鈴木福主演『ヒグマ!!』、26年1月23日公開へ 一度は延期…監督が異例の1000文字超えコメント
俳優・鈴木福が出演を務める映画『ヒグマ!!』の新たな公開日が、2026年1月23日に決定したことが11日に発表された。

緊迫の場面写真10点も一挙公開
俳優・鈴木福が出演を務める映画『ヒグマ!!』の新たな公開日が、2026年1月23日に決定したことが11日に発表された。
本作は、監督・脚本を内藤瑛亮が務めるサバイバルスリラー。現代社会で問題視されている「闇バイト」の闇と、自然の脅威としてのヒグマの恐怖を交差させながら、フィクションとしてもリアリティーを追求した作品となっている。
当初予定されていた公開日は11月21日であったが、クマによる被害が全国的に深刻化。10月24日に公開延期となることが発表された。
公開日再設定について、製作委員会は「本作に含まれるスリラー描写や都市生活に潜むリスクといったテーマを、観客の皆さまにフィクションとして適切な距離感で受け止めていただける時期について慎重に検討を重ねた」と説明。そのうえで「2026年1月23日の公開がふさわしいとの判断に至りました」としている。
あわせて、10点の場面写真も一挙解禁された。泥だらけで耳に包帯を巻いた小山内(鈴木)が、左足をガムテープで固定した若林(円井わん)を支える場面や、猟師の神崎(宇梶剛士)と若林が力強く握手を交わすシーンが公開されたほか、横転した軽トラックの上でほうこうするヒグマや、鋭い眼光を放つ闇バイトたちの姿など、物語の緊迫感を伝える印象的なカットがそろった。
内藤監督「フィクションと現実の距離感について改めて考えました」
内藤監督と鈴木のコメントは下記。
○鈴木福
「はじめに、熊による被害に遭われた皆さま、ご家族、そして不安な日々を過ごされている地域の方々へ、心よりお見舞い申し上げます。
『ヒグマ!!』は、社会問題となっている闇バイトの闇、そして自然の脅威としてのヒグマの恐ろしさを描きながら、エンターテイメントとしてもしっかり楽しんでいただける作品を目指して撮影に臨みました。
クマ被害のニュースが続く中で公開延期となりましたが、こうして新しい公開日をお伝えできることに、胸を撫で下ろしています。今、この現実に直面しているからこそ、多くの方に響く作品になると信じています。
ぜひ劇場で、現実と物語の境界線を体感してください! この作品が、自然との向き合い方や命の重さ、自己との向き合い方を、少しでも考えるきっかけとなれば幸いです」
○内藤瑛亮監督
「熊による被害によって多くの方が傷つき、ご苦労を強いられていることに心を痛めております。一日も早く平穏な暮らしを取り戻されますよう祈っております。
『ヒグマ!!』の公開延期を受けて、フィクションと現実の距離感について改めて考えました。フィクションは現実には起きて欲しくないことを描きます。ファンタジーであっても現実と繋がるような問題が描かれなければ、観客の心を動かすことはできません。
一方で現実との距離が近過ぎてしまうと、フィクションとして受け止められず、心を過剰に動揺させてしまいます。それは作り手の本意ではありません。現実と距離をとりつつ、しかし現実にある問題と繋がる物語を届けたいです。その案配は繊細で、『ヒグマ!!』が公開延期をせざるを得なかった事情は理解できます。楽しみにされていた方には申し訳ありませんでした。
僕たちはフィクションがなくても生きられます。映画を観なくても、演劇を観なくても、本を読まなくても、生活できます。でもフィクションがない世界なんて淋し過ぎます。現実にある問題は正解がありません。何が正しくて、間違っているのか、常に頭を悩まされます。考え抜いて選んだ道が正しかったのか、教えてくれる人はいません。霧に包まれた道を恐る恐る歩き進むしかありません。時に息苦しく、心細くなります。
そうしたときに救いとなるのがフィクションです。フィクションは現実に起こりうる問題を掬い取り、物語を紡ぎます。観客は主人公を通じて苦しみ、悲しみ、笑って泣いて、絶望に打ちのめされ、希望を見いだし、社会が抱える病理に気づき、自分とは全く異なる立場の人の背景に思いを馳せ、自分だけが抱えていると思い込んでいた痛みが他の誰かも抱えていたと驚き、形容できない感情と出会い、フィクションにしか浄化できない鬱屈とした感情があることを知ります。フィクションがあるからこそ、僕らは正解のない現実とも向き合って生きていける。そう思っています。
既にヒグマ被害が増加傾向にあった2023年に『ヒグマ!!』という物語を生み出す決心をしたのは、僕たちに必要なフィクションだと確信したからです。ヒグマの恐ろしさを徹底的に描きながら、落ち込んでばかりいられないよと笑い飛ばす明るさがあり、突き抜けるような爽快感に満ちた結末を迎える映画を目指しました。
『ヒグマ!!』の再公開が決定しました。昨今の状況を鑑みると、この作品が完成したことも、公開できることも奇跡のように思います。一緒につくってくれたキャスト・スタッフ、再公開のために尽力してくれた方々、待ってくれていた観客の皆様には感謝しかありません。
2026年の冬に、映画館という暗闇で、同じ時代を生きる人々と、スクリーンで大暴れするヒグマを観る。そこにはこの瞬間にしかない感動があるはずです。見逃さないで下さい」
あなたの“気になる”を教えてください