『ゴジラxコング』日本版主題歌の仕掛け人Yaffle、『ゴジラのテーマ』のサンプリング「光栄でした」
ゴジラ70周年×「モンスター・ヴァース」シリーズ10周年アニバーサリー超大作『ゴジラ×コング 新たなる帝国』(公開中)の日本版主題歌は、Yaffle x AI『RISE TOGETHER feat. OZworld』だ。音楽プロデューサーのYaffle、シンガーのAI、HIP HOPアーティストのOZworldのコラボレーション。3人が曲に込めた思い、ゴジラ愛を語った。
日本版主題歌の3人ゴジラトーク、OZworld「モスラはAIさんみたい」にAIの反応は?
ゴジラ70周年×「モンスター・ヴァース」シリーズ10周年アニバーサリー超大作『ゴジラ×コング 新たなる帝国』(公開中)の日本版主題歌は、Yaffle x AI『RISE TOGETHER feat. OZworld』だ。音楽プロデューサーのYaffle、シンガーのAI、HIP HOPアーティストのOZworldのコラボレーション。3人が曲に込めた思い、ゴジラ愛を語った。(取材・構成=平辻哲也)
『RISE TOGETHER feat. OZworld』は地上の王者ゴジラと地下世界に住むコングが共通の敵を相手に共闘するストーリーに合わせて作られた。伊福部昭作曲『ゴジラのテーマ』の映画のオリジナル音源を公式として初めてサンプリングし、AIが“Rise Together or Fall Alone”と力強く歌い、OZworldのラップが加わる。制作はリモート中心で行い、AIが自ら作詞したものを歌い、そこにOZworldのリリックを乗せていった。
Yaffle「『ゴジラのテーマ』がサンプリングとして使えたのは光栄でした。吸引力が強いので、別のファクターが必要だなと思いながら作っていきました。オファーを頂き、すぐにAIさんに声をかけました。エンジニアを含めて日本最高レベルの人たちを集めることができたので、音質的にも、ハリウッドのサウンドにも遜色ないものにできた。肩ひじを張らずに、見るような感じで、この曲を体感してほしい」
AI「Yaffleさんがやるなら、絶対かっこいい曲になると思っていましたが、やっぱりその通りでした」
OZworld「ゴジラ70周年というタイミングで、マジ? と思ったのですが、顔合わせして、ビートも届き、誰もが知るゴジラの音にラップを乗せるのは緊張しました。共闘と調和というテーマは自分でも大切にしているので、リリックには苦労しなかったのですが、いかにかっこよく見せるかの部分はいろいろトライしました」
――YaffleさんとOZworldさんは既に『ゴジラ×コング―』を見たそうですが、感想は。
Yaffle「ゴジラというキャラクターを、クリエイターが頭を悩ませて、どう切り口を出していくのか、その幅が見える。それがどんどんテクノロジーの進化でここまで動けるようになったんだと思いました」
OZworld「音もすごかったし、自分の想像を超えに超えてくる内容だったので、もう一度、映画館で友達と見に行きたいと思っています。(劇中に)モスラが出てくるんですけど、(モスラは)AIさんみたいだと思いました。まさに愛の権化といった感じ。名前で見ても、テクノロジーの“AI”と普遍的な愛を持っている。映画を見て、改めて確信しました」
AI「私、モスラに名前変えます(笑)」
Yaffle「じゃあ、僕はずっとゴジラ好きなんでゴジラですね(笑)」
OZworld「私は沖縄の田舎、ジャングルから来たんで、コングですね(笑)」
――完成披露試写会では楽曲をライブで初披露しましたが、AIさんとOZworldさんの共演は初めてですか?
AI「リハーサルを入れて3回目です」
Yaffle「何事もないようにやるからすごいなと思いましたね。とても自然で、ただ楽しかったです」
――みなさんはゴジラ好きだそうですが、ゴジラはどんな存在ですか。
Yaffle「社会を映す鏡だと思います。ゴジラを通じて、気づき、社会問題を含めて見せてくれる。クリエーターのみなさんは、ゴジラを使って、どう話を継いでいくのかを考えている。だから、僕はハマったのかもしれない。昔のゴジラはひょうきんだったりしましたが、いきなりかっこよくなったりもしましたね。アメリカに住んでいた頃に見たハリウッド版のゴジラの楽曲も暗めのロックといった感じで、かっこよかった」
AI「ゴジラは子どもが好きで、フィギュアも持っています。子どもから『名前は何?』と聞かれるけど、タグがなくて、分からない(笑)。後は本屋さんで、パーツを組み立てて作るシリーズも売っていますよね。買ったのはいいけど、買い集めないといけない。子どもも好きだから、一緒にさかのぼって見ています。この映画も家族で見たいと思っています」
OZworld「自分も小さい頃からゴジラのフィギュアを集めていました。映画をいっぱい見てきたわけではないですけど、怪獣と言えば、ゴジラでした。ウルトラマンのフィギュアも買っていて、ウルトラマンの敵として遊んだりしていました。一緒に育ってきたとまでは言わないけども、存在としてずっとありました。今回、映画の主題歌をやらせてもらい、自分の伝えたいことが映画っていう作品に乗っかって、壮大なミュージックビデオになっているような感じがしました。テーマにも共感する部分もあって、新しい学びもあったので、また見始めたいと思っています」
■Yaffle(ヤッフル)TOKAのプロデューサーとして、藤井風、iri、SIRUP、小袋成彬、eill、adieu、ao、SEKAI NO OWARI、AIなど数多くのアーティスト楽曲を手がける。2020年9月、欧州各地のアーティスト計8人をゲストに迎えた1stアルバム『Lost, Never Gone』。21年10月に発売されたポケモン25周年を記念したコンピレーション・アルバムには唯一の日本人アーティストとして参加。23年2月には名門老舗クラシック・レーベルのドイツ・グラモフォンからアルバム『After the chaos』をリリース。映画音楽に『ナラタージュ』(17)、『響-HIBIKI-』(18)、『キャラクター』(21)、『変な家』(24)など。サウンドトラックを手がけた『映画 えんとつ町のプペル』(20)は第49回アニー賞で最優秀音楽賞にノミネートされた。
■AI(アイ)米ロサンゼルス生まれ。鹿児島県鹿児島市育ち。中学卒業後、LAのパフォーミング・アーツ・スクール名門(LACHSA)にてダンスを専攻。同時期にゴスペルを学ぶ。卒業後、日本でソロ・デビュー。シンガー、ダンサー、ソングライター、プロデューサーとして活躍する中、『Story』『ハピネス』をはじめとする楽曲でミリオンヒットを放ち大ブレイク。
■OZworld(オズワルド)沖縄生まれ沖縄育ち。2019年に1st Album「OZWORLD」をリリースし全国デビュー。収録曲“NINOKUNI feat. 唾奇”は、YouTubeに公開したミュージックビデオが2300万回を超える代表曲となる。23年にはRedbull RASENで披露した同郷アーティストとのマイクリレーが海外でも大きな反響を呼び、うちなーぐち(沖縄の方言)による独特なRAPスタイルを確立した。音楽活動はもちろん、アパレル・ジュエリーブランド「VOiCE」のプロデュース、リアルとヴァーチャルがリンクする仮想世界「NiLLAND」でのNFTプロジェクトのプロデュース、更には日本で初めてHIP HOPアーティストとしてプロeスポーツチーム(FENNEL)に加入するなど、HIP HOPの枠にとらわれない先進的な活動を展開している。