朝倉未来は「今回勝ったら…」青木真也、RIZIN大みそか大会の展望「そういう世界線ある気が」

大みそか恒例のビッグイベント「Yogibo presents RIZIN師走の超強者祭り」(埼玉・さいたまスーパーアリーナ/ABEMA PPV ONLINE LIVEで全試合生中継)の開催が迫っている。今年はRIZIN10周年。5大タイトル戦が行われる同イベントを旗揚げ大会に参加していた青木真也はどう見るのか。

「朝倉未来経済圏」の生みの親・青木真也【写真:山口比佐夫】
「朝倉未来経済圏」の生みの親・青木真也【写真:山口比佐夫】

今大会も速報予定もまさかの存在が「怖いんですよ」

 大みそか恒例のビッグイベント「Yogibo presents RIZIN師走の超強者祭り」(埼玉・さいたまスーパーアリーナ/ABEMA PPV ONLINE LIVEで全試合生中継)の開催が迫っている。今年はRIZIN10周年。5大タイトル戦が行われる同イベントを旗揚げ大会に参加していた青木真也はどう見るのか。(取材・文=島田将斗)

「今年のRIZIN、どう見ますか?」と話を振ると、青木は首をかしげながら珍しく黙った。15秒ほどの沈黙のあと「まあ今年は単純に井岡一翔(同日開催のWBA世界バンタム級挑戦者決定戦)も弱いし」と渋い顔。

「井岡が弱いから、こっち(RIZIN)に来るって問題でもないか。大みそかっていうよりは、その、ナンバーシリーズの1つみたいな位置付けなんじゃないか」と見立てを明かした。

 青木から見れば「朝倉未来経済圏総動員」イベントだという。JAPAN TOP TEAMからは朝倉のほか、ヒロヤ、秋元強真が、格闘技エンターテインメント「BreakingDown」からは冨澤大智、ジョリーが出場する。

「朝倉未来が出ることによってチケットが売れる。朝倉がやることによって数字が出る。朝倉ありきってだけですよ」と世間の盛り上がりとは違い冷静だ。

 驚きの提言も飛び出した。

「朝倉さんはお金あるならRIZIN買っちゃえばいいのに。そういう世界線ある気がしますよ。今回勝ったら、引退して、RIZIN買って、みたいになりそうじゃんって俺は思っちゃいますけどね」

「なんでみんなATTになるのか?」と疑問を投げかけた青木真也【写真:山口比佐夫】
「なんでみんなATTになるのか?」と疑問を投げかけた青木真也【写真:山口比佐夫】

ATTに「俺は入れてもらえないのかな」

 巨大化する“朝倉未来経済圏”(青木の造語)。誰もが触れざるを得ない状況で、その引力とどう付き合うのか。答えは「距離を取る」だ。

「俺たちは朝倉未来経済圏とどういうマッチアップをするかっていうのが妙ですよね。“朝倉未来”がいるので、そこに噛みつきにいくのか、距離を取って、その光によって自分が輝くかみたいなことですよ」

 例として出したのは「BreakingDown」だ。一見、関係ないところにいるように見える青木だが「影響を受けないのは無理な話」という。

「その理由はBreakingDownがあるから、どういうものを作るかって思うから。その時点で影響を受けてるんですよ。だから朝倉未来経済圏からどういう影響を受けるかってこと。俺は粛々と意見論評・分析して小銭を稼ぎますよ」

 視線はリングの中にも向けられた。今大会で気になっていたのは米国メガジム・ATT(アメリカン・トップチーム)所属選手の多さだ。元谷友貴、ダニー・サバテロに加え、神龍誠、野村駿太(ケガで欠場)も同ジム所属となった。「なんでみんなATTになるのか?」と疑問を呈した。

「こんなこと言うと怒られますけど、“右向け右”かなと思いますよ。大衆心理というか、それが強い。俺はダサくてやりたくない」

 こう毒を吐きつつ「俺は入れてもらえないのかな」と冗談を飛ばした。

ライバルの存在を明かす「あいつ、すごいのよ」

 文筆家として立ち位置を築いてきた青木は大会当日、マスコミと同じように試合速報をnoteで発信している。コアな分析や独自の裏話が盛り込まれた記事は人気コンテンツ。しかし、その領域にも“敵”が現れた。

 マスコミとも他の格闘家とも違う視点で発信しているため、“敵なし”の状態であったが「あいつ、すごいのよ」とライバルの存在を明かした。

「ちょっとAIが優秀になりすぎていて、どうしようって思ってるんですよね。ちょっと面白いユーモアとか、ギリギリのやつを出せないと多分勝ち目ねえなと思って。怖いんですよ」

 もっと大げさな言い方をすればAIによって「“格闘技”がなくなる」とまで見ている。

「島田裕二レフェリーがめちゃくちゃいいこと言ってて、RIZINのMMAがみんな競技化してるって。それだったらAIがレフェリーをやればいいよなって。みんな怒ると思うけど、『レフェリーが試合を作るんだよ』って。それは俺も同意なんですよ」

 だからこそプロレスの価値が上がるとも指摘した。

「プロレスって、何は起きるか分からない。例えばここをレフェリーが見てたら、あっちでは反則ありっていう世界じゃん。AIの時代だからユーモアというか、クリエーティブな部分の評価が上がると思うんですよね」

 毎週、毎月のようにアップデートされているAI。企業だけでなく個人単位でも浸透し、我々はその便利さを享受している。

「完璧である必要はないと思うんです」。“不完全さ”や“余白”の見える論評こそ、青木が唯一無二である理由だろう。

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