転機は『3年A組』生徒役 圧倒された撮影現場で成長 秋田汐梨が主演舞台で新たな顔

俳優の秋田汐梨(20)が舞台『SHELL』(11月11日~11月26日まで、神奈川・横浜のKAAT神奈川芸術劇場作・倉持裕、演出・杉原邦生)に主演する。石井杏奈(25)とのW主演で、秋田にとっては3作目の舞台。演劇には、映像作品とは違った刺激と経験があると語る。

インタビューに応じた秋田汐梨【写真:ENCOUNT編集部】
インタビューに応じた秋田汐梨【写真:ENCOUNT編集部】

秋田汐梨インタビュー 舞台『SHELL』で石井杏奈とW主演

 俳優の秋田汐梨(20)が舞台『SHELL』(11月11日~11月26日まで、神奈川・横浜のKAAT神奈川芸術劇場作・倉持裕、演出・杉原邦生)に主演する。石井杏奈(25)とのW主演で、秋田にとっては3作目の舞台。演劇には、映像作品とは違った刺激と経験があると語る。(取材・文=平辻哲也)

 集英社『Seventeen』の専属モデルとして支持され、2019年、『3年A組-今から皆さんは、人質です-』で連続ドラマ初出演、映画『惡の華』では事件をきっかけに豹変する佐伯奈々子役が話題になった秋田。舞台はW主演作『目頭を押さえた』(21年/作:横山卓也・演出:寺十吾)、『幽霊はここにいる』(22年/作:安部公房・演出:稲葉賀恵)に続き3作目になる。

 本作は年齢も性別も違ういくつもの人生を、いくつもの顔をもって同時に生きる特異な人々が登場する摩訶不思議な世界を描く青春ファンタジー。人間の「貌(かたち)」とは何かをめぐり、様々なエピソードで現代に生きる私たちを投影していく。テレビドラマも手掛ける倉持裕が脚本、プロデュース公演カンパニー“KUNIO”の杉原邦生が演出。秋田が演じるのは、同じ人物がいくつもの別人の顔を持っていることを見抜く力を持った高校生・未羽(みう)。斬新な世界観には当初、戸惑いもあったという。

「すごく不思議な世界観でした。映像作品なら、こんな感じになるのかな? と何となくは想像できるのですが、舞台上だと全くイメージできなくて。見ている方は、未羽のセリフを通じて理解するところがあると思うので、重要な役どころだと思いました」

 未羽は正義感の強い、しっかり者のリーダータイプ。

「私は、みんなに合わせるタイプだったので、全然似てないですが、未羽のように放課後の教室に集まって、同級生たちと話をしていたなぁと高校時代を思い出しました」

 高校の放課後をメイン舞台にした物語で、けいこも学校のようなにぎやかだという。W主演の石井杏奈(25)ら若手が同級生役を演じる他、ベテランの岡田義徳も出演している。

「コンテンポラリーダンスの稽古もあって、毎日新しい経験の連続です。石井杏奈さんとはドラマ以来2度目の共演ですが、前回はご一緒するシーンも少なく全然お話できなかったんです。かっこいいなと思う瞬間もたくさんありますし、休憩中、他愛のない話をしたり、しりとりをしてくれたりもします(笑)。無邪気な一面もあり、笑顔も素敵でいろんな顔を持った方だと思います」

 石井とのW主演だが、自身には座長としての気負いはなく、「石井さんをお姉ちゃんのように頼っています。共演者の方とは年齢が近いので、座長として引っ張るというよりは本当の生徒たちみたいな感じでワイワイ楽しく稽古をしています。みんなでコミュニケーションを取る時間は大切にしていますね」と話す。

 秋田は2015年、中1の時に第19回ニコラモデルオーディションでグランプリを受賞し、17年からは女優として活躍し、7年目。転機になったのは『3年A組-今から皆さんは、人質です-』(19年)の生徒役だという。

「年齢は皆さん上でしたが、同年代の俳優が一緒に教室で演じる中、それぞれの思いや情熱が強く表れる撮影現場で周りに圧倒されるばかりでした。皆さんとの意識の差を強く実感しましたし、私自身、役への付き合い方が浅いことを痛感しました。その後、舞台を経験する中で、役柄やセリフの背後にある思想に深く向き合うことの重要性を学びました。『なぜそのセリフを言ったの?』と細かく確認してくださる演出家の方に鍛えられて、深く気持ちと向き合うきっかけができ、意識が変わったと思います」

 舞台はドラマや映画とは違って、けいこ期間も長く、演出家や共演者と一つの作品を作り上げていく感覚が強いという。

「舞台は制作に携わる時間が長く、共に作り上げていく感覚が強いです。『SHELL』は、今までに出演した舞台とは異なる作風で、観客の方がどう見るかで物語が異なる角度から見られるようになっています。セットや小道具が抽象的で、観客のみなさんの新しい舞台体験になることを願っています」

 今年3月に20歳の誕生日を迎えたが、20代の目標は何か。

「最近では人見知りしなくなり、現場でのコミュニケーションを楽しめるようになりました。まだ、学生役が多いですが、将来的には経験していないような役柄にも挑戦していきたいです。見てくださる方が同じ女優だと気づかないほど、役に染まるお芝居ができるようになりたいです」と秋田。顔をテーマにした本作で、新たな一面を見せていく。

□秋田汐梨(あきた・しおり)2003年生まれ、京都府出身。2017年に女優デビュー。ドラマ『3年A組-今から皆さんは、人質です-』(19年)で連続ドラマ初出演を果たし、同年、映画『惡の華』で佐伯奈々子役を演じ話題に。その後もドラマ『ホームルーム』(20年)、『17.3 about a sex』(20年)、『賭ケグルイ双』(21年)、『トーキョー製麺所』(21年)、『彼女、お借りします』(22年)、映画『星空の向こうの国』(21年)、『映画刀剣乱舞―黎明-』(23年)、『リゾートバイト』(23年)などに出演。初舞台は『目頭を押さえた』(21年/作:横山卓也・演出:寺十吾)でW主演、その後も『幽霊はここにいる』(22年/作:安部公房・演出:稲葉賀恵)に出演。

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