“Z世代のカリスマ”莉子が女優で飛躍 初演技で痛感した無力さ「悔しさをバネに」
桐谷健太主演ドラマ『インフォーマ』の新シリーズ『インフォーマ -闇を生きる獣たち』がABEMAで11月7日から放送スタートする。新キャストとして物語にフレッシュな風を吹かせたのが莉子(21)演じる広瀬だ。今作は、莉子にとって初挑戦だらけの作品となった。放送を間近に控えての思いを聞いた。
『インフォーマ』で実現した初の海外仕事「いろいろと段階を踏んでなさすぎて(笑)」
桐谷健太主演ドラマ『インフォーマ』の新シリーズ『インフォーマ -闇を生きる獣たち』がABEMAで11月7日から放送スタートする。新キャストとして物語にフレッシュな風を吹かせたのが莉子(21)演じる広瀬だ。今作は、莉子にとって初挑戦だらけの作品となった。放送を間近に控えての思いを聞いた。(取材・文=中村彰洋)
――『インフォーマ』という作品の印象を教えてください。
「日本のドラマでここまで描けるんだというぐらい壮大なスケールでした。今回はオーディションで出演が決まったのですが、もし自分が出演できるとなったら、今まで出ていた作品とはまた違うものになると強く感じていました」
――オーディションで出演が決まった時の心境はいかがでしたか。
「タイに行くことは事前に聞いていましたし、『インフォーマ』というすでにある作品に出させていただくので不安が大きかったです。もちろんうれしかったのですが、それと同時にプレッシャーもありました。特に今回、女性キャストがほぼいない環境だったので、その辺りも不安な気持ちはありました」
――約1か月半、タイで撮影を行ったとうかがいました。
「高校2年生に修学旅行で行ったオーストラリア以来の海外だったんです。海外に行くことがそもそも一大イベントなのに、タイで撮影をするって、いろいろと段階を踏んでなさすぎて、大丈夫かなって(笑)。タイは『ほほ笑みの国』と呼ばれているぐらいですし、親日で優しい国と聞いていたので、『やってやろう!』という気持ちで、腹を決めました」
――お仕事で海外に行かれるのも初めてだったということでしょうか。
「そうなんです。1週間以上海外に行くことすらも初めてだったので、何を持っていけばいいのかすらも分からなくて、いろんな意味で私にとっては挑戦な作品でした。最初の3~4週間ぐらいはタイにずっといて、日本での仕事もあったので、その後は2~3回ぐらい行き来していました。時差ボケはなかったですが、慣れない環境に苦労しましたね。最初は『タイ料理最高!』って感じだったんですけど、最後の方は日本居酒屋にも行ってました(笑)」
――役作りで気を付けた点などはありましたか。
「普段は事前にノートに書いたりするんですけど、広瀬が1人で単独で動くというより、木原(桐谷)さんか三島(佐野)さんと一緒に行動することが多かったので、今回はほぼそれをしませんでした。環境も変わりますし、木原や三島と実際に関わって、そこで生まれた芝居のテンポで変えていくのがいいなって。自然体で演じる意識をしました」
――今まではノートに書いての役作りを行うことが多かったのでしょうか。
「役の性格とかこういうことしそうだなと思うことを書いてから作品に挑むことが私の普段の役作りなんです。今まで学園系など原作のある作品が多かったので、原作に書かれている情報だったり、とにかく書いて自分の中に入れる作業を大切にしていました」
挑戦できるものは「全部やりたい!貪欲なんです(笑)」
――舞台初出演、映画初主演などここ1~2年の活躍が目覚ましいですが、実感はございますか。
「『忙しくしてるよね』と言ってくださることも増えたのですが、全然そんなことないんです。休みも取りながら、楽しくやらせていただいています。個人的には去年が踏みとどまった1年だなと思っているんです。納得できるものがあまりなく、悔しいと思うことが多い年で、今年はそういうのを少しでも減らしていきたいと思っていました。『インフォーマ』も『恋僕』(映画『恋を知らない僕たちは』)もそうですが、色の違う良質な作品に出させていただけたので、成長できたと思える年にはなったと思っています」
――去年の悔しい思いとは具体的にどういったことでしょうか。
「仕方ないことなのですが、この仕事をしていると出たかったものにタイミングが合わなくて出られなかったり、作品でも思った通りの演技ができなくてメンタルが落ちちゃったり、悔しいなと感じることが多い年でしたね」
――普段から悔しさをバネにするタイプですか。
「負けず嫌いでバネにするタイプだと思います。私は仕事をずっとしていたいタイプなので、休みは週に1回あれば十分なんです。マネジャーさんに常に『仕事入れてください!』とお願いしています。ちょっと前までは、休みがずっと続くと何をしたらいいのか分からなくて、『仕事ないですか?』ってとにかく焦って追い込まれたりしていました。最近はそこの両立も、だいぶうまくなったと思います」
――モデルからスタートした芸能生活ですが、いつごろから演技に興味を持つようになったのでしょうか。
「4年前に『小説の神様』という映画に出させていただいた時に、何もできなかったんです。お芝居のことをほぼ知らないままに出た作品だったので、基本的なことすらもできない状態でした。佐藤大樹さんや橋本環奈さんだったり、いつもテレビ画面越しで見ているような方たちとご一緒した時に『私って何もできていないな。全然ダメだ』と思いました。
その経験がすごい悔しくて、それをバネにワークショップに通ったり、映像をたくさん見たり、オーディションをもっと受けるようになったりしていきました。そういうことをしている内にお芝居が楽しくなったという感じでした」
――最初は戸惑いがあったんですね。
「なんで急に私なんかがお芝居してるんだろうみたいな気持ちもあって、なかなか楽しいと思えなかったんですけど、お芝居の基本を知ることで、楽しさに変わっていった感覚です。でも、お芝居をずっとやりたいというよりも、バラエティーもやりたいですし、モデルももちろんやりたいです。全部やりたい! 貪欲なんです(笑)」
やりたいことを言霊に「しっかりと言うようになりました」
――明るいイメージの莉子さんですが、オンとオフで変化はありますか。
「私は誰に対してもどこにいてもこんな感じなんです(笑)。友達からも『テレビの莉子と、隣にいる莉子ってマジで変わらない』って言われるぐらいです。いろんな自分を作っちゃうと苦しい気もするので、できるだけ自然体でいようと自分の中で決めてます。頑張りすぎないことも最近は覚えて、自分の中で調節することもできるようになってきたので、そこは自分で『成長したね』って認めてあげたいです」
――以前は頑張りすぎてしまうこともあったのでしょうか。
「キャパオーバーして、しょっちゅう号泣しながら、友達に電話かけたり、お母さんに話を聞いてもらったりしていました。そういうことばっかりだったんですけど、20歳過ぎてからは、自分の中でのキャパを把握する作業が上手になった気がしています。それもあって、役者のお仕事も集中しやすくなったり、やりやすくなった感覚があります」
――10代から支持を集めていますが、年齢を重ねていく中で変化を意識することはございますか。
「『Popteen』のモデルをやっていた時は、まさにSNSの印象が強かったと思います。でもそれも高校と一緒に卒業すると、自分の中で決めてやっていました。自分でそういったタイミングを決めることが多いですね。『Popteen』を卒業してからはお芝居よりに、お仕事の内容も変わっていったというのもありますし、特に20歳を超えてからは、『インフォーマ』のような作品をやらせていただいたり、そういう機会もいただいたので、これからは作品の色みたいなものを考えながらやっていきたいです。
でも制服は25歳まで着たいと宣言しているので、学園系をやりたい気持ちもまだまだあります。私はマネジャーさんと話し合う機会が多い方だと思っていて、ちょっとしたことでも、『これやりたい』とか『これってどうしますか』とか積極的に自分から聞くようにしています。『来年はこういうのをやりたい』と言葉にするようにもなりました」
――しっかりとやりたいことを言葉にすることを心掛けているんですね。
「そうなんです。かといって、それをSNSなどで発信したいというわけではないんです。SNSはゆるく自分のペースでやっていきたいですし、ファンの方に向けたコンテンツとして楽しんでいただきたいと思っています。公にしたいわけではなくて、ここ数年は仕事については、マネジャーさんたちにしっかりと言うようになりました」
――今後、出演してみたい作品や挑戦したい役柄などはございますか。
「今回の『インフォーマ』もそうですが、『え、莉子ちゃんこれ出るの?』みたいな作品に出ることをずっと目標に掲げています。悪役やちょっと闇を抱えているような役もやってみたいです。これまでは、元気な女子高生みたいな役が多くて、そういったイメージを持ってくださっていることは、とてもありがたいのですが、今後いろいろ挑戦していくという意味では、『莉子ちゃん、こんな役もできるんだ!』とファンの方から言っていただけるような役をやっていきたいです」