三浦りょう太「主演決まったよ」に母は「え、大丈夫なの?」 家族の支えと慎重すぎる喜び方
俳優・三浦りょう太が、映画『フェイクアウト!』(6月20日公開、堀江慶監督)で初めて主演を務めた。本作は、高精度AI株価予想プログラムを巡って人間の欲望と騙し合いが交錯するサスペンス・エンターテインメントだ。物語は二転三転し、登場人物たちの思惑と裏切りが複雑に絡み合う中、主人公・高島誠人が混乱の渦に巻き込まれていく。

脚本読んだ印象は「正直、理解できなかった」
俳優・三浦りょう太が、映画『フェイクアウト!』(6月20日公開、堀江慶監督)で初めて主演を務めた。本作は、高精度AI株価予想プログラムを巡って人間の欲望と騙し合いが交錯するサスペンス・エンターテインメントだ。物語は二転三転し、登場人物たちの思惑と裏切りが複雑に絡み合う中、主人公・高島誠人が混乱の渦に巻き込まれていく。(取材・文=平辻哲也)
監督は、映画『ベロニカは死ぬことにした』『渋谷怪談』などで知られ、俳優としても活動してきた堀江慶。かつて『百獣戦隊ガオレンジャー』(2001年)でガオイエローを演じていた堀江監督との“思わぬ出会い”が、この主演作の始まりだった。
「監督の堀江さんとは、以前、別の現場で偶然出会ったんです。そのときは監督ではなく現場のヘルプとして来ていて、僕がガオレンジャー世代だったこともあり、『ガオイエローに似てるな』と思って声をかけたら『そうです』って(笑)。そこから“いつか一緒に作品を作りたいね”という話になって。まさか半年後に本当に主演で声をかけてくださるとは思っていませんでした。即答で『やります!』と返しました」と振り返った。
脚本を初めて読んだときの印象については、「正直、理解できなかった」と率直に明かす。
「一度読んだだけでは全く分からなくて、何度も読み返しました。視点が変わったり、時間が巻き戻ったりしていて。でも、読むたびに『ああ、そういうことか』と腑に落ちてくる面白さがありました。これが映像になったとき、どういうふうに伝わるんだろうとワクワクしました」と語った。
高島誠人というキャラクターは、正義感が強く、家族や恋人のために奔走するが、その行動が裏目に出てしまう不器用な人物だ。
「いわゆる“かっこいいヒーロー”ではなくて、周囲の出来事に巻き込まれていくタイプ。でも彼の“なんとかしよう”という姿勢には共感できました。僕自身も“自分が動いてなんとかしたい”と思ってしまうタイプなので」と語る。
初主演という立場について、戸惑いとともに多くを学んだという。
「なるべく気負わずに飛び込もうと思っていましたが、実際にやってみて、主演として現場の空気を作り上げることの難しさを感じました。撮影期間が11日間と短く、スタッフもキャストも緊張感のある中で、自分がもう少し俯瞰で見て動けていたら良かったなと反省もありました」と率直に振り返る。
また、映画『フロントライン』(6月13日公開)で共演した小栗旬の姿勢からも、大きな刺激を受けたと話す。
「小栗さんは、自分の撮影がない日でも現場に顔を出していたりしていて、“主演ってこういう存在なんだ”と痛感しました」と述べた。
完成した作品に自分の名前が“主演”としてクレジットされたことについては、うれしさよりもプレッシャーの方が大きかったという。
「“主演”という言葉だけが先に立ってしまう感じがして、不安になりました。ちゃんとできているのか?と怖くなって、お腹が痛くなるほどプレッシャーを感じました。でも、それを乗り越えられたことは大きな経験になりました」
2025年には『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』で大河ドラマ初出演するなど、“飛躍の年”とも言える活躍を見せているが、本人は実感がないという。
「むしろ毎日“やばい、頑張んなきゃ”って焦っているくらい。たまたま撮った作品の公開が重なっているだけで、実際は休んでいる期間もある。外からは“すごく出てるね”と言われるけれど、そのギャップに戸惑うこともあります」と語る。
俳優という仕事に「慣れ」はないと断言する。
「現場ごとに全然違いますし、“毎回新しい仕事をしている”という感覚の方が強い。安定しているとか、慣れてきたという実感は全くないです。だからこそ、毎回必死でやることが大事だと思っています」と真摯に語った。
将来、どのような俳優を目指したいかという問いには、こう答えた。
「デビュー当時は“こうなりたい”というイメージを持っていました。でも経験を重ねる中で、それが逆に自分を縛ることもあると気づいて…。今は“どうありたいか”ではなく、“その都度どう向き合えるか”を大切にしています」

「僕は期待されすぎるのが苦手で…」
父はサッカー選手の三浦知良、母はモデルの三浦りさ子、弟は格闘家の三浦孝太。主演を務めることを家族に伝えた際、母の反応は意外にもシビアだったという。
「『主演決まったよ』って伝えたら、母は『え、大丈夫なの?』って(笑)。祖父母は素直に喜んでくれましたけど、僕は期待されすぎるのが苦手で……。なので“主演だけど、まあまあ、そんなにすごいことでもないよ”と保険をかけながら話しました」と笑いながら明かした。
主演という重責を背負いながらも、三浦は決してそれに酔うことなく、自分のペースで着実に歩を進めている。ひとつひとつの作品に誠実に向き合いながら、俳優としての存在感を静かに、しかし確かに、深めている。
□三浦りょう太(みうらりょうた)1997年9月5日生まれ、東京都出身。映画『言えない秘密』(2024年)、映画『赤羽骨子のボディガード』(2024年)、NHK連続テレビ小説『ブギウギ』(2024年)、フジテレビ10月期火9ドラマ『オクラ~迷宮入り事件捜査~』(2024年)、1月期月9ドラマ『119エマージェンシーコール』(2025年)などに出演。2025年大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』で大河デビューを果たす。看護師を演じた『フロントライン』も6月13日公開。
※三浦りょう太の「りょう」の正式表記は、けものへんに寮のうかんむりなし
