がんで闘病中の大林宣彦監督が明かす 黒澤明監督、山田洋次監督から掛けられた言葉
がんで闘病中の大林宣彦監督(81)の最新作「海辺の映画館―キネマの玉手箱」(※公開日未定)が1日、東京・六本木のTOHOシネマズで開催中の「第32回東京国際映画祭」で上映され、特別功労賞の贈呈式が行われた。
「第32回東京国際映画祭」特別功労賞贈呈式
がんで闘病中の大林宣彦監督(81)の最新作「海辺の映画館―キネマの玉手箱」(公開日未定)が1日、東京・六本木のTOHOシネマズで開催中の「第32回東京国際映画祭」で上映され、特別功労賞の贈呈式が行われた。
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車いす姿で登壇した大林監督だったが、相変わらずエネルギッシュ。得意の話術であっという間に映画館は“大林劇場”となった。「お客さんが目で楽しむのは美術と女優さんですから」と言いながらも、司会者から「トロフィー贈呈です」と言われると、「ここからはちょっとだけ私が主役だね」と笑いを誘った。映画祭チェアマンの安藤裕康氏からトロフィー、常盤貴子(47)から花束を受け取るとニッコリ。
安藤氏から「大林監督は『30年映画を撮る』と宣言され、先日は35年と訂正されましたが、今日は40年と訂正していただきたい」と言われると、「2000年でも3000年でも訂正いたします。特別功労賞を頂きましたので。すごいですね。重いですよ」と上機嫌だった。
「海辺の映画館―キネマの玉手箱」は故郷・尾道のとある映画館を舞台に、映画と戦争をめぐる一大叙事詩。厚木拓郎、細山田隆人、細田善彦演じる観客たちが映画の世界に入り込み、日本の戦争の歴史を体感していく物語で、俳優たちは劇中で複数の役柄を演じている。
大林監督は「あなたなら、どうする?という映画です。私たち観客が世界を幸せにする力を持っています。それが映画の自由な尊さ。自由を守るのは難しいことですが、やり遂げなければいけません。黒澤(明)さんからは『平和は400年かかる。だから、大林さん、僕たちの続きをやってくれよ』と言われました」などと映画に込めた思いを語った。
常盤は「走馬灯はその人にしか見られないというけど、監督は前倒しでみんなに見せてくれたんだと思いました。そんなことができる監督はいないと思います」。また、山崎紘菜(25)は「4つの役という大きな課題を頂きました。自分にできるのかと思いましたが、とても楽しくやらせていただきました。私は密かにミュージカル、アクション、方言のある映画に挑戦したい、と思っていましたが、全部夢を叶えてくださった。映画にある祈りがいろんな人に届けばいい、と思っています」と話した。
※2020年3月31日、主催者より新型コロナウィルス感染拡大により公開日は現在未定とアナウンスされた。
【大林監督コメント抜粋】
山田洋次さんからは「(前作の)『花筐/HANAGATAMI』はさよならホームランだったが、今度は場外ホームランだ。この人(大林監督)に終わりはない。この人は進化している」というお褒めの言葉を頂きました。今まで人間がやってきたことよりも、やらないことの方がいっぱいあるのだから、やらないことをやれば、星の数ほど、それ以上の冒険ができるというのを持論にしていますので、この後、3000年は生きるつもりです。特別功労賞をいただき、そんな思いをしみじみとしています。
「映画はプロデューサーが作るもの」というのは私の持論。プロデューサーの想像力と人生体験が物語を作るもので、私はその再現者です。そういうことを踏まえると、今回の映画がいかなるフィロソフィーを持ち得たか、ということになる。どうか仰天してください。仰天することが映画の魅力です。
未来のことは誰にも分かりませんから、後2000年、3000年は映画を作ろうと思います。それでないと、私が映画を作る意味はない。あの戦争を知っている私が、戦争を知らない若い人たちのために映画の学校を作り、ハラハラドキドキし、感動する物語を作り出したいと思っています。
映画は素晴らしい!ありがとう!