【インタビュー】プロレス実況界の鉄人が今後、特に期待する4選手とは?

日本・海外、男女を問わずプロレスの実況を担当している村田晴郎。DDT、新日本、AEW、スターダム、東京女子、マリーゴールドを中心に彼の声を聴くことができるが、特に女子プロレスの主要3団体の実況をしているのは村田ひとりだけだ。そこで村田に今注目している女子レスラー、そして女子プロレスの魅力を聴いた。

実はリングにも上がったことがある村田晴郎【写真:(C)DDTプロレスリング】
実はリングにも上がったことがある村田晴郎【写真:(C)DDTプロレスリング】

あらかじめ用意していたフレーズを無理やり使ってもノイズにしかならない

 日本・海外、男女を問わずプロレスの実況を担当している村田晴郎。DDT、新日本、AEW、スターダム、東京女子、マリーゴールドを中心に彼の声を聴くことができるが、特に女子プロレスの主要3団体の実況をしているのは村田ひとりだけだ。そこで村田に今注目している女子レスラー、そして女子プロレスの魅力を聴いた。(取材・文=橋場了吾)

 村田晴郎の実況を聴いていると、印象に残るフレーズが度々登場する。個人的に一番のお気に入りは「嫌な予感しかしません」なのだが……。

「フレーズは考えてこないですね。ある日、一生懸命考えてきた文章があって、ある選手の入場に合わせて使おうと思っていたんですけど、ダッシュで入場してしまい使えずじまいで(苦笑)。文章を考えてきたのは自分の勝手であって、選手のせいでも何のせいでもないんですけど、その瞬間に『何を勘違いしていたのか』と思って。自分の都合のいいように選手も試合も動くわけがないんだから、目の前に起こっていることに集中しようと。むしろ会場の空気感と、あらかじめ用意していたフレーズがハマるとも限らないわけで。自分の用意してきたフレーズをいつ出そうと考えちゃいますし、無理やり出したところでノイズにしかならないですから。

 ちなみに『嫌な予感しかしません』の元ネタは『スターウォーズ』ですよ(笑)。絶対この後ひどい目に遭うぞというときに、使うようにしています。あとはアメプロを参考にしている(前編参照)ので、『Oh, my god』に替わる日本語を常に探していて、『なにこれー!』とか『嘘でしょ!』とかいわゆる“リアクション”で日本語の実況でもリズムを作るようにしています。でも日本ではアメプロほどの“決め”は必要ないとも思いますよ。冬木(弘道・故人)さんは同じことをやろうとしていましたよね。ちょっと早すぎたかもしれないですが、現代の日本のプロレスを作ったのは冬木さんだと思いますよ。あとはウルティモ・ドラゴン選手、TAKAみちのく選手……アメリカンプロレスの薫陶を受けた選手たちですね」

星来芽依・AZM【上段/写真:(C)スターダム】荒井優希【下段左/写真:(C)東京女子プロレス】天麗皇希【下段右/写真:橋場了吾】
星来芽依・AZM【上段/写真:(C)スターダム】荒井優希【下段左/写真:(C)東京女子プロレス】天麗皇希【下段右/写真:橋場了吾】

多くの女子プロレスラーをデビュー戦から見ているので、皆が幸せになってほしい

 今の日本の女子プロレスにおいて、興行数・所属選手数からいって主要団体といえるのがスターダム、東京女子プロレス、マリーゴールドの3団体だろう。この3団体すべてで実況を行っているのが村田だ。その中で村田が特に注目している選手を聴いてみた。

「スターダムではAZM選手と星来芽依選手。この二人は、僕の中では永遠の推しともいえる存在で、女子プロレスの未来を託したい選手です。この二人は、まだ爆発前の火薬を隠し持っているように思うんですよ。その導火線にいつ火がつくのか、そういうワクワクがありますよね。マリゴは天麗皇希選手。クールな印象が強いと思いますけど、ゲスト解説(2.20後楽園大会)で来てもらって話してみると面白いんですよ。見た目の良さというより、彼女のキャラクター・個性をもっと出していくと跳ねるんじゃないかと思います。東京女子は荒井優希選手ですね。4月からプロレス一本になりますけど、彼女がこれから10年プロレスをやる保証はないわけで。うまくいかなかったら行かないで面白いじゃないですか、ということをサラッと言える子なので、彼女の人生をリアルタイムで追いかけるのは面白いと思うんですよね」

 この中で名前が出た天麗に話を聴いてみると…。

「自分の試合に実況がついているのは不思議な感覚で……自分のやりたかったことを言語化してくれるので勉強になります。私も同時配信で一人実況をすることがあるんですが、村田さんと一緒に実況席に座らせていただいたときは、こんな難しいことを数時間にわたってできるというのは凄いなと思いました。あと、村田さんがあえて無言の場面を作るんですよ。それも含めて“商品”にしてくれるのも凄いなと……。(村田の皇希評を伝えると)まさにそれなんですよ、私の課題。自分的には気取っているつもりも作っているつもりも全くないんですけど、話すとちょっと面白い感じなんで(笑)、そういう部分を出していくのは復帰してからの試合に落とし込めるといいなと思います」

 最後に村田が考える女子プロレスの魅力を、各団体の魅力とともにまとめてもらった。

「昔からの女子プロレスを進化させて今の時代にいい形でアップデートしているのはスターダムですよね。もちろん、仙台女子もマーベラスも凄いですしいい選手もいますが、女子プロレスのメジャースタイルを率先してけん引しているのはスターダムだと思います。東京女子は、現代の女子プロレスの新しいフォーマットだと思います。誰かに何かを託す、というよりもみんなで考えてパッケージとして作っている感じがいいですよ。そして、マリーゴールドはこれからだと思います。青野未来選手や翔月なつみ選手がベースを作って、新人の子たちが伸びてくるのを待つ。でもどの団体がというよりも、多くの選手をデビュー戦から見ているので、女子プロレスラー皆が幸せになってほしいと思いますね。そしてそれぞれの団体が、個性や強みをどのように伸ばしていくのかを楽しみにしています」

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