【舞いあがれ!】さだまさしが明かす語りの現場「『アクセント辞典』を常に携帯」
さだまさしが、ナレーションを担当するNHKの連続テレビ小説「舞いあがれ!」(月~土曜、午前8時)について、語りを務めることが決まった時の感想や現場の様子、さらに、語りの発し手として設定された役柄についても明かした。
語りの発し手として演じる役柄は五島列島の名物「ばらもん凧」
さだまさしが、ナレーションを担当するNHKの連続テレビ小説「舞いあがれ!」(月~土曜、午前8時)について、語りを務めることが決まった時の感想や現場の様子、さらに、語りの発し手として設定された役柄についても明かした。
作品は、女優・福原遥が主人公・岩倉舞を演じ、東大阪や長崎・五島列島を舞台に、空に憧れる舞がパイロットになる夢など空への夢を見つけて奮闘する姿を描く。
「まさかナレーションをやるとは思いませんでした。長年『朝ドラの主題歌をやりたい』と言い続けているので、洒落で『また主題歌じゃないの』とは言いましたけれど(笑)。これはもう、お約束のコントになっています。昨年の『カムカムエヴリバディ』の平川唯一役に続いて2年連続の出演となります。『こんなに続けて出ていいのかな』とも思ったのですが、僕は長崎県出身ですので、五島列島が舞台になるとうかがい、ご縁を感じてお受けしました。中学2年生のときに『おはなはん』にハマって以来、視聴者として連続テレビ小説を見続けています。朝ドラはいつの世も、その時代が抱えているものを拾い上げてくれるので、ご時世がはっきりと見えますよね。なるべくたくさんの視聴者の方に満足していただけるように番組を作るのは大変だと思いますよ。そのナレーターですから責任は重いです。ツッコまれないようにしなきゃ(笑)」
さだはナレーションを務めるが実は劇中に登場する五島を象徴するある物という設定。
「いただいた台本を読んでみたら、あんまりベラベラしゃべらないタイプだったので、ありがたかったです。ナレーションというのは、ただのト書きじゃないんですよね。必要最低限のことをきちんと伝えつつ、登場人物たちの気持ちを支えるという役割。今回、僕の役どころというか、語りの発し手は五島列島の名物である『ばらもん凧』なんです。五島で育った人にとっては、子どものころからいつも身近にある凧で、五島らしさを表すものといえばこれ、という象徴的なものです。ナレーションにもいろんな方法論があって、キャラクターを強く打ち出して、出演者のひとりになっていくような作品もあるけれど、今回はそういうタイプではないので、楽ですよ。舞のおじいちゃんみたいな感じで見ていればいいので」
現場の様子も紹介。
「台本だけ読んで想像でつけていくのと、実際映像に声をつけるのとでは全然違いますね。『ここナレーションいらないなあ』と思ってしまうくらい、素晴らしい画(え)がたくさん登場します。収録の最初のほうは、演出の方から『もうちょっと明るいとどうなりますか』とか『もう少しさだまさしを出したらどうなりますか』とか提案をいただいて、お互いに探りながらやっていました。いいところで綱引きができていれば最高ですよね。とにかく『聞いて分かる』ようにするのはとても難しいです。僕は九州人でイントネーションが怪しいので『アクセント辞典』を常に携帯して、鼻濁音などにも気をつけています」
最後に視聴者へのメッセージも。
「子どもの頃はよく熱を出していた舞が、おばあちゃんの住む五島に預けられ、心と身体が健康になって、だんだんと彼女の自我が目覚めていくあたりから、どんどん面白くなっていきます。五島で出会った人々とばらもん凧をきっかけに、舞は空を飛ぶことにあこがれ、人力飛行機の制作を経て、航空学校を目指します。もしかしたら『舞いあがれ!』で舞の奮闘を見た若い女性の中に、パイロットを目指す方が増えるかもしれませんね。印象に残るシーンや、見どころも随所にあります。五島の景色は美しいし、お話にはちょっとホロッとさせられるし。登場人物はみんな情にあつい、温かい人たちなんだけれど、それぞれに生活の苦労もあるし、情の行き違いもある。よかれと思ってする災いもある。意外な人が助けてくれたりもする。作り手が見据えているものがちゃんとしている作品です。それから、長崎らしさがとてもよく出たドラマだと思います。『地元枠』として登場する医師役にもご注目ください。『あ~、長崎や~』って。ホーム感がばっちり出ます(笑)」