【どうする家康】山田裕貴、松本潤のひとことに安堵「良かった、やっと頼ってもらえたと」
俳優の山田裕貴が取材に応じ、NHKの大河ドラマ『どうする家康』(日曜午後8時)で演じる本多忠勝についてどんな人物ととらえたのか、演じるうえでの心がけたことを語った。さらに、この作品を通じて感じた関ヶ原の戦いについて印象なども明かした。
戦国最強武将の一人の本多忠勝(平八郎)を熱演
俳優の山田裕貴が取材に応じ、NHKの大河ドラマ『どうする家康』(日曜午後8時)で演じる本多忠勝についてどんな人物ととらえたのか、演じるうえでの心がけたことを語った。さらに、この作品を通じて感じた関ヶ原の戦いについて印象なども明かした。
「衣装として身に付けているかぶとなど、忠勝が大事にしていたとされる物を見つめて思ったのは、忠勝は、助けてくれた相手にすごく敬意を持っているし、人を思いやるということ。忠勝のかぶとに鹿の角が付いているのは、道に迷った時、鹿に導いてもらったことで自分を守るのは鹿だと思ったからじゃないか、という逸話があります。また、肖像画にある数珠は、失った大切な人も自分が殺した人も全部背負って戦うという意味合いだそうです。そこまで人のことを背負うんだと思い、第1回からそういう人だと頭に置いて演じていました」
忠勝という人物のとらえ方のきめ細かさに、役に向き合う真摯(しんし)な姿勢を感じる。
「武士は涙を見せないものかと思っていましたが、忠勝は誰かのために涙を流すことを当たり前にできる人なんじゃないかと考えました。剛のイメージがあると思いますが、ものすごく繊細でいろんな人の気持ちも分かって、たくさんの思いを受け止めて戦っている人物であると思います」
そんな忠勝は、振り返ると家康(松本潤)の横にいるシーンが多かったように思う。
「僕にカメラが向いていない時も、向いているけど一言もしゃべらない場合も、殿(家康)を見る目にとてもこだわって演じていました。どんな心情で忠勝は殿の隣にいたのかということだけ考えていました。忠勝は自分の思いを語る場面があまりなかったので、セリフを通してその思いを説明できなくて。だから、佇まいだけで、殿をどう思っているかなどを表現しないといけない難しさをずっと感じながらやっていました」
『どうする家康』という作品における関ヶ原の戦いはどういう印象だろうか。
「関ヶ原の戦いというと刀を交じり合わせ、鉄砲もバンバン撃つというイメージがあるかもしれませんが、戦いは9月15日の開戦前から始まっています。関ヶ原の地に徳川派がどれだけいるかを調べると、忠勝と直政(板垣李光人)だけ。あとは元豊臣派の福島正則、黒田長政らが前線にいて、もし彼らが裏切ってひっくり返ったら一巻の終わり。これは武力で戦うというより、もはや誰についていきたいかの話。ここで家康が裏切られていたら負けていたと思います。私についてほしいという書状を殿がどれだけ書いて、どれだけの武将を引き込めるか。そこで勝負が決まっていたことを第43回で描いています。今回の関ヶ原の見どころはそこですね。裏切り者として知られる小早川秀秋だけでなく多くの武将が、内心は勝つ方につきたいと思っている戦だったのだろうと思います」
そんな関ヶ原の戦いの撮影現場の雰囲気はどうだったのか。
「第1回から登場していた徳川の家臣は僕(忠勝)しかいなかったんです。井伊直政も第15回からの出演でしたし、ほかは新たに入ってきたキャストさんたちだったので、さみしかったです。殿と一緒に『違うドラマみたいだね』と言いながら、殿に申し訳ないなと思いつつ現場にいました。僕は年下ですし、ちゃんと力になれているのかなとずっと思っていたんですが、先日1回だけ『このセリフ、もっとこう言った方がいいかな?』と聞いてくれた時は救われましたね。良かった、やっと頼ってもらえたと思いました。すごくうれしかったです。現場では殿に何があっても寄り添っていようと思っていましたし、何か聞かれたら真剣に考えて答えようと、家康と忠勝の関係と同じ感覚でいました。こっちから働きかけるのではなく、ただじっと、何かあれば全力で応える、という居方だったと思います」