【東京女子】現役JKレスラー・風城ハルが語った「プロレスのイメージを変えたい」の真意「16歳だからこそ言えることを」
東京女子プロレスにおける新世代「ねくじぇね」。2024年は8選手が参加した「ねくじぇねトーナメント’24」を制覇したのは、現役高校生の風城(かざしろ)ハルだった。後編では、このトーナメントに優勝したときのこと、そして今年1月に行われた日本プロレスリング連盟の会見時の話題沸騰となったコメントについて聴いた。

SNSの予想で優勝候補に全然名前がなかったのは悔しかった
東京女子プロレスにおける新世代「ねくじぇね」。2024年は8選手が参加した「ねくじぇねトーナメント’24」を制覇したのは、現役高校生の風城(かざしろ)ハルだった。後編では、このトーナメントに優勝したときのこと、そして今年1月に行われた日本プロレスリング連盟の会見時の話題沸騰となったコメントについて聴いた。(取材・文=橋場了吾)
2023年以降、東京女子プロレスでデビューした選手たちは「ねくじぇね」と呼ばれている。2年連続で年末にトーナメントが行われ、23年は上原わかな、24年は風城ハルが優勝。風城は2023年はHIMAWARIとの1回戦で敗退したものの、24年は高見汐珠、上原、凍雅に3連勝し優勝を果たした。
「わかなさんとHIMAWARIさんは、ひとつ飛び抜けた存在って思っているんですよ。練習を始めたのは、わかなさんの方が遅くてHIMAWARIさんとは同じくらい。でもデビューは二人の方が2か月早くて。悔しいとまではいかないですけど、先にいる存在でしたし自分はちょっと劣っているなと思っていました。わかなさんとはあまり当たる機会がなかったんですが、わかなさんの強みを前面に出していく生き方には憧れもありましたし、うらやましい部分もありました。2023年の決勝でHIMAWARIさんとのあんな熱い戦いを見せられて、自分はまだまだというか精神的にも実績的にも天と地の差があるなと思っていたんです。そのひとつ前の汐珠は後輩ですけど『努力もしている天才』なので、彼女に勝ってわかなさんに勝ってちょっと自信になりました。そして決勝ですけど、すごく悔しかったのはSNSの優勝予想で私の名前が全然なかったことなんです。本当、期待されていなかったんだなと(笑)。しかも準決勝が終わった時点で、凍雅さんが『わかなさんが来ると思っていた』なんてコメントしていて『はぁ? 何それ?』と思って。皆、風城が来るなんて思ってなかったんでしょうけど、信じてくれていた方はいて。決勝戦はデビュー戦より緊張したんですけど、これからは最初から優勝候補に入るようになりたいですね」
優勝者に与えられるベルト挑戦権を行使した風城は、パートナーに決勝戦の相手・凍雅を指名し、当時プリンセス・タッグ王者だった山下実優・伊藤麻希組に挑戦することを宣言した。しかし、壁は厚くタイトル奪取はならなかった。
「ベルトはほしい、でも自分に自信がないから違う、と思ってしまっていたんです。でも、優勝して好きなベルトに挑戦できるなら、ファン時代から好きだった伊藤さんの持っているベルトに挑戦したいと思っていました。(2024年)5月にやった伊藤さんとのシングルでは全然歯が立たなくて、ここからブーストがかかったというか、ねくじぇねトーナメントで自分を変えたいという気持ちにもなりました。でも、やられましたね。5月よりは戦えたとは思っているんです、ちょっとは進歩できていたかなと。全部出し切れたという意味では楽しかったですが、タイトルに手が届かなかったということは、これからもまだまだ練習して強くなっていきたいですね」

小学生でプロレスラーになりたいと思っていた“イレギュラー”な存在だった
今年1月、2023年12月に発足した日本プロレスリング連盟の一般社団法人化に伴う記者会見に風城は出席、その際の「両親の理解があって東京女子プロレスに入団してサポートしてもらっている」「入団してもっとプロレスが好きになったので、世界中の子どもたちに知ってほしい」「世間のプロレスに対するイメージが変わり、憧れの職業になってほしい」というコメントが話題を呼んだ。
「まず東京女子からは山下さんと2人ということで緊張して、ほかの方々(団体幹部やエースクラスの選手)の中に私が入るということでさらに緊張して……なんで風城なの? って(笑)。あのコメントは本当に素直な気持ちで出したもので、事前にすごく考えていきました。16歳(当時)の風城ハルだからこそ言えることを言いたかったんです。やっぱり小学生でプロレスラーになりたいと思っているのは、存在自体が“イレギュラー”だと思われてしまって。小学生のころにプロレスの話をもっといろいろな人と話したかったんですが、親としか話せないわけです。だからもっともっとプロレスのイメージが良くなって、プロレスが広まっていったらこんな感じじゃなくなると思って生きてきました。東京女子にサポートしてもらっているというのは日々感じていますし、学校生活も大切にしてくれています。そういう話を伝えることで、親御さんの心配も減って入りやすくなるんじゃないかと思って。学校生活をしっかり過ごしながらも、プロレスもできるという……見た目というより、体制のイメージを変えていきたいと思ってあのコメントを出しました」
最後に、今後の東京女子、風城ハルについて聴いてみた。
「私は普段から人はいつ死んでもおかしくないという気持ちで生きているので、日々後悔をしたくないんです。最終的にはグランドスラムを狙いたいという気持ちはありますが、プリンセスカップやねくじぇねトーナメントはもちろん、そのほかの試合も含めて一つ一つの試合を大切にしていきたいですね」
