フジ親会社の株主総会、大雨の中で株主が続々会場入り「どんなもんかと思って」「経営刷新をしないと」
フジテレビの親会社・フジ・メディア・ホールディングス(FMH)の株主総会が25日午前10時から、東京・有明アリーナで始まった。中居正広氏による元同局アナウンサーへの性暴力が第三者委員会に認定されたことに加え、今月には社員によるオンラインカジノへの関与が刑事事件となるなど、ガバナンス(企業統治)の不全が次々と明るみに出ている。そんな中、FMHは新たな取締役人事案を提示。さらに大株主の米投資ファンド「ダルトン・インベストメンツ」も独自の人事案を含めた株主提案を行っており、株主はさまざまな思いを抱えながら会場に入った。

2週間前に届いた案内文書
フジテレビの親会社・フジ・メディア・ホールディングス(FMH)の株主総会が25日午前10時から、東京・有明アリーナで始まった。中居正広氏による元同局アナウンサーへの性暴力が第三者委員会に認定されたことに加え、今月には社員によるオンラインカジノへの関与が刑事事件となるなど、ガバナンス(企業統治)の不全が次々と明るみに出ている。そんな中、FMHは新たな取締役人事案を提示。さらに大株主の米投資ファンド「ダルトン・インベストメンツ」も独自の人事案を含めた株主提案を行っており、株主はさまざまな思いを抱えながら会場に入った。
降りしきる雨の中、続々と株主が会場に入った。開始時刻になっても列はできたままで、一人ずつ手荷物チェックを受けた。
株主のもとには約2週間前、総会の案内文書が届いていた。開始を前に、都内から訪れたという男性は、「ちょっと面白そうなので見に来た」と言い、一連の問題については「いろいろありますね」とだけ述べた。
10年以上にわたり、FMHの株を保有している大阪府在住の男性は「どんな意見が出てくるのかと思って来ました」と言い、FMHの状況を冷静に分析した。
「経営刷新はきっちりしないといけないと思います。少なくとも日枝久取締役相談役が何十年も在籍しているのはおかしい。組織のこう着化をどう柔軟にしていくかということだと思います。SBIホールディングスの方が関与しはるとか、そういうことはあんまり考えてない。全くの部外者だから、そういう人を入れても良くはない。やっぱり、分かってる人がきっちりとおやりになって、事業ももう少し再編しないとダメですからね」
具体的な事業については「不動産」と挙げた上で、「少なくとも金融の人が入ってきても、うまくはいかないと思います。今の社長(候補)はそれなりにやる気があるようですから、その方がどういう人を選ぶのか、今日はそれを聞いて判断したい」と語った。
一方、ニュースをきっかけに株を購入したというスーツ姿の30代男性は「どんなもんかなと思って。フジテレビに特に思い入れがあるわけではない」と率直に答えた。
東京・世田谷区から訪れたという女性の株主は「もう20年ぐらい保有しているので頑張ってほしい」と期待を口にした。
「能力とか労力を、新しいコンテンツ作りなどに生かしてくれたら。人事については外から見るのと中から見るのでは違うので、ダルトンを入れるっていうのもいいかもしれないんですけど、その人たちが本当にできる人かはわからない。今日はそのあたりの様子を見たい」と慎重な姿勢を示した。
FMHは、次期社長候補の清水賢治専務(フジテレビ社長)や前ファミリーマート社長の沢田貴司氏ら11人(清水氏以外の10人が新任で女性5人)を新取締役とする人事案を表明している。一方で、米投資ファンドで大株主のダルトン・インベストメンツは、約40年間続いた日枝久取締役相談役の体制が終わることも踏まえ、「これまで生じた課題の解消と、フジテレビの放送・メディア事業の発展を実現するための取り組みが求められている」などと主張。SBIHDの北尾吉孝会長兼社長ら12人を社外取締役に入れるように株主提案をしている。
だが、清水氏は5月16日、「取締役会における真摯な検討の結果、会社提案の候補者が最適であり、さらに望ましい取締役会の規模を考慮すると、取締役会の数を増やすことは適切ではないと判断しました」と説明。ダルトン側とは「敵対はしない」としながら、提案に対しては「ゼロ回答」の姿勢を示した。
株主は取締役候補ごとに賛否を表明でき、過半数の賛成を得た候補の内、賛成率の上位から最多で定員の18人が選任される。
