【プロレスこの一年#12】アスカ、佐々木健介、小橋建太、越中詩郎が大ブレーク「復活」に沸いた2007年のプロレス界
今から13年前の2007年9月22日、ある女子プロレスラーがカムバック戦のリングに立った。その女子レスラーとは、04年にAtoZでデビューした華名だった。華名は将来を嘱望されるも、持病の慢性腎炎でドクターストップがかかり06年3月19日の後楽園ホールで引退。しかしプロレスリングSUN新宿大会での高橋奈苗戦で、1年半ぶりの試合をおこなったのである。
【プロレスこの一年#12】平成19年(2007年)
今から13年前の2007年9月22日、ある女子プロレスラーがカムバック戦のリングに立った。その女子レスラーとは、04年にAtoZでデビューした華名だった。華名は将来を嘱望されるも、持病の慢性腎炎でドクターストップがかかり06年3月19日の後楽園ホールで引退。しかし、プロレスリングSUN新宿大会での高橋奈苗戦で、1年半ぶりの試合を行ったのである。
その華名は現在、アスカ(ASUKA)にリングネームを代えて世界最大のプロレス団体WWEで数々の記録を打ち立てている。ゴールドバーグが保持していた連勝記録を軽く乗り越え、その数字を267まで大幅更新してみせた。当時の下部組織NXTからの昇格後も勢いは止まらず、年間最大の祭典「レッスルマニア」には3年連続出場。今年の祭典はカイリ・セインとのカブキ・ウォリアーズで女子タッグ王者として参戦した。カイリ離脱後は再びシングルプレーヤーとして女子の主役を担っており、現在は自身2度目のロウ女子王者。15年秋の初登場以来、現存する女子のベルトをすべて巻いている、まさに“女帝”なのである。
07年のカムバック戦こそ厳しい内容だったものの、以降、華名は秘められたポテンシャルを開花させ、復帰前までは披露されることのなかった自己プロデュース能力を存分に発揮し、WWEにもその名前が届くようになった。一度引退した選手であることはあまり知られていないが、彼女の復帰がなければ現在のWWEはなかったのではなかろうか。引退から現役復帰するプロレスラーは枚挙に暇がない。が、戻ってきた後の活躍は文句なしにプロレス史上最高だ。
振り返ってみれば、07年の日本マット界は“復活の年”でもあった。女子では華名の前に桜花由美が新団体WAVEの旗揚げ(8・26新木場)とともに長期欠場からカムバック、小世帯ながらもエースとして団体を引っ張っていく立場になった。また、この年にはベテランの吉田万里子が若手に活躍の場を与えるべくスタートさせた「息吹」が開始から2年となる5月5日に聖地・後楽園ホールに初進出。ジャンル復活に向け、“息吹”を文字通りに感じられる若い力を成長させていくこととなる。