SUGIZO激白「苦しんでいる人たちに手を差し伸べるべき」今年も難民キャンプ訪問

日本を代表するロックバンドLUNA SEA、X JAPANなどで世界規模に活躍するミュージシャンのSUGIZO(50)が、今年も難民キャンプでライヴを行う。28日から10月上旬にかけ、イラクとヨルダンの難民キャンプを訪問する。2016年3月にヨルダン、昨年10月にはパレスチナでライヴを行い、これが3回目の挑戦。難民専用バンド「ババガヌージュ」に加え、自身のソロプロジェクトでも音楽交流を促進させる。出発前、SUGIZOは何を思うのか、直撃した。

2016年にヨルダンを訪問【Photo by Kei Sato】
2016年にヨルダンを訪問【Photo by Kei Sato】

イラク、ヨルダンで音楽交流 大学で現地バンドと対バンも予定

日本を代表するロックバンドLUNA SEA、X JAPANなどで世界規模に活躍するミュージシャンのSUGIZO(50)が、今年も難民キャンプでライヴを行う。28日から10月上旬にかけ、イラクとヨルダンの難民キャンプを訪問する。2016年3月にヨルダン、昨年10月にはパレスチナでライヴを行い、これが3回目の挑戦。難民専用バンド「ババガヌージュ」に加え、自身のソロプロジェクトでも音楽交流を促進させる。出発前、SUGIZOは何を思うのか、直撃した。

――今回で3回目の難民キャンプ訪問になります。現地での予定を教えてください。

「イラクのエルビルで、ライヴが2本あって、1本は現地の『University of Kurdistan Hewler大学』で、もう1本は『ダラシャクラン難民キャンプ』でのライヴが決まっています。大学のほうでは実は現地のバンドと対バンなんですね。しかも、現地のクルド、アラブ、トルクメンなどの民族が交じっているスラッシュメタル・バンドなんです。すごく興味深い。向こうにスラッシュメタル・バンドがいるんだなと!その2本がイラクでは決まっていて、その後、ヨルダンに移動して以前も訪れた『ザータリ難民キャンプ』でまた演奏してくる予定です。ただ、ザータリ難民キャンプはすごく厳しいんですよね、手続きが。大人数は入れないのです。イラクのエルビルのほうではSUGIZOのソロプロジェクト『COSMIC DANCE QUARTET』でダンスでトランシーな編成なんですが、ザータリはアコースティックのみの少人数編成になります。向こうの子供たちに向けて『ババガヌージュ』というアコースティックユニットで演奏してきます。あとは現地を視察したり、都市難民の方を訪問したりする予定です」

――都市難民の方々とはどのような交流をされますか?

「前回、3年前のアンマンでは、市内でひっそり生活している多くの都市難民の方々の支援を目的として会いに行きました。今回は彼らと再会できたら嬉しいですね。イラクのエルビルはクルド人自治区なんです。クルド人の方々に会いに行きたい。ダラシャクラン難民キャンプはシリア難民の方々がそこで生活しているんですが、その多くはクルド系シリア難民になりますね」

――ババガヌージュとして活動されるのはヨルダンですか?

「両方です。イラクのほうはSUGIZOソロ『COSMIC DANCE QUINTET(C.D.Q.)』とババガヌージュが融合するアプローチです。自分の『C.D.Q.』のライヴの中で、後半にアコースティックシーンを設け、そこでババガヌージュのメンバーが合体するということを去年パレスチナで試してみて、すごくよかったのです」

――ババガヌージュのメンバーを教えてください。

「フォトジャーナリストの佐藤慧さんとJIM-NETの職員の斉藤亮平さんと僕の3人組です。亮平さんは近年はJIM-NETで働いていますが、もともとはヨルダンのザータリ難民キャンプで勤務して、そこで子供たちに音楽を教えていた人です」

ヴァイオリンで魅了した【Photo by Kei Sato】
ヴァイオリンで魅了した【Photo by Kei Sato】

「生の音楽を見る、聴く、浴びるということはほぼない」

――現地で音楽活動している方々とどんなコラボレーションを考えていますか?

「クルドのスラッシュバンドとセッションできたら面白いですよね。具体的にそこまで話がまとまってないですけど、そういうことは十分あり得ますね。去年のパレスチナでも現地のミュージシャンと一緒にセッションしてすごくよかったので。その時は民族音楽的なセッションだったのですが、今回は向こうのメタルバンドですからね。おそらくメタルの人達は僕らの中に即興で乗ってくれっていうわけにはいかないと思う。彼らの音楽に、僕が即興で激しいギターを弾くっていうことはできるでしょうね。もし彼らがガンガンにアドリブができるミュージシャンだったら、僕のダンスミュージックの中で一緒にジャムることができたら楽しいなと思うんですけど、まだ全然想像がつかないです(笑)」

――音楽交流を通じて現地の人々にどんなメッセージを伝えたいですか?

「毎回、実は具体的なメッセージは言うほどないんですよね。ただ一緒に、ただただハッピーに心を解き放つ時間を共有したい。特に難民キャンプは生活の中で不自由な点がとても多いし、規制もあり、そこから出ることも大変で、もちろん音楽やそれ以外のいわゆる趣味に時間を費やすことができるか?・・・いや、逆に時間があるのか、みんな。ただ、生の音楽を見る、聴く、浴びるということはほぼないので、そういう感動のヴァイブレーションを届けてあげたい。そこにはシリアスな精神性や政治的なメッセージが決してあるわけではなくて、ただただ心を解き放つ時間を設定してあげることができたら本望だ、という感覚です。こうやって取材をしていただくことによって、日本および僕のファンの方々に世界中に伝わるっていうのは今となってはすごく重要だと思っています。最初は全然そんな気はなかったので、ひっそりと活動していました。が、難民の方々、故郷を追われて苦しんでいる方々が世の中に7000万超えで存在している戦後最悪の現在、例えば我々は日本に住んでいたら、世界のそういう紛争地帯の苦しみなんて完全に他人事ですよね。対岸の火事。それを無視して、スルーして生きることは全然できるんですけど、知ってしまった僕はそれを見過ごすことができなくなってしまった。今、ちゃんとおウチがあって、仕事があって、家族があって、ご飯が食べれてっていう、いわゆる普通に恵まれた状況にある人たちは、みんなほんの少しでも、生きることに苦しんでいる人たちに手を差し伸べるべきだと僕は思います。月1000円でもいいし、お金じゃなくて、物でもいい。僕のように現地に足を運んで時間を共有するでもいい。先進国にいて、とりあえず紛争や貧困など自分の生存を脅かす何か問題があるわけではなく、生きていくことを許されている人たちは、僕の意識としては苦しんでいる人たちに手を差し伸べるべきだと思います」

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