風間俊介、独立から1年も「全く変わらない」ワケ 主役に悪役…多彩な顔を演じる魅力とは

ヒップホップと薬物の関係性に切り込んだABEMAオリジナルドラマ『警視庁麻薬取締課 MOGURA』(9日午後11時スタート)に俳優の風間俊介(41)が物語のカギを握るキーパーソンで出演している。現役ラッパーらがズラリと名を連ねた異色作に「目新しさしかない」と太鼓判を押している。そんな風間に、作品への思いや俳優業との向き合い方について話を聞いた。

インタビューに応じた風間俊介【写真:山口比佐夫】
インタビューに応じた風間俊介【写真:山口比佐夫】

変わらない役者業との向き合い方

 ヒップホップと薬物の関係性に切り込んだABEMAオリジナルドラマ『警視庁麻薬取締課 MOGURA』(9日午後11時スタート)に俳優の風間俊介(41)が物語のカギを握るキーパーソンで出演している。現役ラッパーらがズラリと名を連ねた異色作に「目新しさしかない」と太鼓判を押している。そんな風間に、作品への思いや俳優業との向き合い方について話を聞いた。(取材・文=中村彰洋)

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 違法薬物を摘発するためにラップグループに潜入調査を行う警察官・伊弉諾翔吉(イザナギ・ショウキチ)を演じるのはラッパーの般若で今回が初主演作。そのほか、Jin Dogg、Mummy-Dら名だたるラッパーが物語の中核を担う。そんな異色作で風間は、伊弉諾らが属する警察署の管轄エリアの市長で大麻根絶を主張する安堂誠を演じる。

 地上波では放送できないようなディープな描写の数々が描かれるが、台本を手にした感想は「とても面白かった」と、その世界観に引き込まれていった。

「今の現代社会が、『みんなで考えよう』と掲げているようなテーマをこんなにも魅力的に描くのかと思いました。ラップパートもあるのですが、その箇所を読んだ時点で、『これは現場の空気で変わっていくな』と分かる台本だったんですよ。台本の時点では完成していないものだったので、その点も楽しみでした」

 ラッパーでないと演じることができないようなストーリー展開、そんな世界観を構築したのが、脚本家の鈴木おさむ氏だ。風間は「すごい才能」と手放しで称賛した。

「この題材で、ラッパーの皆さんが集まってお芝居をして、作中ではラップシーンも描かれる。これだけでも、“引き”があると思います。でも、それをただの企画もので終わらせるのではなく、しっかりとエンターテインメントを融合させて、作品として成立させているんです。全部が新鮮ですね」

 今作で風間が演じる安堂は物語のカギを握る役柄だ。今後のストーリー展開にどのように関わってくるのかも注目ポイントとなる。

「今まで自分が演じてきた役柄も見てくださったんだなと感じました。20代に悪役やヒール役を多くやらせていただいて、30代が警察だったり、ホワイトナイト的な役柄をたくさんやらせていただきました。今回のお話をいただいた時に、今までの系譜を知ってるからこそお誘いいただけたんだろうなと思っています」

『警視庁麻薬取締課 MOGURA』での役柄にも注目が集まる【写真:山口比佐夫】
『警視庁麻薬取締課 MOGURA』での役柄にも注目が集まる【写真:山口比佐夫】

数年後に反応をもらうことも「誰かにはとんでもなく深く刺さる作品も魅力的」

 これまでの役者人生で多彩な役柄を演じてきたが、「クセのある役だとよりワクワクします」と笑う。

「今までやらせていただいた作品でも、役柄を好きになるところから、僕の役作りがスタートするんです。今までも良い人・悪い人といろいろ演じてきましたが、役者って何にでもなれたりすることが魅力だなと思っています。今回の作品だと、僕が演じる安堂とラッパーの皆さんの役はオセロの駒みたいなものだと思っています。僕が白が上を向いている駒で、ラッパーの皆さんが黒が上に向いている駒。根本は同じ人間で、表面だけでなく実際にしっかりと潜ってみたら、白と黒が裏返るかもしれません。そういった面白さをこの作品を通して感じてもらいたいです」

 風間にとって今作がウェブドラマ初出演となったが、ドラマであっても映画であっても「違いは特にない」と語る。

「僕は、現場に入ったら、その作品と向き合うことを大切にしているので、アウトプットの方法を分けようとかは考えていないです。本当は考えなきゃいけないのかもしれないんですけどね(笑)」

 24年1月1日からは、前事務所を離れ独立という決断を下したが、「全く変わっていないんです」と笑う。役者活動をする上では、台本を受け取ったら、後はただ作品と向き合うだけ。「本当は、『ここが変わりました』とか言えたらいいのかもしれないんですけどね。でも、もしかしたら変わらないということを無意識に大事にしようとしているのかもしれないです」。

 これまでも話題作に多数出演してきたが、「誰かが見たいと思ってくれるものを優先したい」と役者業との向き合い方を明かす。「この仕事自体、誰かが『これを見たい』と思わないと動き出さないものだと思っているので、『こういう役をやりたい』と自分から求めることはしないようにしています。目標もあまり立ててはいないですね」。

 それゆえに、視聴者にどのように届いたかということは最も大切にしているポイントだ。

「まずは喜んでもらえたらいいなと思っています。全員が『面白い』と言ってくれる作品もいいと思いますが、多数には刺さらないけど、誰かにはとんでもなく深く刺さる作品も魅力的だなと思っています。この仕事をやっていて面白いなと思う瞬間があって、リアルタイムで反響の声をもらうことももちろんうれしいですが、10年後とかに『あれ好きだったんです』と言われることもうれしいんです。何年たってもその人の中に残っていて、それを伝えてくれる。俳優業を始めて20年以上になりますが、『やってきてよかったな』と思える瞬間です。たまに『その作品のこと言う?』って声もいただけたりもして、『面白いなあ』と感じますね」

 今作もまさに見る人たちの心の琴線に触れるような作品へと仕上がっている。「僕が普通に見ていたら、開始5分で思わず友達に『すげえ面白い、やべえ作品あるぞ!』って電話しちゃうと思います」と自信を口にする。

「エンターテインメントのすごさって、時にその人の人生を変えたりするような刺激を与えることができることだと思うんです。その時に咀嚼して消化されるだけではなくて、咀嚼した後にその人の血肉となって、その後の未来にまで影響を与えることがあるんです」。誰かの心を揺さぶるような作品を届けるため、風間はこれからも作品と向き合い続ける。

□風間俊介(かざま・しゅんすけ)1983年6月17日、東京都出身。1998年に俳優業をスタートさせ、翌99年の『3年B組金八先生』(TBS系)を皮切りに、ドラマ・映画・舞台と多数の作品への出演が続く。2018年からは『ZIP!』(日本テレビ系)で月曜パーソナリティーを務め、さらには声優業などにも挑戦するなどその活躍は多岐にわたる。23年末に事務所を退所して以降、現在までフリーで活動を続けている。24年6月17日にはフィシャルファンクラブ「soyokaze」を開設した。

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