日大アメフト部員薬物事件、不審物発見→警察に相談まで「空白の12日」 林真理子理事長「対応は適切だった」
日本大アメリカンフットボール部員の北畠成文容疑者(21)が覚醒剤と大麻を所持した疑いで逮捕された事件を受け、日大の林真理子理事長と酒井建夫学長、競技スポ―ツ部を主管する責任者の澤田康広副学長が8日、東京・九段南の日大本部で記者会見した。注目度が高く、会場には約200人の報道陣が集まった。
澤田康広副学長「まずは学生に反省をさせたいと」
日本大アメリカンフットボール部員の北畠成文容疑者(21)が覚醒剤と大麻を所持した疑いで逮捕された事件を受け、日大の林真理子理事長と酒井建夫学長、競技スポ―ツ部を主管する責任者の澤田康広副学長が8日、東京・九段南の日大本部で記者会見した。注目度が高く、会場には約200人の報道陣が集まった。
定刻の午後3時から1分後、林理事長と酒井学長らが登壇した。
冒頭、林理事長が神妙な表情で挨拶した。
その上で、今月2日、林理事長自身が報道陣を前に「違法な薬物が見つかったとか、そういうことは一切ございません」と否定し、大学も同様の見解を発表したことについて「言葉足らずでした」と謝罪した。
そして、「旧体制の勢力が残っていて、林理事長はお飾りだ」との一部報道について「とても残念です」との見解を述べた。
続いて酒井学長が問題の経緯を説明した。
6月30日 警察から「大麻を使用している可能性がある」と連絡。大学が調査も見つからず。
7月6日 警察から再度、「大麻使用の可能性がある」との連絡。持ち物検査の結果、所有者不明の不審物を発見
7月18日 警察に相談
7月19日 警察が不審物を鑑定
8月3日 学生寮が家宅捜索。捜索の後、不審物は違法な薬物であること判明
8月5日 北畠容疑者が警視庁に逮捕
その他、昨年10月29日のアメフト部保護者会開催後、保護者の方から「大麻を使用していないのか」と調査の依頼。翌30日に部員121人に聞き取り調査をしたところ、同11月下旬、部員の1人から「大麻と思われるとものを吸った」という自己申告があり、警察に相談したものの、「物的証拠がない」「事実の証明ができない」「学生には厳重注意」などと指導を受けたことなどを明かした。しかし、この状況は林理事長には報告されていなかった。
同事件を巡っては大学側が7月6日、北畠容疑者の部屋の施錠可能な収納ボックスから植物細片と錠剤が発見されていた。12日後の同18日に大学側から相談を受けた警視庁がこれらを押収し、鑑定の結果、覚醒剤と大麻と判明。今月3日、アメフト部の寮が家宅捜索された。植物細片などを大学側が発見してから、警視庁に相談するまであった「空白の12日」。これが問題視されているが、澤田副学長がこれを釈明した。
澤田副学長「私が(茶葉のような不審物を)発見した時に見た感じは、微量でカスのような感じでした。『大麻のカスかもしれない』と思いました。(覚せい剤の)錠剤については認識できませんでした。すぐに警察に鑑定依頼しなかったことは、まずは学生に反省をさせたいと思いましたが、本人が自首をできるような状況ではありませんでした。なので、私の責任で保管しました。7月で前期が終わる時期で、日中にヒアリングはできず、(大学として)調査を続けていたため、すぐに警察には相談できませんでした」
この対応について、報道陣から「適切だったと思いますか」と質問された林理事長は「はい。対応は適切でした」と言い切った。そして、昨年11月下旬に“自首”した学生が北畠容疑者だったか否かについては、澤田副学長は「捜査に関わることですので」と話すにとどめた。
日大は2018年に悪質タックルが社会問題化。21年には元理事長・田中英寿氏の背任事件が発覚して所得税法違反の罪で有罪判決が確定した。これらを受け、「新生日大」を掲げて昨年7月に就任したのが、著名作家の林理事長だった。今年7月11日に就任から1年が経過した記者会見では、「後始末に明け暮れた」と話した上で「大学再生に向けた進捗(しんちょく)状況を「6合目」と話していた。
しかし、この時期には浮上していた薬物問題。一部報道では、昨年、「寮で大麻を吸っている上級生のチームメートがいる」との告発文が大学、関東アメリカンフットボール連盟に送られていたという。大学側も調査したが、問題が表面化することはなかった。そして、今月に入って同問題が報じられると、今月2日、林理事長は報道陣を前に「違法な薬物が見つかったとか、そういうことは一切ございません」と否定し、大学側も同様の見解を発表していた。