「タツノコプロ創立60周年記念特別公演～Tatsunoko 60th Legends～」が10月1日、BS松竹東急でオンエアされる。このライブは今年1月9日に東京・青海のZepp DiverCity(TOKYO)で行われたもので、ささきいさお、堀江美都子、山本正之、影山ヒロノブ、朝川ひろこが出演し、数々のヒット曲で盛り上げた。アニソン界のレジェンド、堀江がタツノコプロ作品の魅力を語った。（取材・文＝平辻哲也）

『マッハGoGoGo』（1967年）、『ハクション大魔王』（69年）、『昆虫物語みなしごハッチ』（70年）、『いなかっぺ大将』（70年）、『科学忍者隊ガッチャマン』（72年）、『新造人間キャシャーン』（73年）、『タイムボカン』（75年）、『タイムボカンシリーズ ヤッターマン』（77年）、『一発貫太くん』（78年）など時や国を越え、世界で愛される数々のアニメを送り出してきたタツノコプロ。

　1962年に漫画家の吉田竜夫らが創業し、2022年10月19日に創立60周年を迎えた。21年10月から23年10月までを60周年イヤーと位置づけ、数々の企画やイベントを行っている。この記念ライブは数々の主題歌を手掛けたアーティストが総出演した。

　堀江は、タツノコプロ制作の『紅三四郎』（1969年）の主題歌でデビューした。タツノコプロ作品では『ハクション大魔王』の主題歌『アクビ娘』、『てんとう虫の歌』の主題歌『ぼくらきょうだい てんとう虫』などを歌っている。ライブでは、この３曲のほかに、『科学忍者隊ガッチャマンII』のエンディング曲『明日夢見て』ではささきと、『ヤッターマンの歌』では山本、ささき、影山、浅川と歌い上げている。

「デビュー当時からお世話になっているタツノコプロの記念ライブだったので、自分がデビュー当時に戻ったような気分で歌いました。他の出演者もレジェンドばかりで、その迫力をみなさんに感じてもらいたいです。自分が歌った曲はもちろん大好きですが、それ以前に子供の頃から『宇宙エース』（1965年）をずっと見ていました。その方が私的には思い出深いです」

　アニソンの歌手たちは仲がよく、「今回もその楽しい雰囲気がステージに出たと思います。久しぶりに会った感じもなく、一緒にステージを作り上げたと感じました」と堀江。

『タイムボカンシリーズ』などの演出を手掛けた笹川ひろし監督、『マッハGoGoGo』や『科学忍者隊ガッチャマン』の声優・森功至、吉田竜夫の長女でキャラクターデザイナーの吉田すずかが登壇したトークコーナーではMCも担当。

「笹川先生や吉田すずかさん、ガッチャマンチームの声優さんたちと懐かしい話をすることができました。タツノコプロの制作秘話も面白かったです。『いなかっぺ大将』の花ちゃんのモデルが笹川先生の初恋の相手だった、という話や、『ガッチャマン』の２号、コンドルのジョー役のささきいさおさんは、オーディションの時は１号（大鷲の健）役だと思っていた、という話など楽しいエピソードがたくさんありました」

　ズバリ、60年以上愛されてきたタツノコプロ作品の魅力とは何かと聞くと、「キャラクターがとてもキャッチーで親しみやすい点、そして作品自体がほのぼのしたものから面白いもの、人情物まで振り幅が広いです。そのバラエティに富んだ点が、長い間多くの人々に愛される秘訣だと思います。その楽曲もまた、長い間歌い続けられる魅力があります。これからも歌い続けていきたい」と話していた。

□堀江美都子（ほりえ・みつこ）3月8日生まれ、神奈川県大和市出身。1966年、フジテレビ『ちびっこのど自慢』に出場。 69年、テレビまんが『紅三四郎』の主題歌でアニメ歌手デビュー。2014年にはデビュー45周年を迎え上海、香港、ブラジルなど海外にも活躍の場を広げる。声優としても「世界名作劇場」シリーズ『愛少女ポリアンナ物語』のポリアンナ役、『私のあしながおじさん』のジュディ・アボット役をつとめた。また、堀江美都子シンガーズラボ(MSL)を主宰し、次世代に自身の経験から生まれた歌唱テクニック全般を指導。洗足学園音楽大学 声優アニメソングコース教授。19年、東京アニメアワードフェスティバル2019にて、功労部門受賞。特技：ゴルフ、スキー、バイオリン、ウィンドサーフィン。