宮崎駿監督とピクサーの重鎮が特別対談 アニメ界のトップが熱い議論…制作手法の違いも語る
ピクサーのチーフ・クリエイティブ・オフィサー(CCO)のピート・ドクター氏、映画『インサイド・ヘッド2』(公開中)の監督ケルシー・マン氏、プロデューサーのマーク・ニールセン氏と、スタジオジブリの宮崎駿監督、鈴木敏夫プロデューサーの対談が4日と11日の2週にわたり、TOKYO FMラジオ番組『鈴木敏夫のジブリ汗まみれ』にて放送されることが4日、発表された。
1980年代頃から厚い親交
ピクサーのチーフ・クリエイティブ・オフィサー(CCO)のピート・ドクター氏、映画『インサイド・ヘッド2』(公開中)の監督ケルシー・マン氏、プロデューサーのマーク・ニールセン氏と、スタジオジブリの宮崎駿監督、鈴木敏夫プロデューサーの対談が4日と11日の2週にわたり、TOKYO FMラジオ番組『鈴木敏夫のジブリ汗まみれ』にて放送されることが4日、発表された。
ピクサーとスタジオジブリは1980年代頃から親交が厚く、映画『千と千尋の神隠し』(2001年)ではピクサーがアメリカ配給版の英語吹替の監修を務めたり、『トイ・ストーリー3』(10年)には『となりのトトロ』(1988年)のトトロがカメオ出演したりするなど深い交流がある。
そんな中、最新作『インサイド・ヘッド2』を引っさげ来日したドクター氏らがスタジオジブリを訪問。手描きアニメーションを追求するスタジオジブリと、最先端技術を駆使し3DCGアニメーションで映画を制作するピクサーのそれぞれの制作現場の裏側や作品に対する思いなど、世界のトップアニメーションクリエイターの両者だからこそできる、アニメーション制作にまつわる熱い議論を交わした。
対談の中で出てきたさまざまなトピックの一つが「テスト試写」について。ピクサーでは映画が完成する前に何回もテスト試写を繰り返し、さまざまな人の意見を取り入れて映画を作り上げていくという制作手法を取っている。ドクター氏が「スタジオジブリではそういう事を行いますか?」と聞くと、宮崎氏は「ないです。映画はお客さん全員が理解することは不可能です。責任を取るのは自分たちですから、そこにたまたまいた人に責任を預けるわけにはいきません」と持論を展開。
するとドクター氏は「僕らのやり方だとテスト試写は役に立つんです。製作途中なのでこの部分は全然響いてない、感情を感じたいのに感じられてないということを見極められるので、調整することができるんです。確かに僕も意見を聞いている時は右から左に流すこともしますが、試写では一緒に見るんです。そうすると飽きている時や画面に見入っている時を肌で感じられるので、そのリアクションは本心だと思っています。それを見ながらなるべく多くの方に響くように調整するのが僕らの責任だと考えています」とそれぞれのアニメーション映画制作にかける信念や違いについて議論を交わした。
以下、映画『インサイド・ヘッド2』を観劇した鈴木氏のコメント。
「思春期を迎えたライリー、その頭の中は今、どうなっているのか? 75歳のおじいちゃんには勉強になりました。スタジオジブリ 鈴木 敏夫」
※宮崎駿監督の「崎」の正式表記はたつさき