「税金を多く払ってるのに…」喫煙所の数が少なすぎ? 愛煙家の嘆きと非喫煙者の“疑問”
3月16日のダイヤ改正で、東海道・山陽・九州新幹線から喫煙ルームが全廃された。本件のみならず、昨今ではたびたび“喫煙所の数”が話題となっており、さまざまな声があがっている。具体的にどのような意見があるのか。喫煙者と非喫煙者、両者に話を聞いた。
東海道・山陽・九州新幹線から喫煙ルームが全廃
3月16日のダイヤ改正で、東海道・山陽・九州新幹線から喫煙ルームが全廃された。本件のみならず、昨今ではたびたび“喫煙所の数”が話題となっており、さまざまな声があがっている。具体的にどのような意見があるのか。喫煙者と非喫煙者、両者に話を聞いた。
まずは、喫煙歴9年の愛煙家・Fさん。人材派遣会社に勤めており、職場での喫煙環境は「悪くない」という。出張時は飛行機ではなく、新幹線を主に利用しており、移動手段を決める際、「喫煙スペースの存在が大きかった」と語る。
「ないならないで我慢はするのですが、もともとあったものがなくなるのは残念です。あえて新幹線を選ぶことも多かったのですが、今後は飛行機の利用が増えると思います」
また、昨今の“喫煙所の数”についても苦言を呈した。
「たばこの税負担率は6割ほどで、(国税と地方税あわせて)年間2兆円を超える財源となっていると聞きます。しかし、喫煙所の数はまったく足りていない。渋谷や新宿といった大きな駅でも、小さな喫煙所が2、3か所あればいい方。地方ではそもそも喫煙スペースが存在しないエリアもありますし、その2兆円から喫煙所の充実は図れないのでしょうか。非喫煙者よりも税金を多く払っているのは何のためなのか……というのが正直な感想です」
たばこ税は、一般財源に充てられ、日常生活の基盤の整備や、公共サービスの質の向上に利用されている(特別税を除く)。そのため、たばこ税すべてが喫煙者に還元されるわけではないのが実情だ。しかしながら、Fさんのように「たばこ税の分、喫煙環境を増やしてほしい」という意見も少なくない。
こうした声があがる一方で、非喫煙者からの厳しい意見も見られる。
生まれてから1度もたばこを吸ったことがないという2児の母・Iさんは、新幹線の喫煙ルーム撤廃について「歓迎しています」と話した。
「喫煙ルームから戻ってきた人のにおいがとても気になっていました。私は特ににおいに敏感で、隣に喫煙直後の方がいらっしゃると、頭が痛くなることもあります。今後はそういったことも減ると思うのでホッとしています」
喫煙所の数については「意識して探したこともないので、数が適当かどうかは分かりません」としながらも、「これほど時代が禁煙の流れに向かっている中で、喫煙するという選択をしているのは喫煙者の方ご自身。合法で販売している以上、吸う権利はもちろんあると思いますが、こういった不都合は想定できるはず。それが無理というのであればやめた方がいいのでは……と思ってしまいます」と疑問を口にした。
また、喫煙者の「非喫煙者よりも税金を多く払っているのに……」といった意見についても、「たばこを買わなければ本来納める必要のないお金。それに、喫煙は将来的に健康を損ない、病院のお世話になる可能性も上がると思います。税金を非喫煙者より多く使う可能性があるから、余分に税金を払っている……そういった考え方もできるのではないでしょうか」と語った。
しかしながら、「喫煙者の友人から、『喫煙所の数が少なくて、路地裏などでこっそり吸う人もいる』といった話も聞いており、そうなるぐらいなら喫煙所がもう少し増えた方がいいのかな……と思う自分もいます」と複雑な胸の内も明かしている。
こうしたたばこを巡る議論は、喫煙者と非喫煙者で完全に分けることはできない。同じ非喫煙者でも意見が割れることがあり、特に“喫煙所設置”の必要性についてはさまざまな考え方がある。分煙が進む昨今、果たして喫煙所は増えていくのだろうか。今後の動きに注目したい。