庵野監督の自腹秘話のレア品、人気広めた歴代のパチンコ台も…エヴァ博覧会、思わず「すげえ」

世界的シリーズ『エヴァンゲリオン』の「多彩な魅力」がワクワク感とともに広がる――。エヴァの“モノとコト”のコラボレーション史をひも解く展示会『EVANGELION CROSSING EXPO ―エヴァンゲリオン大博覧会―東京凱旋』(通称:エヴァ博)が、東京・六本木ミュージアムで開催される。エヴァ博初展示となるアヤナミレイ(仮称)等身大フィギュアをはじめ、高さ3.5メートル、重さ100キロの特大ロンギヌスの槍、そして、独自性や個性あふれ出る企業コラボグッズの数々、貴重なレア展示まで…。多様なジャンルに浸透している“エヴァっぽさ”の秘訣(ひけつ)をたどることのできる企画展になっている。

『エヴァンゲリオン大博覧会―東京凱旋』がいよいよ開幕だ【写真:ENCOUNT編集部】
『エヴァンゲリオン大博覧会―東京凱旋』がいよいよ開幕だ【写真:ENCOUNT編集部】

六本木ミュージアムで待望の東京凱旋 物販1600種類にも仰天

 世界的シリーズ『エヴァンゲリオン』の「多彩な魅力」がワクワク感とともに広がる――。エヴァの“モノとコト”のコラボレーション史をひも解く展示会『EVANGELION CROSSING EXPO ―エヴァンゲリオン大博覧会―東京凱旋』(通称:エヴァ博)が、東京・六本木ミュージアムで開催される。エヴァ博初展示となるアヤナミレイ(仮称)等身大フィギュアをはじめ、高さ3.5メートル、重さ100キロの特大ロンギヌスの槍、そして、独自性や個性あふれ出る企業コラボグッズの数々、貴重なレア展示まで…。多様なジャンルに浸透している“エヴァっぽさ”の秘訣(ひけつ)をたどることのできる企画展になっている。(取材・文=吉原知也)

 全国各地を回ってきたエヴァ博が、ファンの熱望を受けて、2年ぶりに東京に凱旋(がいせん)だ。最初に足を踏み入れる空間は、衝撃的なインパクト。巨大な初号機ヘッドがお出迎えしてくれる。初号機の武器として知られ、使徒のコアに突き刺さる場面を再現したプログレッシブナイフは迫力満点。プロジェクションマッピング映像は今回のオリジナルだといい、がれきに刺さっている特大のロンギヌスの槍には、思わず「すげえ」という言葉が漏れた。

 エヴァはまもなく“30歳”を迎える。1995年に放送されたテレビアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』に始まり、興行収入100億円を突破した『シン・エヴァンゲリオン劇場版』(2021年公開)まで、長年愛され続けている人気シリーズ。企業コラボ、他作品キャラクターとの連動、公式ブランド『RADIO EVA(ラヂオエヴァ)』を筆頭とするファッション化、町おこしに至るまで、多彩なバリエーションに広がり、熱烈ファンだけでなく、作品を知らない一般層にまで浸透してきた。

 今回、4000点を超える展示は激アツだ。プラモデル作品の30年に及ぶ歴史の進化が分かるコーナーや、モータースポーツ分野への挑戦となっている『エヴァンゲリオン レーシング』のレースクイーン衣装と競技バイク。エヴァにとって最初の大規模な企業コラボ(97年)となった、UCC上島珈琲株式会社「UCCミルクコーヒー」“エヴァ缶”のコレクションは、ファン垂涎(すいぜん)だ。初展示の長さ3メートル級の初号機こいのぼりも印象的だ。

 興味深いのが、パチンコとのかけ合わせ。『CR新世紀エヴァンゲリオン』が登場したのは20年前の04年のこと。遊技機業界としても革新的で、エヴァをよりポピュラーに知らしめることになった“エヴァパチンコ”が与えた影響は非常に大きい。今回、歴代の全17台が勢ぞろいしており、圧巻の光景が広がっている。

 内覧会で、版権管理を担当する株式会社グラウンドワークス代表取締役の神村靖宏氏と、元エヴァレーシング・レースクイーンで、公式情報サイト『エヴァ・インフォメーション』公式レポーターを務める野呂陽菜によるギャラリートークが行われた。

 ほぼ中央に位置する大空間は「キュレーションランウェイ」と名付けられ、天井まで凝った展示が。エヴァをイメージしたパペットが壁にちょこんと座っており、「ひねったモノ」(神村氏)が数多く飾られている。

 神村氏がプッシュして紹介したのが、3丁のはさみが紙を切り裂く造形物だ。その色調から、3機のエヴァンゲリオンを連想させる。これは、エヴァのメカニックデザイナーを務める山下いくと氏が制作した98年製のオブジェ。(今や懐かしい)レーザーディスクボックスのブックレットの表紙に採用された。神村氏によると、イラストとして発注したが、山下氏から送られてきたのは、まさかの立体のオブジェ。「空間を切り裂くようなイメージで、キャラクターを使っていないのにキャラクターを表現できる。これは当時、我々にとって大発明でした」。キャラを直接描かないでも、色やモチーフから“エヴァっぽさ”を表す。現在のエヴァコラボの原点と言えるレアな逸品だ。当時の現物をほぼそのまま保管しており、何より必見だ。

庵野監督秘話の展示にも興味津々【写真:ENCOUNT編集部】
庵野監督秘話の展示にも興味津々【写真:ENCOUNT編集部】

「エヴァの作品自体が持つ切り口の多彩さ、物語の深さ、デザイン性の高さ」

 また、「作画参考模型(1995年~)」にも注目したい。庵野秀明監督自らがポケットマネーの自腹で制作した、初号機の頭部と全身像のフィギュアには歴史的価値がある。複雑な形状の初号機を手描きするための資料として、初期当時のクリエーター陣に配られ、作品の高いクオリティーに大きく貢献したという。海洋堂による仮設5号機、WAVEによる『シン・エヴァ』制作時のAAAヴンダーの立体資料にも胸が高鳴る。

 さらに、コラボカフェも魅力満点。作中の“名セリフ”“名シーン”カフェメニューはユニークで、『逃げちゃダメだ』のパフェや『あんた、バカぁ?』のチリチーズ・ホットドッグなど、映えるフード&ドリンクがめじろ押しだ。

 ちなみに、渚カヲルとMark.06がお気に入りの筆者としては、『:Q』(12年)を連想させるカフェメニュー『「いいね!いいよ、君との音」二人の連弾オムライス』と、“伝説のホスト 渚カヲル降臨”企画の実物広告バナーに、心を奪われた。

 そして、エヴァ博は物販コーナーがとてつもなく充実している。約1600種類を取りそろえており、六本木交差点のシンボル「アマンド六本木」との限定コラボ・リングクッキーなどの限定商品も。各種アパレルやデザイン性豊かなアクリルスタンド、胸熱のトレーディングラミカードなど、これまた集めたくなってしまう。カシウスの槍を手にした巨大なエヴァンゲリオン初号機が六本木ミュージアムの会場に出現する、スマホアプリのAR(拡張現実)コンテンツもそそられる。

 エヴァにどっぷり浸かることのできる極上の時間。神村氏は「エヴァの作品自体が持つ切り口の多彩さ、物語の深さ、デザイン性の高さ。本当に密度の濃い作品で、そこから多様に展開してきました。『これ持ってるな、これ欲しかったな』と思いを巡らせたり、さまざまなキャラの表現手法を通して作品に思いをはせることもできると思います」。また新たなエヴァの発見も楽しめそうだ。

 会期は9月13日~10月22日まで、会期中無休。

 (C)カラー

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