フジ、日枝久氏への退職金は「実行される」 FMH新社長が明言…弁護士の見解受けた措置と説明

フジテレビの親会社フジ・メディア・ホールディングス(以下、FMH)が定時株主総会を開き、会社側の人事提案が全員可決されたことを受け、フジテレビの清水賢治社長が25日、都内の同局で会見を行った。「経営体制は完全に刷新されました。株主の皆様に心から感謝申し上げます」と述べた。FMHは取締役会も実施し、相談役を務める日枝久氏の退任も正式に決まった。

会見を行ったフジテレビの清水賢治社長【写真:ENCOUNT編集部】
会見を行ったフジテレビの清水賢治社長【写真:ENCOUNT編集部】

出席した株主は昨年の20倍超となる3364人が詰めかけた

 フジテレビの親会社フジ・メディア・ホールディングス(以下、FMH)が定時株主総会を開き、会社側の人事提案が全員可決されたことを受け、フジテレビの清水賢治社長が25日、都内の同局で会見を行った。「経営体制は完全に刷新されました。株主の皆様に心から感謝申し上げます」と述べた。FMHは取締役会も実施し、相談役を務める日枝久氏の退任も正式に決まった。

 株主総会では新体制案が最大の焦点となったが、次期社長候補の清水専務(フジ社長)や前ファミリーマート社長の沢田貴司氏ら11人を新取締役とする会社側の人事提案が、すべて可決された。人事は7月10日付。同社によると「速報値で8割超の信任」を得たという。一方で、米投資ファンドで大株主のダルトン・インベストメンツは、SBIホールディングスの北尾吉孝会長兼社長ら12人を社外取締役に入れるように独自の株主提案を行ったが、否決される形となった。また、フジテレビも株主総会と取締役会を行い、清水氏の社長続投が決まった。

 フジテレビを巡っては、元タレント・中居正広氏による同局元アナウンサー女性Aさんへの性暴力が第三者委員会に認定され、今月に入って社員によるオンラインカジノへの関与が刑事事件になった。ガバナンス(企業統治)不全が露呈する中で、FMHがどう再出発していくのか。株主の判断が注目を集めていた。

 質疑応答で、日枝氏の退職金について質問が飛んだ。清水社長は「今日の総会でもご質問がありましたが、今の段階では退職金は実行されると考えています」と明言。弁護士の見解を受けた措置であることを説明した。支給金額を問われると、「すみませんが、個別の退職金についての開示はしていません」とコメントした。

 日枝氏は40年以上にわたって取締役を務め、フジサンケイグループ内の人事権を持つなど強い影響力を及ぼしてきた。一連の問題を巡り、経営責任への批判の声が上がっていた。

 日枝氏に関する質問は続く。「日枝さんには何かしら信条、今の時代について思うことがあると思います。何かしらのコメントがあっても……と思った次第です」と清水社長。日枝氏の評価を聞かれると、「1980年代のフジテレビの躍進は、日枝取締役の功績だったと思います。『楽しくなければテレビじゃない』のスローガンは画期的だった。しかし、楽しいことのためには何かしらの犠牲があってもいいと曲解した人が出てきてしまった」とし、これからは脱却を図る決意を改めて示した。そのうえで、「今、フジテレビが落ちてきてしまったこと、さまざまな問題が起こってしまったこと、やはり何らかの責任があると思います。その意味で、功罪半ばあるということだと思います」と所感を述べた。

【FMHの新取締役11人】
社長 清水賢治(FMH専務)
常務 若生伸子(フジテレビ取締役、TVer社長)
取締役 安田美智代(フジテレビ取締役)
柳敦史(フジテレビ執行役員財経局長)
沢田貴司(元ファミリーマート社長)
堀内勉(元森ビルCFO)
稲田雅彦(エミウム代表取締役)
常勤監査等委員 柳沢恵子(フジテレビ人事局上席HRアドバイザー)
監査等委員 森山進(英国勅許会計士協会フェロー)
監査等委員 花田さおり(弁護士)
監査等委員 石戸奈々子(慶応大大学院教授)
※清水氏以外は新任

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