいんじゃない』と言ってくれています」。きっとお父さんにとっても自慢のクラウンになっているはずだ。
昭和な雰囲気漂う渋い愛車チョイス。いい意味で“ギャップ”があり、普段の運転でも注目の的になっているという。
「まず私の車だと思われないんです。『お父さんの車かと思った』と言われます。基本、オーナーの確認から入ります(笑)」。コンビニに寄れば、ほぼ毎回声をかけられる。「『昔、親戚のおじさんが乗ってた』『学校の先生が乗ってた』など、皆さん懐かしむ様子です。他には『本当にあなたの車なの?』と聞かれることもあります(笑)」。
この「見られる」という感覚。「だから逆に、レンタカーや代車で今の車を借りた時に、視線を感じないと、『あれ、見られないな』という違和感があるんです(笑)」。ユニークなエピソードを披露してくれた。

「自分の人生の中心をほとんど占めています」
維持・管理を続けるのは簡単ではない。月々の維持費はそこまでかからないが、一度修理に入ると部品がそもそも出回っていないため、数十万円かかることもあるという。「だから、もし何かあった時にすぐ修理に出せるように、仕事を頑張っています!」。
実は、愛車のために転職までしている。以前は好きな分野の仕事に就いていたが、給料がそれほど高くなかった。「車を取るか、仕事を取るか」を考えた時、迷わず車を選んだ。今の業務内容に含まれる営業職は少し苦手だったが、「車を維持するためなら」と日々奮闘。しっかり乗れるように維持し、クラウンのための緊急時の資金を備えられるよう、涙ぐましい努力を重ねているのだ。
エンジンはオリジナルをキープ。マフラーは純正のものに穴が開いてしまったため、専門店で作ってもらった。できる限り当時の状態を保ちながら、より長く走れるよう、整備に余念がない。「外装はきれいなまま保ちたいです。やっぱり50年近くなってくるので、エンジンなど内部のメンテナンスを重点的にやっていきたいです」。
クラウンが歩んできた長い歴史をかみしめ、「旧車に乗ること」の意義についても考えを深めている。「他のオーナーさんがしっかり維持してきたからこそ、私の手元にある車なんです。前のオーナーさんから引き継いだ、時代の中で大事にされてきた車なので、その思いを受け継いで大切に乗っていきたいです」。
「自分の人生の中心をほとんど占めています」と言い切るやまださん。日々の生活で大変な時も、クラウンが原動力になっている。「仕事がつらい時、この車のために頑張ろう! って言い聞かせています」。
スーパーのお買い物も、ちょっとご飯を食べに行くにも、休日ドライブにも、いつもこのクラウンのハンドルを握っている。「本当に生活に浸透しています。買った時のワクワク感がずっとあるんです。自分の一番好きな車に乗れていること。それがいいなと思っています」。満面の笑みに、充実感が伝わった。
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