新車のハリアー売ってGT-R購入 妻の怒りに“3回目”のオーナー「恋しくなっちゃった」

車は誰と一緒に乗るものなのか。最も多い答えは家族だろう。買い物や旅行、ドライブなど生活の足としても切り離せないものだ。一方で、妻や子どもが助手席に一度も乗ったことがないという男性オーナーも……。いったい、なぜなのか、詳しい話を聞いた。

1994年式の日産スカイラインGT-R VspecII型【写真:ENCOUNT編集部】
1994年式の日産スカイラインGT-R VspecII型【写真:ENCOUNT編集部】

「気づけばカーセンサーを持っていました」

 車は誰と一緒に乗るものなのか。最も多い答えは家族だろう。買い物や旅行、ドライブなど生活の足としても切り離せないものだ。一方で、妻や子どもが助手席に一度も乗ったことがないという男性オーナーも……。いったい、なぜなのか、詳しい話を聞いた。

「同じ車を3回買っているんですよ。しかも同じ型。色が違うと言っても、家族はあきれてますよ。新車のハリアー売って、30年近く前の中古を買う。なんでまた古い車買うんだと。ハリアー買った時はみんな喜んでいた。わずか1年でその車は消えました」

 こう話すのは、1994年式の日産スカイラインGT-R VspecII型に乗る相原裕二さんだ。GT-Rを愛してやまないオーナーは、家族間の“自動車不和”を嘆きつつ、どこか納得の表情を浮かべた。

 10代の頃から、日産が誇る名車に視線はくぎ付けだった。

「もともと兄がスカイライン好き。なんとなく車と言えばスカイライン。青に憧れていました」

 24歳のとき、スカイラインタイプMを2年ほど所有。その後、26歳で中古のGT-Rを200万円ほどで購入すると、その魅力に惹きつけられた。

「乗ったらハマっちゃった。サイズがコンパクトでいい。エンジンが力強い。乗ってて楽しい」

 24年間で3台のGT-Rを乗り継いだ。現在の愛車は生産台数1303台の希少車で、5年前に諸経費込みで500万ほどで手に入れた。

 ただ、購入時には家族内でひと悶着あった。実は1年前にハリアーを新車で購入したばかりだった。

 ハリアーはトヨタを代表するブランドの1つ。ファミリーカーとして家族に歓迎されたが、相原さんだけは複雑な心境だった。

「3か月目くらいからひそかに売ろうと思っていました。でも、さすがに3か月で売るわけにはいかないから、1年待とうと」

 車が故障したわけではない。運転に不満もなかった。家族で観光に出かけ、楽しい思い出も作った。

「いい車だったんですよ。特にトラブルもなかったですし」

 しかし、どこかが物足りなかった。それどころか、たった3か月で猛烈な違和感に襲われた。

「やっぱりこっちが気になって……。気づけばカーセンサーを持っていました。恋しくなっちゃった」

 後ろ髪を引かれて別れた恋人とよりを戻すかのように、再びGT-Rを物色していた。

家族は一度も乗らず…「助手席もない」

「最初はR33を探していた。でも、R33は生産台数が少ないし、程度のいいモノはない。ある時、コレが並んでいた。座ってみたらやっぱりコレがいい。自分には32しかないなと。自分が乗ってみたい車はコレだった」

 ハリアーはきれいな状態を保っていたことから、購入時より70万円近く高く売れた。だが、妻からは「なに考えてるんだ」と叱責された。

「そりゃそうですよ。それもあって、コレには乗らない。5年間、家族は誰も乗ったことがない。俺も『乗る?』とは言わないし。それを押してまで欲しかった」

 車はほぼすべてがノーマルだ。2年前、ヤフオクで純正マフラーに見つけて変更し、車高も維持している。

「ノーマルが珍しくなっているので声かけてもらうことが多くなった。逆に貴重。ノーマルスタイルが自慢です」と胸を張る。

 一方で、娘には乗ってもらいたい気持ちもあった。

「昔は車に乗せてサーキットに連れて行った。興味を持つかなと思ったんですけど、ダメでした。オートマ免許になって。さみしいですね」

 現在のファミリーカーはトヨタ・シエンタ。家族で出かける時はもっぱらこの車だ。

 孤独なパパの背中からは哀愁も漂うが、GT-Rに口を挟む者は誰もいない。

「だからもう手放さないと思いますね」と力強く結んだ。

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