「ゴミのように売られていたのに…」中古で30万円の愛車がお宝マシンに スープラ“不人気モデル”の今
70スープラと言えば、いまだに根強い人気を誇るトヨタのスポーツカーだ。最近では高市早苗氏の愛車(JZA70型)がフルレストアにより復活し、話題となった。一方で、同じ70スープラでも、それほど注目を浴びないモデルもある。埼玉県の安国耕士さんのスープラ(GA70型)は1987年式の前期型で、人気が集中した後期型とは異なる。「70スープラと呼ばれる中では、圧倒的に不人気なモデル」というが、保有しているうちに、どんどん貴重な車に……。「半分惰性で乗っています」となかなか手放せずにいる。
「70スープラと呼ばれる中では、圧倒的に不人気なモデル」
70スープラと言えば、いまだに根強い人気を誇るトヨタのスポーツカーだ。最近では高市早苗氏の愛車(JZA70型)がフルレストアにより復活し、話題となった。一方で、同じ70スープラでも、それほど注目を浴びないモデルもある。埼玉県の安国耕士さんのスープラ(GA70型)は1987年式の前期型で、人気が集中した後期型とは異なる。「70スープラと呼ばれる中では、圧倒的に不人気なモデル」というが、保有しているうちに、どんどん貴重な車に……。「半分惰性で乗っています」となかなか手放せずにいる。(取材・文=水沼一夫)
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安国さんが愛車を手に入れたのは、1995年ごろだ。購入金額が中古で30万円ほどだった。
「この頃はこいつがもうゴミのように売られていましたから。草ヒロ(野ざらしで放置された車)一歩手前ぐらいまで、いっぱい売っていました」
購入したのは越谷の中古車店だった。そこでも衝撃的な光景が広がっていた。
「まずそこの中古車屋さんがアスファルトの上じゃないんですよ。ただの空き地みたいなところに簡易のプレハブですよね。そういう中古車屋さんで、草ぼうぼうでちょっと砂利が敷いてあるぐらいの場所に、同じ車種がずらっと並んでいました。そういう時代の車です」
無造作に置かれた中からの1台だったが、安国さんにとっては当時、憧れた車だった。
「学生の頃から欲しかったですね。形的にこれか、その時出ていたリトラのZ(フェアレディZ)、そのどっちかがいいかなぐらいの感じでした」
フロント部分が長いアメリカンスポーツカーのような形がお気に入り。
「直6のエンジンが載っているので鼻が長いじゃないですか。鼻の長い車って、ちょっとアメリカンぽい感じがするじゃないですか。そこですね。最近の車ってキュってなっている。キャビンの位置が少し前になっている車が多いから、それよりは少し昔のアメリカンテイストの車が欲しかったなというのありますよね」
鼻が長いと運転もしづらくなるが、「そこはもう気にならなかったですね」と意に介さなかった。
「どっちかというと、純粋なスポーツカーじゃないですね。ソアラと同じで、バブル車です。こんな図体なのに1.5トンあるんですよ。1.5トンあってもエンジンが2000ですから、正直重たい。私は走り屋的な運転をする感じじゃなかったので、これでゆったりいこうぜみたいな感じで買いました」
一般的に70スープラと言えば、86年から93年までの6年間生産され、主流は90年代以降に発売された後期型を指す。
前期が排気量2000ccのツインターボ、ナローボディーに対し、後期は2500ccのツインターボ、ワイドボディーと仕様が異なっている。
「今は価格も上がっているかもしれないですけど、正直こいつは70の中でも不人気車だったんですよ。なんと言っても2000ccですし、70のスープラというと基本的にワイドボディーを指すんですけど、長ボディーといってちょっと細いんですよ。なのであんまり人気はなかったです」
自動車保険の契約で驚きの結果 「自分の車が出てこない」
それでも乗り続けて25年になる。
「半分惰性で乗ってます。こだわりですか? ……周りがあんま乗ってないからいっかみたいな感じなんですよ。それも最近になっての話ですよね。途中ほとんど乗らずに倉庫に置いておいた期間があったので、なんかいつの間にかあれ珍しい車になっちゃったぞ!? みたいな感じで今乗っています」
希少性を裏付ける証拠もある。
「この前こいつで保険を新しく取ろうとしたんですよ。アクサダイレクトなので結構有名な方だと思うんですけど、そこでこの形式の登録はこの1台だけだって言われました。アクサさんと契約してるGA70の車両はこいつだけなんです。だからネットで選択できないんですよ。自分の車が出てこない。ちょっと想像でしかないですけど、車の保険屋さんで1台ということは、ほとんどないだろうなと思います」
実際に公道で見かけるのは後期型ばかり。「この前期型に乗っている人はほとんど会わないです」という。
購入当時からカスタムもほとんどしていない。
「色も塗り替えていませんし、ほぼほぼ当時のまんまですね。元から純正ホイールは付いていませんでしたけど」
あくまでもマイペースに保有しているうちに、手放すにも手放せない状況となっていたというわけだ。
胸中は複雑だが、数少ないオーナーの1人として、最低限の動態保存を心がけている。
「2週に1回ぐらいちょっと長く乗って、壊れない程度に乗ってみたいなそんな感じで維持しています。普通に買い物行くときは別の車を使っています」。クラシックカーのイベントに車両を展示することもあるが、「1年に1回くらいですね」と、ゲストにとっても出会えたらラッキーな車だ。
今後も不透明だが、しばらく持ち続ける。
「このお車はまだ一応持ってようかなと思います。普段乗っていない分、あんまり苦でもないし。ただ、動かなくなったら部品が出ない。完全に不動車になっちゃったら、さすがに他の車に変えなきゃなんないですからね。そうでなければ乗ってこうかなと」と安国さんは話した。