eスポーツが描く日本の未来像とは…日本eスポーツ連合・浜村弘一副会長に聞く
世界的に人気が広がるeスポーツ。日本では昨年1月に「一般社団法人日本eスポーツ連合(JeSU)」が設立、大会やイベントが活発になり、「eスポーツ元年」と呼ばれた。今年に入っても盛り上がりは続き、来月開催の第74回国民体育大会「いきいき茨城ゆめ国体」では、「茨城国体文化プログラム 全国都道府県対抗eスポーツ選手権2019 IBARAKI」として実施される。ゲーム大国でありながらeスポーツにおいては“後進国"の日本でどのように普及させ、未来像を描くのか。日本eスポーツ連合の浜村弘一副会長に聞いた。
「まだまだ伸びしろがある」 ゲーム大国でありながらeスポーツ“後進国"の日本でどう普及
世界的に人気が広がるeスポーツ。日本では昨年1月に「一般社団法人日本eスポーツ連合(JeSU)」が設立、大会やイベントが活発になり、「eスポーツ元年」と呼ばれた。今年に入っても盛り上がりは続き、来月開催の第74回国民体育大会「いきいき茨城ゆめ国体」では、「茨城国体文化プログラム 全国都道府県対抗eスポーツ選手権2019 IBARAKI」として実施される。ゲーム大国でありながらeスポーツでは“後進国”の日本でどのように普及させ、未来像を描くのか。日本eスポーツ連合の浜村弘一副会長に聞いた。
――eスポーツの普及や認知度の現状をどう見ていますか。
「われわれだけの功績ではないですが、いろいろな方が力を貸してくれて、いろいろなところで独自にeスポーツにチャレンジしてくれる方がたくさん出てきてくれたおかげで、大きく盛り上がったと思います。とはいえ、日本のeスポーツは、他国と比べるとずいぶん遅れていました。まだまだ伸びしろがあります。まずは火が付いてきたなという印象です」
――昨夏に行われたジャカルタ・アジア大会では、公開競技として行われた「ウイニングイレブン 2018」で日本代表チームが金メダルを獲得しました。eスポーツが五輪で正式種目に入る可能性をめぐる話題も上がっています。
「金メダルを取ったことは大きい。eスポーツの国際大会で日の丸をあげるというのは、eスポーツの世界だけではなく、eスポーツを知らなかった人たちの間でもすごく話題になったと思います。自分の好きな個別のゲームIP(知的財産)の大会を見ている人がいますが、今回はそうではない人たちに対してeスポーツの普及の意味で、すごく効果があったと思います。それに、五輪の話題もメディア露出が多いです。認知度が上がったと思っています」
――今回の茨城国体文化プログラムでeスポーツが開催されるのもポイントになるのではないでしょうか。
「これまでは、地域のeスポーツのコミュニティーがいっぱいあって、その人たちが独自に大会を開いてきました。今回は全国規模の大会があって、そこに都道府県の代表として参加できる。国体文化プログラムの開催によって、目指すところができてきたな、という感覚です。結果的にコミュニティーの活性化につながりました。2017年には各都道府県の名前が付いたeスポーツの協会は14ぐらいしかなかったのですけど、いま数えると60を超えている。それだけ地方におけるeスポーツの活性化が進んだということです。これは国体による影響が大きいです」
――日本eスポーツ連合は、選手への公認プロライセンスの発行を行っています。
「ライセンスを取得した選手は、日本eスポーツ連合のHPで一覧表に載ります。誰でも見ることができます。保証があるということです。選手にとって力の保証、スキルの証明になります」
――そもそも、eスポーツの競技人口や選手数はどのぐらいなのでしょうか。
「競技数が多いので、数字が見つけにくい部分はあります。競技人口に関してひとつの尺度があるとすれば、eスポーツの視聴者数です。これを基にした調査では、2019年は世界で2億100万人と言われています。日本eスポーツ連合としてプロ認定している選手は約130人です」
――ゲームについてはライセンスの認定タイトルを選定しています。現在は格闘やパズル、対戦型など12タイトルがあります。認定基準はどのようなものでしょうか。
「ある意味の立候補制なんですよ。プロライセンスを発行したい、認定タイトルにしてほしいという立候補があったものに対して、われわれで競技性があるかどうかや、コミュニティーの大きさについて調べて、そのうえで認定をしています」
――認定タイトルの数は今後増えていくのでしょうか。
「これからも増えます。eスポーツ全体の盛り上げにつながると思います。そのうえで、タイトルを採用する大会については、ただ単純にぽんとやるのではなくて、定期的に大会をやっていくことが大きなポイントになると考えています」
――北は北海道、南は大分まで全国に10支部を設置しています。
「行政が、eスポーツを活用して地元の村おこし町おこしに力を入れているということを聞いております。日本eスポーツ連合としてお手伝いできるところは協力しています。むしろ積極的にやってもらっていて、ありがたいです。僕らだけで何かができるとは思っていませんので、いろいろな方のお力を借りるうえで、行政というのはすごくパワフルですから。来年1月に東京eスポーツフェスタ(主催は東京都などで構成する東京eスポーツフェスタ実行委員会)が開催されます。eスポーツ市場を盛り上げてくれる、すごくありがたい話だと思っています」