林家たい平、「中途半端にだけは売れちゃダメ」 名人・古今亭志ん朝のひと言が「ずっと心に」
落語家の林家正蔵、林家たい平、タレントの毒蝮三太夫らが21日、東京・浜松町の文化放送で行われたCD付きマガジンシリーズ「昭和落語名演 秘蔵音源CDコレクション」の創刊記念記者発表会に出席した。
林家正蔵「落語家にとっても、いい音源を残してもらうのはありがたい」
落語家の林家正蔵、林家たい平、タレントの毒蝮三太夫らが21日、東京・浜松町の文化放送で行われたCD付きマガジンシリーズ「昭和落語名演 秘蔵音源CDコレクション」の創刊記念記者発表会に出席した。
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昭和の名人として今も人気の高い落語家、古今亭志ん朝の未発売音源を分冊百科64号分として発売し、その後、三遊亭円生や柳家小さん、三遊亭円楽(五代目)らの未発売音源を加えるシリーズで、全127号(予定)の大ボリュームのコレクションになる。
「志ん朝師匠がいなければ落語家になっていなかったと思います」と打ち明ける正蔵は、「父親(=初代林家三平)の芸風は騒がしくて、やだな、好きじゃなかった。楽しませるという芸風です」と謙遜した後、「(テレビ番組の)『落語研究会』を深夜見まして、かっこいいと思いました。落語家ってかっこいいんだ、と。(落語家になって)この人と一緒にいる時間が持てて幸せでした」と振り返り、「とんかつはビールじゃなくて、(日本)酒でいただくことを教わりました。食べることを含めて着物の着方などすべて影響を受けているなという感じがします」と、存在感の大きさを語った。
たい平は、学生時代に池袋演芸場で聞いた志ん朝の高座を振り返り「江戸という空気をまとって出て来るので、客席まで江戸という空気に変えてしまう。空気感がほかの師匠にはない」と唯一無二の芸人だったと回想。「地方(営業)から帰って来て、矢来町(志ん朝師匠の地元)のすし屋で、『芸人臭いとだめなんだよ、芸人の香りがしないと。この店は生臭くないだろう』と、芸人の香りというなかなか分からないものを、おすし屋さんで教えてくださった」とエピソードを披露し、「『中途半端にだけは売れるんじゃないよ』、とちょっと謎めいたことも言われた。それがずっと心にあった」と、芸人人生に影響を与えたひと言をかみ締めるように語った。
さらに、映像全盛の今、音源だけのCDを発売することについてたい平は「DVDや映像だと見えたものしか受け取ることしかできないですが、CDで聴くのは、耳からの情報。(芸人が)間を取っているところで(どうして)お客さんが笑っているのか(想像できる)」と、聴くことで分かる落語のよさに言及。
正蔵も「僕たち落語家にとっても、いい音源を残してもらうのはありがたい。SNSで言葉が反乱している中で、言葉の美しさ、日本人のやさしさを、落語を通してまた教えてくださるいいきっかけをくださったと思います。志ん朝師匠の音源を聴いて、落語の頼もしさ、強さ、すごさ、面白さ、頼もしさ、楽しさ、いろんなものを感じた次第です」と伝えた。
毒蝮三太夫は志ん朝について「恋敵なんですよ」と突然の告白。その心を「うちのかみさんが今、志ん朝さんにぞっこんなんだ。寝る前に志ん朝が見たいと、DVDを見たり、台所に立ちながら聞いている。志ん朝さんにはまっちゃって。(大リーガーの)大谷の次に志ん朝。まだシーズンが始まっていないので、大谷より志ん朝。ライバルですよ」と明かした。