「まだ信じられない」3回目の挑戦で初の朝ドラ出演 上坂樹里がつかんだ「1/2410」の未来
俳優の上坂樹里は、20歳の誕生日である7月14日に1st写真集『日日是好日』(幻冬舎)がリリースとなる。雑誌モデルを経ての俳優デビューから4年。念願だった朝ドラの主演も勝ち取った彼女が思い描く未来予想図とは――。

一つの夢だった写真集
俳優の上坂樹里は、20歳の誕生日である7月14日に1st写真集『日日是好日』(幻冬舎)がリリースとなる。雑誌モデルを経ての俳優デビューから4年。念願だった朝ドラの主演も勝ち取った彼女が思い描く未来予想図とは――。(取材・文=小田智史)
上坂はエイベックス主催コンテスト「キラチャレ2017」で、モデル部門の審査員特別賞を受賞して芸能界入り。そして、「ミスセブンティーン2021」に合格してSeventeenの専属モデルになり、俳優としても一歩ずつ活躍の場を広げてきた。
「一つの夢」だった写真集。「応援してくださっている方たちがいるからこそ今の私がいます。写真集は皆さんに感謝の気持ちを込めてお届けできるものだと思います」と語りつつ、ある思い出を振り返る。
「中学1年生の時に、(俳優・モデルの)新木優子さんの写真集(1st写真集『ガールフレンド』)をお姉ちゃんと2人で買いました。イベントにも行ったことがあります(笑)。その時はまだお仕事もちゃんと始めてはいなくて、いちファンとして行ったんですが、写真集にはその人の良さが詰まっていて、見るだけでその良さが分かると思うので、今回の1st写真集を作る上で自分らしさを表現できたらいいなと思って撮影に臨みました」
初挑戦となった写真集は、長崎県の五島列島で撮影し、豊かな自然、歴史、文化が共存する土地で、等身大の無邪気な表情、羽目を外した姿に加え、これまであまり見せることのなかった大人っぽい姿が収められているのが特徴。3人姉妹の末っ子で、小学校では児童会会長、中学校では生徒会副会長、会長を歴任した上坂は、「私は静かな方だと思いますけど、はっちゃける時ははっちゃけます(笑)。どちらかと言うと表情に出やすいタイプです。写真集ではバシっと“キマっていない”表情、少し砕けた表情、美味しいものを食べている顔がいろんなところに出てきます。普段あまり見せないですけど、これが私の“素”です」と話す。
写真集のタイトル『日日是好日』(にちにちこれこうじつ)は、上坂自身が決めたもの。そこにはどのような思いを込めたのか。
「『日日是好日』は『毎日が素晴らしい日である』という意味になります。人生には良い日も悪いもあると思いますが、その日にしか感じられないことがあってその気持ちを大事にしたい、そして今のありのままの自分を応援してくださっている方に届けたい、という思いでこれにしました。改めて出来上がった写真集を見て、自分しか載っていないので感動しましたし、20歳の誕生日というタイミングで出せるのは本当に幸せです。自己評価は100点、大満足です!!」

『風、薫る』の主人公の1人・大家直美役に決定
12歳で芸能界入りした少女も、7月14日で20歳となる。「早く20歳になりたい」と語っていた上坂だが、20代の扉を開くことに心を躍らせる。
「『10』代から『20』へ数字が変わるだけで、大人になるというか、世界が広がるんだろうなというイメージがあります。これから何が起こるのか、未知の部分ではありますけど、ワクワクが大きいです」
20歳を迎える前には、うれしいニュースもあった。2026年度前期のNHK連続テレビ小説『風、薫る』の主人公の1人に抜てきされたのだ。朝ドラ出演は俳優歴5年目、3回目のオーディション挑戦で初となる。
「“一番の夢”に掲げていた朝ドラの主人公になったことは、本当に幸せです。同時に、ファンの方、家族、スタッフさんら自分の周りの方々に支えてもらって20歳を迎えられると思うので、感謝の気持ちを忘れずにひたむきにお仕事と向き合っていきたいです」
俳優・見上愛(一ノ瀬りん役)が主人公の1人として先に発表されていた『風、薫る』は、もう1人の主人公・大家直美役をオーディションで決定。2410人の応募があった中で、その座を勝ち取った。「ふとした瞬間に、いまだに『えっ!?』って信じられなくなります」。上坂は驚きの表情を見せながら笑う。
「『1/2410』……、正直、驚きの方が大きいです。いまだに記事を見たりすると、『あ、そうか、私(朝ドラに)出るんだ』『決まったんだ』と振り出しに戻る感覚というか、信じられない部分がまだあります。今は緊張感の方が大きいかもしれません。でも、決まってからいろんな方に祝福・応援のメッセージをいただけるので、選んでいただいたからには、自分が演じる大家直美という役と共に、一緒に成長できたらいいなと思います。初めての看護師役になりますが、モデルになられている鈴木雅(すずき・まさ)さんという方がいらっしゃるので、時代背景なども学びながら、役をしっかり全うできるように撮影に臨みたいです」

『御上先生』で新たな感覚「周りが見えるようになった」
共に看護師を演じる見上とは今回が初共演。「(今年6月の記者会見前に)初めてお会いした時に、太陽みたいな方だと思いました」と、上坂は印象を口にする。
「見上さんがいらっしゃると周りもパッと明るくなります。すごく緊張している私に話しかけてくださったり、会見の時も隣にいる見上さんの眼差しがとても温かくて。見上さんに支えていただくことが多くなってしまうかもしれないとは思いますが、胸をお借りしながら、バディとしてお互いに支え合っていける関係になれるように頑張りたいです」
上坂は2025年1月期のTBS系連続ドラマ『御上先生』で、生徒の東雲温(しののめ・たずね)役を好演。松坂桃李、吉岡里帆ら豪華な共演陣から大きな刺激を受け、俳優としての成長も実感できたと明かす。
「自分の中で大きいと感じているのは、『周りが見えるようになった』こと。これまではお芝居をしている時、どうしても自分本位で、無理やり感情を起こしたり、自分のせりふにいっぱいいっぱいになって、相手がいるのに1人でどうにかしようという気持ちが先行していました。でも、『御上先生』の撮影期間は、現場に行ってお芝居をしていく中で、そこで生まれた初めての感情があったり、人の目を見て心の中で何かが動いて、覚えていたせりふが出るという感覚が何度もあったんです。初めて相手とちゃんとキャッチボールができたと思えたので、自分にとって大きな学びでした」
上坂の俳優人生はまだこれから。「それぞれの作品の世界観がある中で、1人の人間としてそこに存在できるような役者でありたいと常に思っています」と、明るい未来へさらなるステップアップを誓った。
□上坂樹里(こうさか・じゅり) 2005年7月14日、神奈川県生まれ。21年8月から『Seventeen』専属モデルを務め、同年に俳優デビュー。22年にNHK『ヒロイン誕生! ドラマチックなオンナたち』、23年にNHKの特集ドラマ『生理のおじさんとその娘』やフジテレビ系連続ドラマ『いちばんすきな花』、24年に日本テレビ系連続ドラマ『となりのナースエイド』『ビリオン×スクール』に出演。今年はNHK BS『TRUE COLORS』、TBS系連続ドラマ『御上先生』に生徒役としてレギュラー出演して注目を集めたほか、「オロナミンC」のテレビCMにも出演している。特技は書道。身長160センチ。
