日曜劇場『キャスター』20年来の構想だった プロデューサーが明かす、制作秘話と報道番組への思い
TBS系連続ドラマ『キャスター』(日曜午後9時)を担当する伊與田英徳プロデューサーが取材会に出席。本作誕生のきっかけや制作の舞台裏について語った。

筑紫哲也さん&久米宏時代への憧れも
TBS系連続ドラマ『キャスター』(日曜午後9時)を担当する伊與田英徳プロデューサーが取材会に出席。本作誕生のきっかけや制作の舞台裏について語った。
本作は阿部寛が主演を務め、永野芽郁、道枝駿佑らが出演する完全オリジナルストーリーの社会派ドラマ。公共放送で15年間記者としてキャリアを積み、現在は報道番組のキャスターを務める進藤壮一(阿部)が、民放テレビ局・JBNの報道番組『ニュースゲート』のメインキャスターとして抜てきされる。進藤は“真実を伝える”ことを信条に、既存のルールに縛られない破天荒な手法で報道の在り方に切り込んでいく。最終章では原子力関連施設が集中する芦根村を舞台に、進藤の父で元新聞記者・松原哲(山口馬木也)の死に関係する43年前の出来事の真相に迫っていく。
8日に放送された第9話では、『ニュースゲート』プロデューサーの山井和之(音尾琢真)が、何者かに仕組まれたガス爆発で進藤の代わりに亡くなるという衝撃の展開に。さらに父や山井の死に関わる黒幕が、JBNの会長・国定義雄(高橋英樹)であることが明らかになった。
伊與田氏は学生時代にドラマ制作を目指し、ドラマの小道具のアルバイトをしていた。その頃に“報道”の世界に興味を持ったという。「小道具のアルバイト帰りにたまたま、報道部のトップの方と帰り道が一緒になって、帰りながらずっとお話したんです。当時、報道ではある大事件が起こっていて、その方はもう1週間ぐらい帰っていないと。寝ていなくて、お風呂も入ってないと言っていました」と思い出を語り、「僕はドラマがやりたかったけど、話を聞いてその頃から、報道ってすごく面白い世界だなと思ったんですよね」と振り返った。
そして、「ずっと『報道のドラマをやりたいな』と思っていて、“温めていた”という方がいいかもしれない」と、以前から構想していたという。「だから、ことあるごとに報道の方々と会えばいろいろお話をしてきました。例えば『(警察の)捜査一課長をどうやって取材するか』という内容を報道の人から聞いて、『なるほど! こうやって仕事をしていたのか』と理解する。“夜討ち朝駆け”みたいな、『警察の人とどういう風に付き合うか』という話は聞いてきましたし、長い間いろんな事を積み重ねていって、今回初めて報道のドラマができました」と経緯を語った。
アルバイト時代から約20年の時を経て実現した『キャスター』。伊與田氏は「当時、報道番組では『NEWS23』の筑紫哲也さん、『ニュースステーション』の久米宏さんがいて、今よりもうちょっとニュースが面白かったです」と振り返り、「今はみんなが“まとも”になってコンプライアンス意識もあるので、ある意味、“どの局を見ても同じ”ように見えてしまい、ちょっとつまんない。現代の報道への批判的な面もあって、『昔は良かった』じゃないですが、そんな風にして描いてみようかなと思いました」と語った。
しかし、「昔とは違う中でも、現代の報道の方々が『いかに真実を伝えるか』ということに誠心誠意、向き合っている姿を見て、そこを描けたらいいなと変わっていきました」と明かし、「限られている中で、守らなければいけないルールの中で、精一杯やっているんだということを、今回描けたらいいなと思いました」と語った。
