GT-R、衝撃の極上品 高騰化なのになぜ購入?「海外に持っていかれるのは嫌だなと」

世界の中古車市場で高騰化が著しい「日産スカイラインGT-R」。その中で“失敗作”と呼ばれることもある車種を、なぜ今買ったのか? R33型を手に入れたばかりの男性オーナーに直撃した。

悩み抜いた末に手に入れたR33型スカイラインGT-R【写真:ENCOUNT編集部】
悩み抜いた末に手に入れたR33型スカイラインGT-R【写真:ENCOUNT編集部】

4代目シーマを下取りに R34は「恐ろしいことになっていますよね」

 世界の中古車市場で高騰化が著しい「日産スカイラインGT-R」。その中で“失敗作”と呼ばれることもある車種を、なぜ今買ったのか? R33型を手に入れたばかりの男性オーナーに直撃した。

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 スカイラインGT-Rシリーズは、国産スポーツカーの旧車ブームも相まって、世界的な注目株になっている。ハリウッド映画『ワイルド・スピード』シリーズのヒットなどの影響で、海外の愛好家がGT-Rに熱視線を送るようになった。

 そんな“爆上がり”のさなかに、驚くべき行動だ。今年に入って購入した男性オーナーは「悩みましたが、思い切りました。高騰しているのになんでこの時期に買うの? と自分自身に言い聞かせました。でも、このままいったらもっと上がるかもしれないし、旧車ブームが終わるかもしれない。いろいろ考えた中で、『1度だけの人生、いつかは、1度はGT-Rに乗りたい』。この気持ちが上回りました」。人生で初めてのGT-R。悩んだ末の決断だった。

 決め手は、その極上とも言える状態のよさだった。購入金額は明かさなかったが、「25年たっている車なのですが、ワンオーナーで4万キロぐらいしか走っていない。毎年、日産プリンスで整備されていて、前のオーナーさんが本当に大事に取り扱っていたものなんです。GT-Rはよくいじってあるものが多いのですが、これはフルノーマル。きれいな状態で、ヘッドライトもくすんでない。本当にそのままなんですよ」。前のオーナーが心血を注いだ情熱に、心を動かされた。

 一方で、R33型は、ファンの間でも評価が分かれるタイプだ。「R33は第2世代の失敗作とか不人気とか言われますが、個人的に嫌いじゃないです」ときっぱり。

 GT-Rを探していたが、距離を走っていないものは高値だったり、そもそも改造されているものも多く、「やっぱりダメかな」と諦めかけた。中古車販売店に違うタイプの車を見に行ったところ、店頭に出す前のこの極上品を見せてもらった。ワンオーナーが大事にしていたという説明を受け、「これは買うしかない」と心を決めた。

 もともと日産車の愛好家で、「54スカイラインは5年ぐらい前に買って乗っているんです。4代目シーマも持っていたのですが、車検のタイミングになって、一部故障も出てきていて、それだったら、思い切ってGT-Rを、と」。夢の実現のために、シーマを下取りに出した。

 GT-Rシリーズは海外市場でとりわけ人気が高く、億単位の高値が付くとも言われている。オーナーとして、正直なところどう思っているのか。「日本の車がこれだけ世界で通用する、評価されることについてはうれしい思いもあります。高騰化で言うと、特にR34は手が届かない値段になっています。恐ろしいことになっていますよね。ただ、このR33のケースで考えると、フルノーマルで残されているこれだけのものが海外に持っていかれるのは嫌だなという気持ちもあります」。“海外流出”に感じる心苦しさ。複雑な心境を明かす。

 一生に一度の夢を買う、人生の宝物となった。「今回、R33を買うにあたり、10年前は全然安かったのに、今これだけの金額に上がってしまっていることで、自分がバカじゃないかなと思うぐらいに悩みました。でも、何度も言いますが、前のオーナーの気持ちをくみ取って、自分が大切に残しておきたい、そう強く思ったんです。だから大事に乗っていきたいです」と語った。

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