デロリアンの尽きない魅力 愛好会会長がほれ込むワケ、40年たっても「工場から出たまま」
大ヒット映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズに登場し、憧れの的となった車「デロリアン」が、日本の車道をクールに走っている。「DMC-12」オーナーで、「デロリアンオーナーズクラブ」の下原修会長に、愛車への情熱を聞いた。
「バック・トゥ・ザ・フューチャー」で有名な「DMC-12」 当時約200万円で入手
大ヒット映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズに登場し、憧れの的となった車「デロリアン」が、日本の車道をクールに走っている。「DMC-12」オーナーで、「デロリアンオーナーズクラブ」の下原修会長に、愛車への情熱を聞いた。(取材・文=吉原知也)
1985年公開の同作(パート1)を見て魅了され、94年に自身にとっての初代デロリアンを購入。現在の愛車は、81年式で2000年に手に入れた二代目だ。当時イタリアにいた下原会長はスイスから輸入して購入し、その後日本へ。価格は当時2万9000スイスフランで約200万円だったという。
オーナーズクラブは94年に創設。現在約130人の会員のうち約50人がオーナーだ。「中学生で入会して、就職してデロリアンを買ったオーナーもいるんですよ。うちの副会長は、人生初のクルマがデロリアン。それから30年以上ずっと乗っているんです」。会員は皆“デロリアン愛”にあふれている。
また、81~82年の間に約9000台が製造されたデロリアンは、現状は世界で約6500台が残っているといい、「オーナーズクラブを立ち上げた頃は日本に40~50台しかなかったのが、国内では増えていまは200台ぐらいあるのではないかと推計しています」とのことだ。
デロリアンの尽きない魅力。「まずはステンレスの外装。手入れが簡単で、サビない。ワックスも、コーティングも必要がない。このクルマのステンレス外装は40年以上たっても、工場から出たまま。ホイールもそのままオリジナルなんです。デザインで直すところがない。何も手を加える必要がないんです」と熱っぽく語る。故障しても不安はない。ほぼ全ての部品の在庫が世界の市場にあり、専門店またはサプライヤーが部品を作って適切な価格で販売しているという。
特徴的なガルウイングは見た目のカッコよさだけではない。「駐車する際に隣のクルマとの距離が40センチもあれば、ぶつけずに開閉できます。雨が降っていてもぬれない。日本の狭い駐車場でも、頭をすくめる必要なくすぐ乗れるんです」。そして、「維持費もそんなにかからないし、長持ち。長期間しっかりと乗れるので廃棄することなく、環境にもいいんですよ」と強調する。
それに、子どもからお年寄りまで誰もが知っている抜群の知名度がある。「みんな振り返るし、写真を撮ってくれるし、乗っていて楽しいんですよ。高速道路を走っていると、僕は“まとわりつき運転”と呼んでいるのですが、他のクルマが横に付いたり、後ろに付いたり、相手を見るとカメラで撮っていて。こちらを見ているドライバーが事故を起こさないかと、ちょっと心配だけど、オーナーとしてはうれしい。こんな楽しみ方ができるクルマは他にないでしょう」と教えてくれた。
一方で、デロリアンの新モデルが約40年ぶりに披露されることが今年5月に発表され、話題になった。下原会長は「唯一言えることは、これまで、ずうっと最新型だった僕たちのクルマが旧型になることですね」と冷静に受け止めている。オーナーズクラブは毎年11月にクラブメンバーを集めるイベントを実行しており、活動を盛り上げているという。