舞台『ONE PIECE』初代ルフィ務めた永田崇人、運命変えたカメラマンとの偶然の出会い

トニー賞10冠の傑作の日本版『バンズ・ヴィジット』(演出・森新太郎、2月7日~23日まで、日生劇場)に出演するのが、俳優の永田崇人(29)だ。同ミュージカルは迷子になったエジプト音楽隊の物語。芸歴8年目の永田が、“迷子”だった時とは?

『バンズ・ヴィジット』をアピールする永田崇人【写真:ENCOUNT編集部】
『バンズ・ヴィジット』をアピールする永田崇人【写真:ENCOUNT編集部】

芸歴7年目の永田崇人が人生に迷った時とは

トニー賞10冠の傑作の日本版『バンズ・ヴィジット』(演出・森新太郎、2月7日~23日まで、日生劇場)に出演するのが、俳優の永田崇人(29)だ。同ミュージカルは迷子になったエジプト音楽隊の物語。芸歴8年目の永田が、“迷子”だった時とは?

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 風間杜夫が主演するこのミュージカルは07年に公開された映画『迷子の音楽隊』を原作に、ミュージカル『ペテン師と詐欺師』の作曲家デヴィッド・ヤズベックが作曲と作詞を手掛け、2018年のトニー賞で10部門を独占した話題作。かつての敵国イスラエルで迷子になったエジプトの音楽隊と現地の人々の思いがけない交友を描くもので、永田は恋愛に奥手なイスラエルの青年パピを演じた。

「出会うはずじゃない人たちに出会うことによって、考え方が変わって、歯車が動き、1ミリでも前に進めたり、世界は広くて、自分たちが考えていることはちっぽけなんだなと感じられる作品です。ミュージカルはそんなにたくさんやっているとは思っていなかったのですが、オファーをいただけてうれしかったです。映画も大好きな作品でした」と振り返る。

 パピは女性恐怖症の青年。好きな女性を前に何も言い出せないでいるが、音楽隊の面々と出会うことに心境に変化を見せていく。

「僕は、基本的にどんな役も自分に近いとは思っていないんですね。でも、自分に近ければ近いほど、よくわからなかったりします。自分って、意外と認識できてないものだと思います。ミュージカル版のパピは映画よりもアップデートされていて、映画ほど暗い感じはないかなという印象ですが、あまり堅苦しく考えず、1か月の稽古で役を探している感じです。脚本は面白いし、音楽も素敵。ブロードウェイ版とはまた全然違う作品になっていると思います」と胸を張る。

 福岡県出身の永田は熊本県内の大学工学部に進学。3年の時に親の反対を押し切り、俳優を志し、芸歴は8年目。

「理系の仕事を何かしようかなと進学したんですよ。でも、漠然とした気持ちで大学へ入ったので、そんな感じでいいのかなとふと疑問に思い始めたんですね。自分が好きなことを勉強して、それが仕事になるなら、楽しかったかもしれなかったけど、正直まったく興味が持てなかったんです。だったら、もっと楽しいことはないかなと模索していたところ、たまたま出演することになった熊本のタウン情報雑誌のカメラマンさんから『俳優をやってみたら』と言われて、面白そうだな、と。親からは反対されて、『心配で腸に穴が空きそう』とか言われましたが、今では応援してくれています」

 そのカメラマンとは親しい知り合いではなく、このミュージカル同様、偶然の出会いだった。それが永田の運命を大きく変えた。東京ではワタナベエンターテインメントカレッジで学び、15年には舞台「ONE PIECE LIVE ATTRACTION」で俳優デビュー。初代ルフィ役を1年間務め、以降、舞台を中心にドラマや映画など幅広く活躍している。

「『ONE PIECE』は300公演くらい、毎日、お客さんがいる前でパフォーマンスできたのはありがたい経験でした。舞台も映像も好きですが、特に舞台は1か月間、稽古するので、ステップアップには重要だと思っています。コロナ禍もありましたが、ルールが決められた範囲内でなんとか楽しもうとするポジティブさがあるので、気持ちが落ち込むことはなかったです。マスクをつけながらの稽古はちょっとストレスかなと思いましたが、実は照れ屋で恥ずかしがり屋なんで、マスクがあってよかったかな」と前向きに捉えている。

 最近では、ディズニープラス スター ドラマ「ガンニバル」、MBS系ドラマ「あなたは私におとされたい」、映画「向田理髪店」など映像作品にも出演。昨年は重要な1年にもなったという。

「ワークショップを受けたのが大きかったです。僕は精神的にそんなに強い人間じゃないんですけど、そこで自分と向き合って、自分があんまり強くない人間だということを恥ずかしいと思わなくなった。それから心がちょっと強くなった気がしますし、自分のことが好きになりました」。

 このミュージカルは迷子になった音楽隊の物語だが、「人生は迷子だ」と思っている。

「結果がわかっていたら楽しくない。より良い自分になること、未来を想像することが生きがいだったりするじゃないですか。だから、迷子万歳じゃないですか」。本公演でも、迷いながら、正解を導き出していくつもりだ。「舞台は毎日、変わっていくもので、何度もみていただければうれしいです」とアピールした。

□永田崇人(ながた・たかと)1993年8月27日生まれ。福岡県出身。東京ワンピースタワー『ONE PIECE LIVE ATTRACTION “Welcome toTONGARI Mystery Tour”』で俳優デビュー。 その後、ハイパープロジェクション演劇『ハイキュー !!』など舞台で活躍しながら、ドラマ、映画にも出演。近年の主な代表作は、ドラマ『部長と社畜の恋はもどかしい』(22年/テレビ東京系)、『シェアするラ!インスタントラーメンアレンジ部はじめました。』(22年/BS-TBS)、「カラフラブル~ジェンダーレス男子に愛されています。」(21/ 読売テレビ)、映画「向田理髪店」(22)など。趣味サッカー。ソフトバンクホークスファン。

ヘアメイク:松村南奈
スタイリスト:東 正晃

次のページへ (2/2) 【写真】永田崇人のアザーカット
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