初デートでファミレス“ありなし論争”終止符は? 実は女性の方が寛容傾向…専門家が分析

「初デートでファミレスはありかなしか」――。SNSでたびたび論争を呼ぶテーマについて、興味深い調査結果が示された。「ホットペッパーグルメ外食総研」が初デートに関する20代~60代の男女1035人を対象としたアンケート調査を取りまとめたところ、全体で58.6%が「あり」で、男女別では男性が53.8%に対して女性が63.3%。女性の方がファミレス初デートの容認派が多いことが判明した。専門家からは、日本の外食文化の変化やファミレスの定着といった要素が影響しているとの見方も。同総研の上席研究員を務める有木真理氏に分析と考察を聞いた。

ファミレス初デートの賛否は“永遠のテーマ”でもある(写真はイメージ)【写真:写真AC】
ファミレス初デートの賛否は“永遠のテーマ”でもある(写真はイメージ)【写真:写真AC】

年間外食300回以上 「ホットペッパーグルメ外食総研」有木真理氏が解説

「初デートでファミレスはありかなしか」――。SNSでたびたび論争を呼ぶテーマについて、興味深い調査結果が示された。「ホットペッパーグルメ外食総研」が初デートに関する20代~60代の男女1035人を対象としたアンケート調査を取りまとめたところ、全体で58.6%が「あり」で、男女別では男性が53.8%に対して女性が63.3%。女性の方がファミレス初デートの容認派が多いことが判明した。専門家からは、日本の外食文化の変化やファミレスの定着といった要素が影響しているとの見方も。同総研の上席研究員を務める有木真理氏に分析と考察を聞いた。

 ネット上では常に賛否が渦巻くテーマだ。「私は圧倒的になし。安易にファミレスでいいや、なら私はその程度なのかって思う」「確かに若い時は見栄を張っていいところ行こうとしてたなぁ ただ、結局は相手が自分でちゃんとした人を選んでるならどこ行こうと関係ない…」「はじめましての人との初デートでファミレスは、完全な顔合わせ的な状況ならあり」「婚活での初デートがファミレスならなしだけど、普通に恋愛した初デートならファミレスでもあり」などの多様な意見が飛び交う。

 今回の調査結果で、初デートにファミレス「あり」の回答者について性年代別の割合を見ると、女性50代が「69.9%」で最多となり、女性30代が「68.8%」と続く。女性は20~50代でいずれも60%超え。男性は50代が「58.0%」で最多だった。一方で、男性60代は「48.0%」、女性60代は「55.0%」だった。また、店の業態別に調査したところ、初デートで「あり」は「カフェ・喫茶店」(86.6%)が1位で、ファミレスは8位。「なし」のトップは「コンビニのイートインスペース」だった。

 有木氏は「男女ともに60代は『なし』と考える人が比較的多いことが見て取れます。ファミレス、ファストフードは1970年代から日本で続々とオープンしており、その頃若い世代だった現在の60代にとっては、昨今の若者とは異なる印象を持っていることが要因と考えられます。意外にも若い世代だけではなく、30代~50代まで幅広く『あり』層が優勢ということが言えそうです」と指摘する。有木氏は男性の心理について言及。「ここからは推測になりますが、男性は初デートの店選びにおいて、ある程度の見栄を張りたいという心理があるのではないでしょうか? ネットで『初デートにファミレスありかなしか』論争において、実は一番ひやひやしているのは店を選ぶことの多い男性側だと考えられます。そのため『店選びで失敗したくない』と考える男性が『ファミレスはなし』と思うようになるのかもしれません」。それでは、女性に容認派が多いのはなぜか。「これも推測ですが、初デートで相手との会話やゆっくり話せる空間を重視する傾向にあるため、ファストフードなどの店は抵抗があるが、ファミレスならありと判断する方が多いのかもしれません」との見解を示した。

初デートで「あり」なメニューのトップ3も判明

 ファミレスは70年代から日本に根付き、定着してきた。利用目的の変化も関係しているようで、「ファミレスは『家族連れで行く場所』にとどまらず、『放課後学生が集まる』『仕事のちょっとした打ち合わせをする』『カフェのように利用する』など、昔と比べると用途が広くなっています。そのため、カフェの延長線上のように初デートで利用するのもありと考える人が多いのではないかと考えています。また、ファミレスは長きにわたって人気のチェーンが多く、利便性、チェーンならではの安心感があります。デート=食事だけではないため、ドライブの途中に利便性の高いファミレスを選択、映画の後に隣接されたファミレスで食事など、さまざまな要素と組み合わせた際に『あり』と判断する方も多いのではないでしょうか」とのことだ。

また、同調査では、初デートで「あり」なメニューのトップ3は「洋食」「フレンチ・イタリアン」「すし・海鮮」に。好き嫌いが分かれにくく、時間をかけて食事を楽しめるメニューに人気が集中した。その一方で、「なし」上位は「牛丼」「ジビエ」「餃子」が並んだ。

 この「ありなし」論争に終止符は打たれるのか。それとも、永遠に続くのか。有木氏に聞いてみると、「今回の調査で明らかになったことは、『あり』が100%になるメニューや業態が存在しないということです。裏を返せば、どんなメニューや業態であっても、『あり』『なし』の意見が分かれる可能性があるということが言えます」と指摘する。そのうえで、「ファミレスでのデートは最も批判を受ける機会が多いですが、カフェやイタリアンでさえ『なし』と考える人が10%以上存在します。この『ありなし』の基準は社会的なものや時代背景にもある程度左右されますが、最終的には個人の好みとシチュエーションによるとしか言いようがありません。デートにはいろいろな要素があり、彼氏と彼女のどちらがお店を選択するか、はたまた一緒に決めるのか、そのシチュエーションによっても『ありなし』は変わってくるでしょう。そういった意味では、この論争の終着点は『好みによる』という意外とつまらない回答に収束してしまいます」との結論を示す。

 ただ、バブル世代やZ世代、昭和・平成・令和といった時代によって、人々の感覚や嗜好が変化する側面がある。有木氏は人々が意見を出し合う「議論」として有益になるとの考えを示しており、「例えば『こんな場面でこんな飲食店がいい』といった話に共感したり議論したりすることはそれ自体面白いことだと思っています。そのため、論争が過熱するのは考えものですが、議論することそのものはこれからも続いてほしいと思います」としている。

□有木真理(ありき・まり) 「リクルートライフスタイル沖縄」代表で、ホットペッパーグルメ外食総研の上席研究員。食のトレンドや食文化の発信により、外食文化の醸成やさらなる外食機会の創出を目指している。年間外食回数300回以上。ジャンルは立ち飲み~高級店まで多岐にわたる。胃腸の強さが売りで1日5食くらいは平気で食べることができる。

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