ギャルでオタクでコスプレ大好き…永瀬莉子、ドラマ『着せ恋』で新境地「別人になりきって」

俳優・永瀬莉子(22)が、現在放送中のMBS/TBSドラマイズム『その着せ替え人形(ビスク・ドール)は恋をする』(MBS火曜深夜0時59分/TBS火曜深夜1時28分)で、ゲームとコスプレを愛する高校生を演じている。原作は、累計1100万部を突破しアニメ化もされた、女性漫画家・福田晋一氏による人気同名コミックス。永瀬扮するギャルでオタクなヒロインの喜多川海夢(フリガナ:まりん)と、ひな人形の頭師を目指す男子高校生・五条新菜(野村康太)が繰り広げるラブコメディーだ。今夏まで、女子中高生向けファッション雑誌『Seventeen』(集英社)の専属モデルを務め、映像出演も続いた永瀬が「実は初めて」というギャル役やコスプレの舞台裏、俳優業での大切な出会いを語った。

ドラマ『その着せ替え人形は恋をする』に出演している永瀬莉子【写真:舛元清香】
ドラマ『その着せ替え人形は恋をする』に出演している永瀬莉子【写真:舛元清香】

“本職”コスプレイヤーの美しさに圧倒される

 俳優・永瀬莉子(22)が、現在放送中のMBS/TBSドラマイズム『その着せ替え人形(ビスク・ドール)は恋をする』(MBS火曜深夜0時59分/TBS火曜深夜1時28分)で、ゲームとコスプレを愛する高校生を演じている。原作は、累計1100万部を突破しアニメ化もされた、女性漫画家・福田晋一氏による人気同名コミックス。永瀬扮(ふん)するギャルでオタクなヒロインの喜多川海夢(フリガナ:まりん)と、ひな人形の頭師を目指す男子高校生・五条新菜(野村康太)が繰り広げるラブコメディーだ。今夏まで、女子中高生向けファッション雑誌『Seventeen』(集英社)の専属モデルを務め、映像出演も続いた永瀬が「実は初めて」というギャル役やコスプレの舞台裏、俳優業での大切な出会いを語った。(取材・文=大宮高史)

――このドラマ(通称:着せ恋)で演じた喜多川海夢への印象はいかがですか。

「ギャルでオタクでコスプレが大好き……と、こんな突き抜けた明るい役は初めてだったので、新鮮な経験ばかりでした。髪もこんな明るいハイトーンにしたのは初めてです。『どういう風になるんだろう』と興味津々で現場入りし、『海夢ならこんな表情をするかな』と想像しながら撮影に挑んでいました。彼女の五条くんへの接し方をとことん研究して、想像を形にしていくうちにどんどん楽しくカメラに向かえていました」

――明るい役柄は、あまり経験が無かったのですね。

「デビューした頃から、重い感情が揺れ動く役が多かったんです。今夏に出演したドラマ『素晴らしき哉、先生!』(ABC/テレビ朝日)では、同じ高校生でも学級委員で真面目な子の役でした」

――では今回、永瀬さんが思う見どころは。

「コスプレはもちろんですが、五条くんと海夢ちゃんが、互いにないものを補いあって仲が深まっていく過程がすてきです。五条くんはひな人形、海夢ちゃんはコスプレやゲームと互いに好きなものがあって。正反対のようで似ている2人の、ラブコメそのものの掛け合いに注目してほしいですし、自分の本心に正直になれずに迷っている人にも刺さる内容になっていると思います」

――もしかすると永瀬さんにも、人生で迷っていた時期があったのでしょうか。

「幼い頃から芸能界への憧れがあり、高校1年生で『ミスセブンティーン2018』に選んでいただきました。その後、高校卒業が近づいた18歳くらいの時に『本当にやりたいことって何だろう』と考えて悩んだタイミングがあって……。ただちょうど俳優のお仕事を継続していただけるようになった時期で、役を一つ経験するごとに好奇心が増していき、演技を続けていこうと決意が固まりました」

――今作では初めて、コスプレにも挑戦しました。

「コスプレは一から研究していきました。SNSでバズっているコスプレイヤーさんに近づくにはどうすれば……と思い、写真をたくさん検索して、その美しさに圧倒されました。私の場合、実際の撮影ではカラーコンタクトレンズ(カラコン)を入れて、テープで眉とまぶたの二重の間を広げてみたり、自分の原型がなくなったような気分にもなりました。でもその分、別人になりきって、より胸を張って演じられました」

――「胸を張って」とは、それはどんな演技を?

「原作の海夢ちゃんの目の輝きぶりが魅力的で、これをドラマでも見せようとしました。普段の海夢ちゃんとコスプレをした彼女で、目の描き方も違います。カラコンを入れて目力が変わる瞬間が(コスプレの)キャラクターになりきって心身ともに引き締まる瞬間でした。現場で回っているのはムービーカメラなのですが、監督から『目の前にスチールカメラがあるつもりで』と言われて、キメの表情を作りました」

――モデルの経験もありますが、コスプレで特にこだわったことはありますか。

「コスプレは、静止するときの美しさにこだわりました。キャラクターとしてのポージングを大切にしているので、体幹の強さが求められます。モデルの場合は、衣装を着て装っているのはあくまで私なので、飾らないで自由に動くこともできて、そこがコスプレとの違いでした。」

――最終回では実は男装もしています。

「原作ファンにも人気の麗様のコスプレです。男らしくするためにインソールも入れて、詰め物で肩幅も大きくしたりしました。メイクも、メイクさんと一緒に男っぽさとかわいさを両立できるよう、時間をかけて研究しました。コスプレの“現実”を私も経験したので、実際に活動しているコスプレイヤーさんが一層偉大に感じられました」

明るいハイトーンに髪を染めたのも初めてだ【写真:舛元清香】
明るいハイトーンに髪を染めたのも初めてだ【写真:舛元清香】

『Seventeen』初舞台で広瀬すずを見送って6年「人に頼られるように」

――ここからは、これまでのご自身の歩みについて伺います。俳優業の中で、忘れられない出会いはありますか。

「4年前にドラマ『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』に出演した時、Ⅰ型糖尿病患者の女の子を演じました。主人公の石原さとみさんの薬剤師さんに励まされ、背中を預けて泣く場面があったのですが、どうしてもしっくりくるお芝居ができませんでした。『もう1回やらせてもらえませんか』と監督にお願いしたら、石原さんも『納得できるまで一緒にやろうね』と声をかけてくれました」

――ベストな演技ができるまで、背中を押してくれたんですね。

「緊張していましたし、病気の彼女が薬剤師さんにもどかしさをぶつける場面でした。まだ感情を吐き出すお芝居がつかめていなかったところに石原さんが支えてくれたので、救われた思いがありました」

――2018年にファッション雑誌『Seventeen』でデビューした同期には出口夏希さんらがいます。

「出口夏希ちゃんとはすごく仲良しです。出演作もチェックしていますし、近況を報告し合って一緒にご飯にも行きます」

――お披露目がイベント「Seventeen 夏の学園祭2018」で、広瀬すずさんが『Seventeen』を卒業した最後のステージでした。

「その時、広瀬さんはすでに6年も専属で活躍されていて、まぶしかったです。私は初めての大舞台で、先輩モデルの皆さんとも初めての現場でした。自覚が芽生えたとともに『私も先輩方のようにずっと愛されるモデルになれるかな』と思っていました」

――それから6年を経て、今夏に『Seventeen』専属モデルを卒業しました。

「先輩方もスタッフさんも優しくて、いつも家族のように見守ってくださる場所でしたが、卒業を伝えた時は残念がってくださって。ただ、最後は『頑張って』と背中を押して送り出していただいたおかげで、私自身『もっとチャレンジしていこう』とポジティブになれました」

――6年間で、成長したと思うことは。

「人に頼られることが増えました。後輩が増えていき、彼女たちといろいろと話がしたくて積極的に話しかけていきました。だから『Seventeen』の現場では編集部さんも私のことを信頼してくださったのかなと思います。今作でも、五条くん役の野村康太さんらと他愛のない話でも笑い合っていました」

――今作で正統派ラブコメのヒロインを演じて、さらに役柄が広がりました。今後の俳優業への抱負は。

「『同じ人がやっていたんだ』と驚かれるように、振り幅広く作品に出演していきたいです。目標に縛られすぎず、これからも皆さんに応援していただけるよう頑張ります!」

取材メモ:「ミスセブンティーン2018」は、永瀬の同期に出口夏希、桜田ひよりら今をトキメク若手注目株がそろう。永瀬は初めてのドラマ『ココア』(2019年/フジテレビ)でクラスで孤立している高校生を演じ、その後も『17.3 about a sex』(2020年/ABEMA)では性体験に踏み込む真面目な少女を丁寧に演じた。さらに、『夫を社会的に抹殺する5つの方法』(2023年/テレビ東京)ではYouTuber、『対ありでした。~お嬢さまは格闘ゲームなんてしない~』(2023年/Lemino)では、お嬢様学校のゲーマーなど多彩な役を好演してきた。役を演じる度にイメージが変わり、取材中もころころと動く瞳に目力が宿ったことが印象的だった。プライべートでは韓国ドラマやゲームの『桃太郎電鉄』を愛する22歳。キラキラの笑顔でも繊細な演技でも、ますます人々を魅了してくれるだろう。

□永瀬莉子(ながせ・りこ)2002年8月13日、広島県生まれ。18年にオーディション「ミスセブンティーン2018」に合格し同誌専属モデルに。19年にフジテレビ系『ココア』でドラマ初出演。23年は映画『君は放課後インソムニア』、テレビ東京系『夫を社会的に抹殺する5つの方法』などに出演したほか、日本テレビ系『春は短し恋せよ男子』で地上波ドラマ初ヒロイン。今年は、フジテレビ系『Re:リベンジ-欲望の果てに-』、テレビ朝日系『東京タワー』『素晴らしき哉、先生!』などに出演。『Seventeen』2024年夏号をもって同雑誌の専属モデルを卒業した。162センチ。

スタイリスト:城田望(KIND)
ヘアメイク:石川ユウキ(ThreePEACE)

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