引く手あまたの1台は譲らない…元トラック運転手、“20代でやり残したこと”実現 カスタムは唯一無二
仕事に追われた20代の頃にやり残したこと。40歳を過ぎた今、国産スポーツカーで、青春を謳歌(おうか)している。独自色あふれるボンネットのエアロが印象的な、トヨタGR86。元トラック運転手の飽くなき“クルマ愛”とは。
西部警察の「あの赤のスカイラインに憧れたんです」 愛車GR86はGTウイングを制作中
仕事に追われた20代の頃にやり残したこと。40歳を過ぎた今、国産スポーツカーで、青春を謳歌(おうか)している。独自色あふれるボンネットのエアロが印象的な、トヨタGR86。元トラック運転手の飽くなき“クルマ愛”とは。(取材・文=吉原知也)
25歳人気女優のクルマ愛…免許はマニュアル取得、愛車はSUV(JAF Mate Onlineへ)
黒をベースに金色が波打つような、何とも言えない輝き。真っ赤な車体と相まって、独特なオーラを放っている。「このエアロは昨年末に取り付けました、知り合いのところがオリジナルで制作した試作品なんです。クラッシュカーボンという貼り付け方だと聞きました。ボンネットとオーバーフェンダー、リア部分にも付けています。いとこの子どもからは、『汚れていて、傷付いているようにしか見えない』なんて、言われちゃってますが(笑)」。独自カスタムを加えた自慢のGR86愛車。しかも、GTウイングを制作中という。
今年で43歳になる男性オーナーは、幼少期、テレビドラマ『西部警察』を見て、「あの赤のスカイラインに憧れたんです」。最初に買ったマイカーはスカイラインで、「R-32のタイプM」。その後はワンボックスカーに乗った時期も。「日産セレナや、トヨタ・マークXジオにも乗りました。ちなみに、ハリアーを買おうと思って行ったら、マークXジオが置いてあって、店の人から『売れてないんですよ』と聞いて、買いました(笑)。人と違う車に乗りたかったんです」。
直近は、コンパクトSUVのトヨタC-HR。ハイブリッド車に乗ってみたかったといい、燃費のよさも気に入っていた。5年乗った。
現在の愛車との出合いとは。「86(新型GR86)がまた出るよ、と聞いて、マニュアル車は恐らく最後かなと思い、なくなる前に乗っておこうかなと。1回は乗っておきたいなと。それで、GR86を買ったんです」。発売となった2021年の11月に注文し、翌22年3月に納車。「4か月待ちでしたが、納車は早い方だったみたいです」と話す。
40代を迎えるタイミングで、スポーツカー購入に駆り立てたものは何か。それは「20代の頃は全然走れなかった」という悔しさだという。「20代は神奈川・ヤビツ峠に通っていたのですが、もっと行きたかったですね。4トントラックの運転手だったこともあり、仕事柄、あまり思い切り走れなかったんです。お金の余裕もなく、車もそんなにいじれず……」。車遊びはほどほどに抑えていた。その分、“走り”への欲求がうずいた。
20代でトラックを降り、現在は事務職として働いている。GR86を存分に満喫。「マニュアルで自分で操作している、その感覚を実感できるので、やっぱり楽しいですね。今のクルマは、昔のマニュアルに比べても楽ですし、パワーもあって気に入っています」。思い出のヤビツ峠にも足を運んでおり、「他によく行くのは、宮ヶ瀬ですね。先日は、名古屋のGR Garageまで行ってきました」。ドライブ生活は充実している。
福岡まで1日1000キロ走破の強行日程をこなしたことも
若い頃はまだSNSが普及していない時代。地元の仲間と遊ぶぐらいだったが、現在は、車を通した交友が広がっている。C-HR時代、オフ会にたくさん出て、福岡まで1日1000キロ走破の強行日程をこなしたことも。GR86でも、イベントに顔を出している。そんな今が楽しくてたまらない。
技術革新が進む中でも、スポーツカーへのこだわりを持ち続ける覚悟だ。「もしマニュアル車がなくなった後も、持ち続けられるのであれば、このクルマは持ち続けておきたいです。ガソリン車がなくなったとしても、スポーツカーに乗れるのであれば、電気自動車(EV)のスポーツタイプが発売されれば、乗っていたいですね」。
ちなみに、愛車GR86は“引く手あまた”だという。「うちの弟だったり、知り合いだったり、これを狙っている人はいっぱいいて、よく『飽きたら、ちょうだい』と言われています。マニュアル車に乗りたい人がいるのは分かりますが、『飽きたらね』と答えています。まあ、飽きることはないでしょうね。乗れる限りは乗りたいです」。情熱を込めた1台は、絶対に譲らない。