石井ふく子さんの願い、コロナ禍で家族が一緒の今「心あるドラマが見たい」
TBS系ドラマ「渡る世間は鬼ばかり」のプロデューサーで知られる石井ふく子さん(93)。1961年にTBSに入社し、68年「肝っ玉かあさん」、70年には「ありがとう」、90年からは「渡る世間は―」を手掛けるなど、半世紀以上にわたり、数々の人気ドラマを作ってきた。これまで手がけてきた作品は、連続ドラマとスペシャルドラマを合わせると4000本を超える。コロナ禍にある今のテレビ界をどう感じているのか。電話でコロナ禍でのテレビに対する思いを語ってもらった。
電話で単独インタビュー、TBS系ドラマ「渡る世間は鬼ばかり」プロデューサー
TBS系ドラマ「渡る世間は鬼ばかり」のプロデューサーで知られる石井ふく子さん(93)。1961年にTBSに入社し、68年「肝っ玉かあさん」、70年には「ありがとう」、90年からは「渡る世間は―」を手掛けるなど、半世紀以上にわたり、数々の人気ドラマを作ってきた。これまで手がけてきた作品は、連続ドラマとスペシャルドラマを合わせると4000本を超える。コロナ禍にある今のテレビ界をどう感じているのか。電話でコロナ禍でのテレビに対する思いを語ってもらった。
自宅にこもっているという石井さんは「テレビをつけると同じようなことばっかりやっている気がしています。なので、昔、私が作った日曜劇場の録画映像とか見ています。もっと他にも財産的な作品があるはずですが」と切り出した。
「同じもの」とは具体的にどういうことか。テレビ各局も新しいドラマを放送できず、再放送的、総集編的な形で過去のドラマを放送するなど苦労している。
「たとえばスポーツのドラマとか全部、若い人向けですもの。やはり、ある程度の年代の方にも見せてあげたいと思うし、そういう作品もあるはずです。ちょっと偏っている気がしますね。どこのチャンネルに回しても似たような番組。芸人さんたちがやっているクイズ番組も多いですよね」
そこで、石井さんの希望を聞いてみると、「若者向けだけでなく、いろんな世代に向けて、もう少しバランスよく、バラエティーに富んだ形の方がいいと思います。そうあってほしいです」。
石井さんは9月に94歳になる。若者向けの番組が多いと感じるのは理解できるが、石井さんの中高年の知人からも「見たいものがない」との声が寄せられているという。では、具体的にどんなジャンルの作品、コロナ禍にふさわしいのか。
「みんなイライラしている時。家庭をもう1回見直してほしいです。心のあるドラマが見たいです」。さらに「今、家族が集まっている。いろんな家族がある。なのに、家族のおかしさ、笑せつなさを描いた作品の放送がほとんどないですから。サスペンスや医療、刑事ドラマだけでなく、泣いたり、笑ったりできるような何でもない人の、人間のドラマが見たいです」と続けた。外出自粛で、家に家族が一緒にいる今こそ家族を描くドラマを放送するべきとした。