「芸名はシティーハンターから」「きっかけはとんねるず」 カズJr.三浦りょう太の異色すぎる芸能界デビュー秘話

俳優・三浦りょう太が、映画『フェイクアウト!』(6月20日公開、堀江慶監督)での初主演を機に、自身のキャリアや家族との関係、俳優という仕事に対する姿勢について率直に語った。

芸名「りょう太」の“秘話”も語った三浦りょう太【写真:増田美咲】
芸名「りょう太」の“秘話”も語った三浦りょう太【写真:増田美咲】

三浦りょう太インタビュー、映画『フェイクアウト!』で初主演

 俳優・三浦りょう太が、映画『フェイクアウト!』(6月20日公開、堀江慶監督)での初主演を機に、自身のキャリアや家族との関係、俳優という仕事に対する姿勢について率直に語った。(取材・文=平辻哲也)※りょう太の「りょう」=けものへんに寮のうかんむりなし

 2025年は、『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』で大河ドラマ初出演、映画『フロントライン』(6月13日公開)でもメインキャストを務める三浦。芸名「りょう太」は本名からの当て字で、自らが選んだ。大好きな人気漫画『シティーハンター』の主人公・冴羽りょうにちなんだものだ。

「でも、僕を見て冴羽りょうを連想する人はいないでしょうね(笑)。(実写版で冴羽りょうを演じた)鈴木亮平さんのイメージが強いので、なかなか自分の名前として定着しない感覚もあります。当時は“シンプルでいいじゃん”と思ってたんですが、『りょう』の字が変換しづらくて、自分でも入力に苦労してます(笑)。完全に誤算でした」と苦笑する。

 芸能界入りのきっかけは意外なところにあった。

「俳優を目指すきっかけになったのはとんねるずさん。スナックでMCの真似ごとをしていたら、それを見ていた業界の方から“君はエンタメの世界に行きなさい”と声をかけられたのが始まりです」と振り返る。

 その後、所属事務所で演技を基礎から学んだ。初めての演技は、想像以上に自由で、楽しいものだったという。

「講師の方が“ガチガチに台本をやるな、楽しめ”という教え方で、それが新鮮でした。普段しないような心の動きが出てきて、『これが演技か』と感じました」と語る。

 その後、本格的に俳優としての道を歩み始めたが、当初は明確な目標があったわけではない。

「むしろ、“お茶の間を賑やかにしたい”という思いの方が強かったです。家族で最も盛り上がる話題が映画やドラマだったんです。だから、そういう空気を届けられる人になりたいと。最初は“俳優”というより“エンターテイナー”への憧れでした」と打ち明けた。

 父はサッカー選手の三浦知良、母はモデルの三浦りさ子、弟は格闘家の三浦孝太。家庭の中で特に大きな存在だったのは、母だったという。

「うちは“男は我慢”という昭和的な価値観があって、何かを相談したり、アドバイスを求めたりするような家庭ではなかったんです。でも、父(三浦知良)がサッカーで家を不在にする時間も多く、母がひとりで僕と弟を育ててくれました。今、大人になってその大変さをようやく理解できるようになりましたし、母がすべて正しいというよりも、一緒に迷いながら成長してきた感覚があります。今は本当に感謝しています」

 一方、サッカーについてはプロを目指そうとは思っていなかった。

「始めたのも遅かったし、プロの世界がどれだけ厳しいかを父を通して見てきたので、自分には無理だろうと自然に思っていました。でも今でもプロサッカー選手は、最もかっこいい職業だと思っています」と語る。

 現在も毎週、友人たちとフットサルを続けている。そこでも自身の性格が出るという。

「僕は“みんなが楽しめるように”と考えて、守備的なポジションでパスをつなぐようなプレーをしています。そうした補佐的な立ち位置は、自分の性格にも合っていると感じています」と笑った。

 俳優としてのキャリアも6年目に入り、経験を重ねてきたが、今も「慣れはない」と断言する。

「現場ごとに全く違いますし、毎回新しい仕事をしている感覚。むしろ“慣れ”より、“その都度必死にやる”ことの方が大切だと思っています。安定とは無縁の職業ですね」と真摯に語る。

大河ドラマ初出演の思いも語った【写真:増田美咲】
大河ドラマ初出演の思いも語った【写真:増田美咲】

「勝負の年?ずっと勝負しているつもりなので、特別な年だとは思っていません」

 今年は“飛躍の年”になりそうだが、本人は慎重な姿勢を崩さない。

「そう言ってもらえるのはありがたいけど、自分では“まだまだ”という感覚の方が強いです。勝負の年? ずっと勝負しているつもりなので、特別な年だとは思っていません。余裕なんて全然ないです(笑)」と率直に語った。

 長期間にわたる大河の撮影についても、こう振り返る。

「3か月空いた後に戻るのが大変でした。でも、衣装やセットの力って本当にすごい。身にまとうだけで自然と気持ちが変わるし、父親役の片岡愛之助さんの所作や立ち居振る舞いを見て、本当にたくさん学ばせてもらいました」と話す。

 将来のビジョンについては、「決めつけすぎないこと」が現在のスタンスだという。

「デビュー当時は“こうなりたい”という理想像がありました。でも、やっていくうちに“そうじゃないかも”と思うようになって。自分が思っていた自分と、実際に向き合う役とのギャップもある。だから今は、“どうありたいか”より、“どう向き合うか”を大切にしています」と語った。

 確かな覚悟と柔らかなまなざしを持ち、自分の言葉で真摯に語る三浦りょう太。大きな名前に寄りかかることなく、自らのペースで役者としての階段を登っている。静かに、そして確実に。その言葉の端々から、一歩一歩の重みがにじみ出ていた。

□三浦りょう太(みうらりょうた)1997年9月5日生まれ、東京都出身。映画『言えない秘密』(2024年)、映画『赤羽骨子のボディガード』(2024年)、NHK連続テレビ小説『ブギウギ』(2024年)、フジテレビ10月期火9ドラマ『オクラ~迷宮入り事件捜査~』(2024年)、1月期月9ドラマ『119エマージェンシーコール』(2025年)などに出演。2025年大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』で大河デビューを果たす。看護師を演じた『フロントライン』も6月13日公開。

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