黄色のランエボ、オーナーは60代の母 親子2代で魅了された走り 運転は「母にはかなわない」
埼玉の男性ひろーみさんの愛車は1995年式のランサー GSRエボリューションIIIだ。ボディーカラーの黄色が目を引くが、実はオーナーは男性の母。「実際にこの車が家に来たのは僕が小学校5年生のときです」というストーリーのある1台だった。新車で購入し、親子2代、計28年間にわたり乗り続ける“ランエボ愛”に迫った。
「マフラーさえ替えていない」 貴重過ぎるノーマルの「エボIII」
埼玉の男性ひろーみさんの愛車は1995年式のランサー GSRエボリューションIIIだ。ボディーカラーの黄色が目を引くが、実はオーナーは男性の母。「実際にこの車が家に来たのは僕が小学校5年生のときです」というストーリーのある1台だった。新車で購入し、親子2代、計28年間にわたり乗り続ける“ランエボ愛”に迫った。
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「オーナーは自分の両親です。正式には母親の車です」。ひろーみさんは愛車を前に屈託のない笑みを見せる。
母はどのような気持ちでこの車を購入したのか。
「もともとランサーという車が好きで、一番最初に父と母が乗っていたのは175Aランサー。そのランサーを手放して、しばらくたった後、エボIIIまで待って買いました。母も父も運転するのが好きですね」
新車価格は約300万円。男性がハンドルを握ったのは免許取得後の19歳のときで、かれこれ20年乗っているが、名義変更はしていない。
「まだ母の名前になっています。そこはあえて、していないですね」と、どこか誇らしげだ。
母同様、男性も車の性能に魅了された。
「乗っていて楽しいです。一番はそれですね。いくら乗っていても自分は飽きない。パワー感とか軽快さ。車もそんなに大きくないですし、反応がいい。アクセルの効きもそうだし、ブレーキのフィーリングもいいし、ハンドルを切ったときのコーナリングも反応がいい」
三菱純正のリアウイング(スポイラー)が特徴的で、ドライバーに技術を求める印象もある。
「スポーツカーとか競技者向けの車っていうのは、小さいころからずっと親しんでいたので、エボが来てうれしかった思い出しかないですね」と振り返る一方で、若き日の母に「乗りこなすのは大変だったかもしれないです」と、思いをはせた。
ただ、母の運転技術は「うまいと言えば、うまいと思います。街乗りしていても特に不安がない。隣に乗っていても、『ぶっかりそう』とか、『駐車して大丈夫か』という感じもない。運転に関しては尊敬しますね」。すでに60代になっているが、「母にはかなわないです」と言うほど。「不安感がないというのは、自分にはないかもしれないです」と、母の背中を目標にしている。
旧車の価値が高騰し、エボIIIも貴重な1台となっている。
「今もしこれが壊れて買い直そうと思ったら、ちょっとおいそれと買える値段ではないですよね。高く出しているところは300万くらい、普通に走れるコンディションで200万台くらいじゃないですかね」
しかも、エンジンのオーバーホールを除き、ノーマルという仕様だ。マフラーさえ替えていない。
「いじられてしまっている車がほとんどの中で、たぶんノーマルはこれぐらいじゃないですか」と胸を張る。可能な限り、乗り続けるため、日ごろはほとんど温存状態。男性が乗らないときに、たまに母や父が乗る程度だという。
車の未来について、母の思いを聞いたことがある。「もう変な話、『絶対手放せないよね』って言ってます。自分もいくら乗っても足らないですよね」。何年たっても変わらぬ車への愛は、息子として継承。いつまでも乗り続けていくことを誓う。
「まだまだ維持もしたいし、直してきれいにしたいなっていうところもあるので、直すのも楽しみながら走っていきたい」と、結んだ。