「早く捨てればいいのに」憧れのスポーツカー納車も…30代女性が“ボロボロ”の愛車を手放せないワケ
マニュアル運転免許を取得して3年、今年2月に念願の納車。しかも、フェアレディZを――。そんな“遅咲き”の30代女性スポーツカー乗りがいる。キャンペーンガールとしても活躍する、Zネキさん。実は父親が元ラリードライバーで車好き一家で育ち、もう1台「ボロボロのマイカー」を愛用しているという。ユニークな愛車生活に迫った。

【愛車拝見#339】父親は元ラリードライバーで、車好き一家で育った
マニュアル運転免許を取得して3年、今年2月に念願の納車。しかも、フェアレディZを――。そんな“遅咲き”の30代女性スポーツカー乗りがいる。キャンペーンガールとしても活躍する、Zネキさん。実は父親が元ラリードライバーで車好き一家で育ち、もう1台「ボロボロのマイカー」を愛用しているという。ユニークな愛車生活に迫った。
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愛車フェアレディZは、2002年式のZ33前期型。「私は車(の型式)と同じ33歳です!(笑)。スポーツ走行するなら、やっぱりブレンボの金色のブレーキキャリパー。快適性も欲しかったので、電動シートも外せない。あと、音楽を聴くのが好きなので、Boseのスピーカー。この3つはポイントです」と、明るい笑顔で自慢の1台を紹介してくれた。
今年2月に手元に来たばかりだが、実は運転免許を取得したのは30歳前後。なぜここまで、スポーツカーに魅了されたのか。
「元々うちの父親がラリースト(ラリードライバー)だったんです。父が乗っていた車の最初の記憶はグロリアです。父はもっぱら大きなアメ車に乗ってきました。それに、兄も弟もクルマが大好きでドライブにもよく出かけていて、“車があるのは当たり前”の環境で育ってきました。私自身は友人たちのスポーツカーに横乗りし、サーキットや峠を楽しんできました」。幼稚園児の頃に見た、ある映像が原点だ。「父の運転するラリーカーのオンボード映像(車載動画)を見て、『すげぇ、かっこいい』と思ったんです。今思えば、これが私が車を好きになったきっかけになりました」と振り返る。
家族や友人と、ドリフト走行のレース観戦を楽しみ、自動車漫画・アニメの金字塔『頭文字D』にも夢中になった。「先輩の横に乗せてもらうと、マニュアル車はかっこよくて、楽しくて。それで『いつかは自分も乗ってやる』と思っていたんです」。助手席から見ていた景色を、いつか運転席から見てみたい。そんなあこがれを長年温め続けてきた。
そして、人生の転機が訪れる。「30歳を過ぎたら取れるかちょっと不安だったんで」。一念発起して教習所へ。「取るなら絶対マニュアル。一択でした」。スポーツカーを本気で楽しみたいという覚悟を決めて、免許を取った。
念願のフェアレディは、中古車情報をチェックしまくり、スポーツカー専門店でゲット。ついに、自分でハンドルを握って、走る喜びを体感できるようになった。運転にもばっちり慣れてきて、「めっちゃ楽しいですよ。安定感とパワーもよくて。なんだかんだ毎週乗っていて、乗っては洗車、乗っては洗車です。たくさん乗って、もっともっとZのことを知っていきたいです」とほれ込んでいる。

実は大切な車はもう1台ある。弟からの意外な一言がきっかけだ。「お姉ちゃん、免許取るんだったらこの車あげるよ」。これが免許取得の契機にもなったのだが、差し出されたのは、なんと部品取り用だった軽乗用車のダイハツ・ミラ。ドリフトを趣味とする弟が所有していた「解体寸前」の車両だった。
「車内はもうほこりまみれ、ガラスの破片まみれで、本当にひどい状態だったんです」。屋根の塗装が剥げ、傷やサビが目立つ代物。しかし、このボロボロのミラを諦めなかった。ボンネットを交換するなど、苦労を重ねながら復活させた。車検を通し、普段使いの車として乗っている。整備に詳しい友人に相談しながら、できる限り自分で対応。最初はマニュアルの練習として乗り始めたが、今では大切なマイカーだ。
「やっぱり自分で手塩にかけた車は、いとおしくなるものです。乗っていて、前と違うなという違和感や故障の前触れに、自分で変化に気付けることはすごく大事だと思っています。あちこちハゲちゃって異音も出て、周りからは『ミラは全然似合わない』『女性が免許を取って最初に乗る車じゃない』『早く捨てればいいのに』と散々言われましたが、ポンコツでもけなげに私を乗せて走ってくれるので、廃車にはできません」。ミラから学ぶことは多いという。
現在、カー用品の販売員やキャンペーンガールとしても活動。イベントブースなど、自動車に関わる仕事に楽しく取り組んでいる。「お仕事を頑張らないと」。その言葉の先には、フェアレディZの次なる目標がある。「『頭文字D』キャラクターの池田竜次仕様にカスタムしたいんです! エアロやGTウイングは結構お金がかかっちゃうんで」。愛車をさらに磨き上げるため、日々の仕事に全力投球だ。
先日、『頭文字D』のイベントに参加した時のことだ。クルマ文化への未来に思いを深める出来事があった。子どもたちはスポーツカーに興味津々の様子で、「運転席に座らせてあげたら、すごくキラキラした顔で楽しんでくれたんです」。この光景を目の当たりにして、「私たちよりもっと若い世代が大人になった時に、スポーツカーというものが残っているような未来にしていかないといけない。スポーツカー好きを絶やさないこと。次世代につないでいくことが大事だなと実感しました」。使命感が湧き上がったという。
解体寸前からよみがえらせたボロボロのミラと、愛してやまないフェアレディZ。これからも全力でカーライフを楽しんでいくつもりだ。
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