Netflix「全裸監督」の総監督に聞く…日本映画界のプロデューサー“不在”問題
映画界では長らく「プロデューサーの不在」が指摘されてきた。もちろん、面白い作品も生まれているので、絶対数が不足しているのだろう。「第44回湯布院映画祭」では「百円の恋」(2014/武正晴監督)のプロデューサーを務めた佐藤現氏、「火口のふたり」(公開中/荒井晴彦監督)のプロデューサーを務めた森重晃氏の特集が組まれた。「百円の恋」の武監督はNetflixオリジナルドラマ「全裸監督」の総監督も務めている。シンポジウムに登壇した佐藤氏と武監督の言葉から、プロデューサーの仕事や現状を追ってみた。
映画界では長らく「プロデューサーの不在」が指摘されてきた。もちろん、面白い作品も生まれているので、絶対数が不足しているのだろう。「第44回湯布院映画祭」では「百円の恋」(2014/武正晴監督)のプロデューサーを務めた佐藤現氏、「火口のふたり」(公開中/荒井晴彦監督)のプロデューサーを務めた森重晃氏の特集が組まれた。「百円の恋」の武監督はNetflixオリジナルドラマ「全裸監督」の総監督も務めている。シンポジウムに登壇した佐藤氏と武監督の言葉から、プロデューサーの仕事や現状を追ってみた。
プロデューサー特集のトップバッターは、東映ビデオの佐藤氏だった。向井理主演の「僕たちは世界を変えることができない。」(2011/深作健太監督)、安藤サクラ主演の「百年の恋」、窪田正孝主演の「犬猿」(2018/吉田恵輔監督)の3本が上映された。佐藤氏は1971年、大阪府出身豊中市出身の48歳。94年に東映ビデオに入社し、「ノン子36歳(家事手伝い)」(2008/熊切和嘉監督)、「ふがいない僕は空を見た」(2012/タナダユキ監督)など低予算ながら作家性の強い良質な作品を多数送り出してきた。
そもそもプロデューサーとはどんな仕事なのか。「脚本、監督と本を作り、キャスティングを進め、映画を作る。製作費を回収するミッションもあります」と佐藤氏。その成り立ちは1本1本異なる。武監督による「百円の恋」は「周南『絆』映画祭」で「第1回松田優作賞」グランプリを受賞した足立紳氏による脚本の映画化。百円ショップに勤務するひきこもりのフリーターがボクサーを目指すという物語だ。スマッシュヒットとなり、日本アカデミー賞、最優秀主演女優賞、最優秀脚本賞(足立紳氏)など多数の賞にも輝いた。その後、武監督、足立の両氏は大活躍を見せ、武氏は今、話題のNetflixオリジナルドラマ「全裸監督」の総監督も手掛けている。
今でこそ「百円の恋」は成功作と言えるが、当時は誰もが映画化を待ち望んだ作品ではなかった。「評価も(興行収入の)結果も素晴らしいものになりました。しかし、予算とやっていることが合っていなかった」と佐藤氏は語る。