タバコポイ捨てで魚が全滅、被害の水族館がクラファン実施 撤去していた野外水槽再開へ

今年6月、タバコのポイ捨てが原因で魚が全滅する被害に遭い、野外水槽の設置を取りやめていた京都花園教会水族館が、野外水槽再開のためのクラウドファンディングを行うことを明らかにした。

タバコのポイ捨ての被害に遭った野外水槽と一連の経緯を報告した看板【写真:京都花園教会水族館提供】
タバコのポイ捨ての被害に遭った野外水槽と一連の経緯を報告した看板【写真:京都花園教会水族館提供】

入場料は無料、年間200万円ほどに上る運営費を全て寄付に頼って運営

 今年6月、タバコのポイ捨てが原因で魚が全滅する被害に遭い、野外水槽の設置を取りやめていた京都花園教会水族館が、野外水槽再開のためのクラウドファンディングを行うことを明らかにした。

 京都花園教会水族館は2012年、京都の日本ナザレン教団花園教会の中に開園した。淡水魚を中心には虫類や両生類、甲殻類など190種500匹あまりを飼育・展示しており、展示の約6割がペットとして飼育されていたものの、様々な事情で飼育が困難となり引き取られた生き物たちだ。「経済的な事情から水族館に行けない子どもたちにも生き物の姿を見せてあげたい」との思いから、入場料は完全無料。これまで年間200万円ほどに上る運営費は全て寄付金でまかなってきた。

 そんな京都花園教会水族館を今年6月に悲劇が襲う。野外に設置していた水槽の魚が次々と死に絶え、水槽の中からはタバコの吸い殻が発見された。館長の篠澤俊一郎さんは「また同じことが起こり得る以上、生き物の命を危険にさらすことはできない」と10年以上にわたって続けてきた全ての野外展示を撤去するという苦渋の決断を下した。一連の経緯をSNSで報告すると、ネット上ではタバコのポイ捨てへの憤りの声と野外水槽の存続を望む声が相次いだ。

 その後、各方面から水槽の寄贈や支援の申し出が寄せられたことを受け、野外水槽再開に向け動き出した同館。一方で、二度と同じような悲劇が起こらないよう厳重な防犯対策を講じる必要があり、野外水槽の設置費用と運営費合わせて150万円ほどの資金が必要になるという。

「当館としましては、これらの一連の出来事により、野外水槽の再開には大きな意味と使命があると考えております」と篠澤さん。当面は今ある水族館の運営資金を充てて工事に着手、野外水槽設置後も継続的な運営ができるようクラウドファンディングを行うことを決めたという。

 返礼品には、絵本作家のなるかわしんご氏による書き下ろしグッズや、ゾウガメやワニといった同館のアンバサダーとなる動物たちに名づけをできる権利などを用意している。「当館では開館以来、生き物たちに名づけをしていません。これが初の名づけです」と篠澤さん。クラウドファンディングの期間は8月30日~10月28日までの2か月間で、花園教会水族館の公式ホームページ(https://kyotohanasui.com/yagai)から出資できる。

次のページへ (2/2) 【写真】新たに設置される野外水槽のイメージ図
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