Sareeeがスターダム上谷沙弥との“本物論争”突入「闘いの定義があるなら押し付けてこい」 悲願のIWGP挑戦直前
“太陽神”Sareeeがまたもや令和女子プロレス界に問題提起の輪を広げようとしている。21日に開催されるスターダムの代々木第二体育館大会で念願であるIWGP女子王座への再挑戦が決まっているSareee。決戦直前のSareeeに、大一番にかける意気込みを聞くとともに、気になる話題についても触れてみた。

IWGPを闘いのシンボルのベルトにしたい
“太陽神”Sareeeがまたもや令和女子プロレス界に問題提起の輪を広げようとしている。21日に開催されるスターダムの代々木第二体育館大会で念願であるIWGP女子王座への再挑戦が決まっているSareee。決戦直前のSareeeに、大一番にかける意気込みを聞くとともに、気になる話題についても触れてみた。(取材・文=“Show”大谷泰顕)
Sareeeは、3月10日に新宿FACEで開催された「SareeeISM7」で、IWGP王者になる前の朱里と一騎打ちを行っている。結果は30分時間切れ引き分け。その際、Sareeeは「最強と呼ばれる朱里に勝てなかった。でも、負けなかったんですよ、私」とコメントを残している。
Sareeeは前回の朱里戦を振り返り、「朱里はめちゃくちゃ強いですよ。(UFC参戦経験を持つ朱里の)バックボーンもすごいじゃないですか。蹴りや打撃も半端ない。鋭いですし。あの試合、キツすぎて」と話しながら、「この間は30分(一本勝負)だったんですけど、今回は60分なので。もう絶対に勝つまで試合をあきらめない」と続けた。
そもそもSareeeがIWGP王座を腰に巻きたい理由は、IWGPの掲げたコンセプトにあった。
歴史を紐解くと、1980年代にアントニオ猪木は、当時のNWA、AWA、WWWF(現WWE)といった3大世界王座のうち、世界最高峰とされていたNWAに政治的な理由で挑戦できなかったことから、であるならそれらを統一した、最強の王座を創設しようと試みる。いわば昨今のプロボクシング界で実施された、WBA、WBC、IBF、WBOの世界王者らが集結した、WBSS(World Boxing Super Series)を40年以上前にプロレス界で開催しようとした。それがIWGPの基本コンセプトだったのだ。
その背景を知り、Sareeeは「ホントに何がなんでもIWGPのベルトは巻いておきたいし、私が巻くことによってあのベルトの色をつけていきたいんです」と語る。
「アントニオ猪木さんや(その片腕だった)新間寿さんが世界最強を決めるためのコンセプトで創られたじゃないですか。そういう歴史があったって聞いているので、そういうベルトが女子にもあったらいいなって思っていたんですよ。だからその名前だけで、誰が巻いていたとか関係なく、このベルトは絶対に欲しいって。だから絶対に腰に巻きたいし、IWGPの歴史をつくっていきたい。闘いのシンボルのベルトにしたいなって」(Sareee)

令和版クラッシュギャルズVS極悪同盟を実現する
また、Sareeeは今現在、マーベラスの彩羽匠とコンビを結成し、第23代AAAWタッグ王者に君臨しているが、7月14日には、新宿FACEでの「SareeeISM8」ではスターダムの凶悪ユニット、H.A.T.Eの上谷沙弥、刀羅ナツコとの対戦が決まっている。
これに関してSareeeは、「対戦相手を考えた時に、女子プロ界で一番ホットな選手って誰だろう?って思った時に、誰がどう見ても上谷沙弥だなって」と話す。
上谷といえば、スターダムの中野たむからワールド・オブ・スターダム王座を奪取し、「負けたら引退マッチ」と銘打った再戦にも勝利し、中野を引退させるなど話題を振りまいた。
Sareeeは「それもだし、何より地上波にめちゃくちゃ出てるじゃないですか。そういう面でも誰と今闘ったら面白くなるんだろう……って思った時に、上谷とH.A.T.Eの刀羅ナツコ」の名前が浮かんだという。
くわえてSareeeが「刀羅はダンプ松本さんから(極悪魂を)継承されて」と話していることから推察すると、Sareeeとしては彩羽とのタッグを令和のクラッシュギャルズに見立て、それが令和の極悪同盟に当たるH.A.T.Eと絡むことにより、日本全国を熱狂させた“あの頃”の女子プロレスの匂いを再現したい、との思いがあるのだろう。
しかもSareeeは、それを自身の自主興行・「Sareee ISM」でやるからこそ意味がある、と話す。
ちなみに本カードを発表してから、とくに上谷とはお互いのXを通じてのやりとりが話題になっている。それこそが「本物論争」になる。
話の発端は、一部メディアにSareeeによる「全女(全日本女子プロレス)の先輩たちから本物の女子プロレスを受け継いだ。この戦いを後輩たちにつなげていかなければ」とのコメントが掲載されたことだった。
これに対し4日、上谷が「前から思ってたけど、本物の女子プロレスって何? 本物の戦いって何? スターダムは偽物の戦いとでも言いたいの?」とポストすると、Sareeeが「あんたみたいな茶番をしないことかな…! 頼むよ、(第20代ワールド・オブ・スターダム)チャンピオン…だからこそ私は上谷沙弥と闘わなきゃいけないと思ってる」と返した。
偽物とは言ってない。自分たちの闘いの自信がないのか
すると翌5日、上谷が「はい、カッチーン。茶番ってなんのことかにゃ? 沙弥様が女子プロレス舐めてるように見えるならお前の脳みそ筋肉で出来すぎなんじゃねーの? 戦いの定義 押し付けてくるんじゃねーよ」と返信すると、Sareeeが「私は先輩達が必死に闘って作り上げてきた。日本の女子プロレスの歴史を受け継いで守っていきたい。上谷沙弥にも戦いの定義あるなら 押し付けてこいよ! どうせないんでしょ。てか茶番っていうのはあんたのリング外の話ね!」と再び返した。
さらに上谷が「守るのも良いのかもしれないけど、ぶっ壊すのはもーーっと面白いよっ? 沙弥様は沙弥様が定義なので押し付けたところで誰も沙弥様にはなれないのだ。つまり唯一無二ってこと。じゃあ、あとはリングで」と返したところで終わっている。
実際、このやりとりに関し、Sareeeは自身の出自を振り返りつつ、次のように話した。
「私はデビューした頃から『本物のプロレスラーをつくりたい』って言っていただいて。“全女”の先輩方に『本物じゃなきゃ意味ないよ。プロレスラーはリングの上で本物をやれ』って教わってきたので。『本物って何?』って言われても、本物は本物でしょ? 一個しかないでしょ?っていう感じなんですよね。魂込めて闘って、絶対こいつに勝つんだっていう気持ちが本物の闘いなんじゃないですかね。シンプルですよ。普通に考えれば分かるだろ」
そこまで話すと、「偽物やってんじゃねえって言ってないですからね。だから上谷からその言葉が出るってことは、自分たちの闘いに自信がないんじゃないですかね」と辛口コメントを発した。
どうやらSareeeは、昨年物議を醸した“裏投げ問題”に続き、今度は“本物論争”でお互いのアイデンティティー(存在証明)を示し、上谷とのイデオロギー(思想)闘争を繰り広げるつもりでいるようだ。引いてはそれが、令和女子プロレスの正体を炙り出すことにつながっていると考えているに違いない。
なお、過去8回の「SareeeISM」のチケットが即日完売してしまう状況に、「いろんな方に、『もっと大きいところでやりなよ』って言っていただいているので、それに応えていかなきゃな」と話していることから、近いタイミングで大箱での開催を模索中。正式発表が待たれる。
(一部敬称略)
