愛車修理に50万円以上 女性オーナー、恐怖体験にパーツ調達で苦労も「かわいい」
150台が集ったカーイベント会場で異彩を放っていたピンクの旧車、乗っていたのは大学時代に自動車部で活躍した女性オーナーだった。どうしてこんなに“派手”な1台に乗ることになったのか。これまでのドライビングストーリーを聞いた。
「クイックに動くところが気に入っています」と笑顔
150台が集ったカーイベント会場で異彩を放っていたピンクの旧車、乗っていたのは大学時代に自動車部で活躍した女性オーナーだった。どうしてこんなに“派手”な1台に乗ることになったのか。これまでのドライビングストーリーを聞いた。
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自慢の愛車は、1988年式トヨタMR2 AW11だ。「もともと大学の自動車部に入って、実際にジムカーナとかサーキットに出ていたんです。部活なので遊びですけどね。その時、やっぱり自分で運転する車が欲しいなと思って、車の種類を知らなかったのでカタログとかで車を見たら、リトラ(リトラクタブル・ヘッドライト)がかわいいなと感じたんです」。
オーナーは、メーカーの研究職で働く46歳のえりかさん。東京・国立市の谷保天満宮で開催された「谷保天満宮旧車祭」に2年連続で参加。「カクカクしていて、コンパクトで見た目もかわいらしいですよね。ちょうど同時期にご縁があって、この車が個人売買で出るよという情報を得たんです。それでこの車に決めました」。
もともと大学生時代の25~26年前に同型の車に乗っていたが、すぐに現在の車に乗り換え。以降はこの1台をいちずに愛してきた。目を引く鮮やかなピンク色は、同じ車種に乗る友人から工場を紹介してもらい、オールペイントを依頼したものだ。「元々は光岡自動車のビュートのサクラっていう色にしたかったんです。でも、カラーコードが分からず、似たような色のカラーコードを知人と一緒に探して、これかなというカラーコードで塗っていただいたんですけど、仕上がりが全然違う雰囲気になってしまって……。より淡い色にしたかったので、だいぶショックを受けたんですけど、何度も何度も見ているうちに『ありだな、この色』って思うようになりました」と背景を口にした。
自動車部に入った経緯は、とある勘違いが原因だったという。「小さい頃から車を運転できるようになりたいと思っていました。助手席に乗っていて、父親や親戚が運転しているのをじっと見ながら、『私もいつか運転できるようになれたらいいな』と。だから自動車部に入れば、運転の仕方を教えてもらえるものだと思っていたんです。もちろん教習所の存在は知ってはいたんですけど、自動車部でも教習所のようにできるのかなと思っていたら、まさかの違う運転の仕方を教えてもらいました(笑)。ただ、それはそれで楽しくってよかったです」。
サーキットを借り、それぞれ部員のハンドルさばきなど腕を磨いた大学時代。3大学合同で開かれた競技会では3位になったこともあり、実力も折り紙つきだ。「当時はたぶん女性がいなかったと思うんですけど、この車で1度だけ(表彰台に)入れました。ランエボに乗っている後輩と一緒に走った時は、さすがにストレートだと置いてかれてしまうのですが、コーナーで追いつくぐらいには寄せられる。そういうところでこの車の楽しさを感じていました」。当時の走りを思い出し、笑顔を見せた。
個人売買で購入した際は、わずか20万円ほどで購入したという愛車。サーキットを走っていた当時のカスタムはあまり残っておらず、今はスピンターノブが活躍しているのみだ。総走行距離は約20万キロで、四半世紀がたった今でも8~10キロの燃費を維持しているという。「やっぱりクイックに動くところが気に入っています。ハンドルにしてもアクセルにしても、本当に思い通りにタイムラグなく動いてくれるところが非常に好きです。少し運転が難しいと言われている車で、車の前も後ろも軽いので、一瞬回るともうコマみたいにくるくるくるって回ってしまうんです。だから難しいけど、私はそれを運転しているといういい気持ちになれるところも好きですね」。
ただ、愛車を維持するには大変な部分が多く存在する。1つはどうしても必ず訪れる故障だ。現に電動ドアやリトラが開かなくなるなど、電装系には実際に影響があるという。さらに肝を冷やした恐怖体験も。「高速を走っていた時にタイミングベルトが切れたこともあります。たまたまサービスエリアで休憩をして、戻ってきてエンジンかけたタイミングでベルトが切れたので無事だったのですが、走行中だったら大事故になっていましたね。この子に救われている気がします」。
また、パーツの調達も難しい。つい先日も愛車の修理のため長距離ドライブを敢行したという。「エアコンが故障していたので、やはり部品もなかなか出にくくなっていて、近所の自動車工場で直せるかどうか分からなかったので、旧車コミュニティ『Vintage Club by KINTO』に持って行きました。50万円以上はしましたね」と苦労を語る。
現在は出かけた行き帰りで山道を走る際に、“走り”をちょっぴり楽しんでいる。学生時代からの相棒とこの先の人生も駆け抜ける。